みやこさわぎ (お蔦さんの神楽坂日記)

著者 :
  • 東京創元社
3.46
  • (4)
  • (49)
  • (57)
  • (4)
  • (0)
本棚登録 : 280
感想 : 47
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488027667

作品紹介・あらすじ

高校生になった滝本望は祖母と神楽坂でふたり暮らしをしている。芸者時代の名前でお蔦さんと呼ばれる祖母は、気が強く面倒くさがりだけれど、ご近所衆から頼られる人気者だ。ふたり暮らしの日々は変わらず騒がしい。神楽坂の若手芸妓・都姐さんが寿退職することに。おめでたいはずなのに、「これ以上迷惑はかけられない」と都姐さんの表情は冴えなくて……。(「みやこさわぎ」)表題作をはじめ、粋と人情と望が作る美味しい料理がたっぷり味わえるシリーズ第三弾。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • お蔦さんの神楽坂日記の第三弾。高校生の滝本望は、祖母と二人暮らし。代々、食事は男の役割という面白い設定だ。周りの人々に起こる騒動を巡る短編集。ちょっと気軽に読める現代の人情物だ。江戸時代にそのまま移してもおかしくはない感じ。相変わらず、西條奈加の描く人物は、いずれも個性があって楽しい。望の作る料理は、どれもこれもおいしそうで、物語のよい彩りになっている。でもなあ、どれもすごく手間が掛かりそうで、とてもじゃないが参考にはならないよ。ただの家庭料理?どんでもない!どれだけ家に食材をストックしているんだ!?

  • お蔦さんの神楽坂日記、シリーズ3作め。
    今回は短編仕立てで7編。シリーズ通しで読めたから、人間関係や背景なども鮮やかなままに読めてよかった。

    四月のサンタクロース/みやこさわぎ/三つ子花火/アリのままで/百合の真贋/鬼怒川便り/ポワリン騒動

    もっとミステリシリーズっぽくなるのかとおもったら、下町人間模様みたいな色合いになってきたなあ。
    行也さんあたりも、改めていずれとりあげられるだろう的予兆があったけれど、今後の広がりを期待しちゃう良いシリーズだよなあ。なによりこういうご近所衆がみなで助け合って暮らすような人間関係って、ある意味現代ではちょっとファンタジックですらある。シリーズ三冊読むと、町の光景が脳裏に浮かぶようになってきた、神楽坂いったことないから妄想の産物だけれど。
    若葉ちゃんあたりのこれからも知りたいし、望と楓もどうなるかな、だし、お蔦さんの過去ももうちょっと知りたいぞ。気づけばすっかりファンになった神楽坂日記、次作も期待!

  • 2巻目の長編に比べると、テンポがやや落ちてしまったような気がした3冊目「みやこさわぎ」でした。
    1冊目と同じ短編シリーズ。

    前半4作が私はどうもなかなか読み進められずに苦労しましたが、後半3作「百合の真贋」「鬼怒川便り」「ポワリン騒動」はとっても楽しかった……!

    ノゾミちゃんの作る家庭料理、私もすごく食べたい……
    読みながらお腹が減った1冊でした(笑)

  •  楽しかった。連作短編。舞台は神楽坂、もと芸姑のお蔦さんと、孫の望が暮らす履物屋で、ご近所衆が引き起こす様々な問題を解決していく小気味良さと、高校生の望君が好んで作る食事は本当に美味しそう。

  • 神楽坂日記シリーズ。安定の面白さ。お馴染みのメンバーもそれぞれ年を取り、望は高校生に。恋の行方も気になるところです。

  • 神楽坂で、元芸妓の祖母と暮らす高1男子の主人公、望。
    2人の身近で起こる小さな事件の物語。

    どうもシリーズもののようでしたが、楽しく読めました。
    序盤で、なんとなく気になった祖母という書き方とお蔦さんという書き分けも、中盤からは気にならず…あれはなんだったんだろ?と個人的に気になるところ。

    この作品は、お蔦さんのきっぷの良さがいいですね。
    あと、望くんの人の良さと、古くからある下町気質っぽい住民みんな知り合い、といった背景もほんわかです。

    男子厨房に入るべし、という家風で、料理の描写もgoodでした、なんだか一手間かけようかな?と思わせられる。

    シリーズ1、2も読んでみようと思います。

  • ご近所事件よりも、お蔦さんの気っ風のよさと手際よく料理を作る望が際立つ(^^;)当人にとっては大変な事件なんだろうけど、最近のニュースの方が凄くて、なんだかホンワカする(*´-`)必ずお蔦さんが解決してくる!という安心感もあるからかも?(^.^)

  • 高校生になった滝川望は、両親が転勤で北海道に暮らす間、神楽坂ではきもの屋を営む、祖母・お蔦さんと暮らしている。
    花街出身で料理のできない祖母の代わりに、望が腕をふるう。
    時々考えが主婦目線になっているのはお愛橋。

    「お蔦さんの神楽坂日記」第三弾。
    前作は長編だったが、今回は再び短編集。
    事件の主役たちも内容も、それぞれバラエティーに富んでいる。
    混み入った謎解きというよりも、読みどころは人生経験豊富なお蔦さんの発言だろう。
    時々暴走するけれど。
    今作では、これまで頼りない印象だった奉介おじさんがたびたびいい仕事をしている。
    奉介さんは関わっていないが、「百合の真贋」が一番よかった。

    『四月のサンタクロース』
    自分のせいで「お父さんとお母さんがリコンしちゃうって!」小さな心を悩ませる真心(こころ)ちゃん。
    奉介おじさんが話をしに行く。

    『みやこさわぎ』
    芸妓の都さんは、寿退職が決まったのに、浮かぬ顔。
    えぐい、大人向けの話でした。

    『三つ子花火』
    急に三つ子を預かることになった、滝本家。
    私もこういう男はいけすかないですよ。
    妻とか母親って、ホント、損な立場。

    『アリのままで』
    「やりたいことをやろう」若いうちだから。
    甘酸っぱい青春物。

    『百合の真贋』
    新藤先輩の祖父・新藤省燕(しんどうしょうえん)は有名画家。
    ある一家の相続問題に五百万の絵がからんで…
    新藤先生の粋な計らいと考え方。

    『鬼怒川便り』
    庇うことと、赦さないこと…その結果とは?

    『ポワリン騒動』
    望の友人・森彰彦の兄、行也(ゆきなり)はイケメンだがしょっちゅう失恋している。
    実はアニオタだからなのか?
    やっぱり、オタクはオタクと付き合うのが気楽かな~

  • シリーズ三作目。
    すっかり忘れてしまっていたけれど
    読みながら思い出す。

    そうだ、そうだ、そうだったと。

    あまり激しい事件を取り扱うよりも、
    今作のような
    身近に感じられるほうが
    登場人物に合ってる感じがして好きかな。

    料理男子も四代続くと流石って感じ。

    ただいまって帰ってきて、
    座ってたら食べ物出てくるなんて、
    なんて素敵なことなんだ。
    いいなぁ~!!!

  • 神楽坂で老舗の履物店を営む元芸妓の粋な老女のお蔦さんと、その孫の望が日々遭遇する謎を解決する日常ミステリー連作短編集だ。
    望が純真無垢すぎる男子高校生で、こんな高校生いるのか・・・・とか突っ込みつつ楽しく読んだ。
    基本的に大きな悪意のない物語が安心させてくれる。

全47件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1964年北海道生まれ。2005年『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。12年『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞、15年『まるまるの毬』で第36回吉川英治文学新人賞、21年『心淋し川』で第164回直木賞を受賞。著書に『九十九藤』『ごんたくれ』『猫の傀儡』『銀杏手ならい』『無暁の鈴』『曲亭の家』『秋葉原先留交番ゆうれい付き』『隠居すごろく』など多数。

「2023年 『隠居おてだま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

西條奈加の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×