- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488028787
作品紹介・あらすじ
知人の老女がひったくりに遭う瞬間を目にした大学生の春風は、その場に居合わせた高校生の錬とともに咄嗟に犯人を追ったが、間一髪で取り逃がす。犯人の落とし物に心当たりがあった春風は、ひとりで犯人捜しをしようとするが、錬に押し切られて二日間だけの探偵コンビを組むことに。かくして大学で犯人の正体を突き止め、ここですべては終わるはずだったが――。《本の雑誌》が選ぶ2020年度文庫ベスト10第1位『パラ・スター』の著者が贈る、〈犯罪と私たち〉を描いた壮大なミステリ。
感想・レビュー・書評
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『罪を犯す時、人はどんな気分なんだろうか。あの男は、一夜明けた今どこにいて、何を思っているのだろう』。
法務省が作成している2022年版の犯罪白書によると、2021年のこの国における犯罪件数は56万8,104件と、戦後最少を更新したそうです。日々のニュースを見ていると、その真逆のイメージを抱いてもしまいますが、統計上からはこの国はどんどん犯罪のない安全な国へと変わっていっているのが現実のようです。
とはいえ、そんな説明だけでは素直に安心などできない状況もあると思います。あなたの元にも日々届き続けているであろう怪しいメールの数々を見ても私たちはこの瞬間も決して油断などしてはいけない、犯罪被害と隣り合わせな日常を生きている現実もあるように思います。心から安心できるような日常を手に入れることはなかなかに難しいことなのだと思います。
さて、ここに、主人公が『きゃあっ!』という悲鳴を聞く場面からスタートする物語があります。『札幌ドームが鼻先にそびえる住宅地』に起こったある『犯罪』の先に展開していくこの作品。そんな物語の中に『人間はいくつもの顔を持っている』という言葉を噛み締めることになるこの作品。そしてそれは、『人間は、置かれた状況によっちゃ簡単に良心なんて手放せる。罪悪感なんて五秒で忘れる』という言葉の重みを読者が噛み締めることになる物語です。
『きゃあっ!』という悲鳴と共に、『札幌ドームが鼻先にそびえる住宅街』の一角で『老婦人が転倒するのが目に飛びこん』できたというのは主人公の森川春風(もりかわ はるか)。『見間違えるはずもない、斜向かいの家にひとりで暮らしている小佐田サヨ子だ』と思う中に、『ベースボールキャップとマスクで顔を隠した黒ジャンパーの男』が『小ぶりの紙袋』をサヨ子から奪い取るのを見た春風は、『トートバッグを投げ捨てて走り出』します。『距離が縮まらず、歯嚙み』する春風の『視界の左端を』『黒い影が』すり抜けます。『あっちから回ってください!』と『真っ黒な詰襟の学生服』に言われ『挟み撃ち』を理解した春風。そんな春風の元に『女が相手なら振り切れると考えたのだろう』男が向かってきます。『左手で右腕袖口をつか』み、『いける』と判断した春風でしたが『いっきに男を背負う寸前』、『クラクションが鳴り響』き『軽自動車』に突き飛ばされてしまいます。『大丈夫ですか』と少年に訊かれ、『私はいいから追っ ー』と言葉を呑みこんだ春風。『目を離した隙に男』はいなくなってしまっていました。そんな春風に手を差し出す少年の『詰襟の学生服』につけられた校章を見て、『二年前に卒業した市内の道立高校』のものだと認識した春風は、『道路のほぼ真ん中に』『何かが光』るのを目にします。『パトローネ ー 写真用フィルムをおさめる円筒形の遮光ケースを飾りにしたストラップだった』と転がっているものを見て『男のジャンパーのポケットからとび出したもの』だと思う春風は、『どうしてあの男がこれを?』と思います。場面は変わり、『森川春風さん』、『北原錬(きたはら れん)くん』と『地下鉄大通駅の南北線改札前』で再会した二人。『昨日サヨ子を病院につれて行くために別れる間際』に『連絡先を交換』した春風は、サヨ子から昨日のお礼ということで預かったお金で錬を『回転ずし店』に招待したのでした。昨日の話をする中にサヨ子が『警察には届け出るつもりはない』と聞く錬は、『あのストラップってどうしたんですか?』と春風に訊きます。そのストラップが春風の大学の写真展で売られていたグッズであることを説明する春風。そんな春風は、すでにそれを入手した可能性のある人物を八人まで絞り込んでいることを説明します。そんな説明に『俺は、あいつを捕まえられなくて悔しかった』と、春風と共に『あいつ』を捜したいと言う錬。再度場面は変わり、大学の図書館前で待ち合わせをした二人はストラップを購入したと思われる八人のリストを元に学内を巡り始めます。そして一人、また一人と可能性が潰えていく中、一人の学生が怪しい所作を示します。『鐘下実』という名前をスマホに打ち込み『かねした、みのる』と『胸の中で復唱』する春風。そんな春風が『鐘下実』の行方を追う先に、物語冒頭からは全く想像も出来ない衝撃的な犯罪を読者が目にすることになるミステリーな物語が始まりました。
“ひったくりの犯人を突きとめた。事件はそれで終わらなかった。私たちは、ある男が歩んだ道を、辿り直すことになる”と、本の帯に意味ありげに記されるこの作品。その書名「金環日蝕」には、2012年5月21日に、日本各地でも観測することのできた印象的な天体現象が自然と思い起こされもします。とはいえ、この作品はそんな天体現象を描いた作品というわけではありません。
『中心は暗闇に沈んで何も見えないのに、その輪郭だけが強烈なかがやきを放つ』。
「金環日蝕」という天体現象が見せるそのダイナミックな光景を、物語の雰囲気に象徴的に比喩しながら物語は展開していきます。
そんな物語を二つの側面から見ていきたいと思います。まずは、作品の舞台となる北海道の描写です。北海道を舞台に描く作家さんというと桜木紫乃さんが思い浮かびます。釧路に生まれ江別に暮らされる桜木さんの描く北国の風景は独特な世界観に彩られています。それに対して大学時代を彼の地で過ごしたという阿部暁子さんがこの作品で描く北海道は、札幌の市内にある国立大学のリアルな風景です。
『今の季節、キャンパスはどこを見ても絵画のような色彩だ。地面はイチョウの落ち葉に覆われて黄金色の絨毯を敷いたようになり、あちこちでナナカマドが小さく燃える火のような実をつけている』。
物語冒頭に記される秋真っ只中のキャンパスを赤と黄が美しく彩っている様が見事に描写されます。また、こんな描写もあります。
『二講時が終わったあと、春風は皐月と札幌駅前のスープカレー店に出かけた』、『スープカレーのランチセットが来るのを冷たいラッシーを飲みながら待っている』
ガイドブックにも記されるとおり、『札幌駅前のスープカレー』は有名なお店のようです。そして、決定的な記述が登場します。
『「そしてこちらが、かの高名なクラーク博士の胸像です」、「観光客が見て”これじゃない”って思うやつですね」 、「”博士が遠くを指している例の像は羊ヶ丘展望台にあります”という説明を私も二回したことがある」』
キャンパスに『クラーク博士の胸像』がある札幌駅近くの国立大学と言えばこれはもう北海道大学しかありません。他にもどう考えても北海道大学しかありえない表現が多々登場します。しかし、この作品ではなぜか大学名が頑なに伏せられます。どうしてそこまでして大学名を伏せるのだろうと思いましたが、それは物語に登場するある人物が重大犯罪に関わっていくからなのだろうと思います。
次にこの作品で度々登場する『心理学』です。主人公を務める春風は大学で『心理学』を専攻しています。『過去に何があったかは関係ない、肝心なのはこれから何を為すかである』というアドラーの言葉に高校時代に触れたことから『大学で心理学を学ぼうと決めた』という春風。そんな『心理学』についてこんな問いかけがなされます。
『心理学を勉強してると、人の心が読めるようになったりするんですか?』と訊く錬
↓
『心理学は科学的に人間を理解しようとする学問』と答える春風は『心は、読んだり言い当てたりする対象ではなくて、輪郭や性質をさぐっていくもの』と説明します
『心理学』というものに対する一般論としての説明だと思いますが、そんなことを聞いてきた錬にこんな風に春風は逆質問をします。
『錬くんは、他人の心を読みたいと思ったりするの?』
↓
『それができたら、防げることもたくさんあるんだろうなって思います。人間は噓をつくから』と返す錬は、『もしそういう噓が心を読んで全部わかったら、昨日のおばあさんみたいにひどい目にあわされる人もいなくなる』とその理由を説明します。
一方で、春風自身も人間の心についてこんな風に感じています。
『私も、とてもやさしい気持ちになれる時があれば、殺したいほど誰かを憎む時もある。心って何なのか、どれが本当なのか、それを知りたくて心理学の勉強を始めた』。
人の心とそれを学ぶ『心理学』を物語中で繰り返し取り上げてもいくこの作品。それは、この作品が人が犯す『犯罪』にさまざまな方向から光を当てていく物語でもあり、そんな『犯罪』を垣間見る主人公の春風が、一方で冷静に『心理学』を学ぶ視点から俯瞰していこうとするものでもあるからなのだと思いました。
そんなこの作品は〈序章 発端〉と〈終章 勇気〉に挟まれた五つの章から構成されています。上記で舞台をご紹介したので、次はそんな物語で視点の主を務める二人の登場人物をご紹介しましょう。
・森川春風: H大学二年生、文学部、家族は母と兄、父はタイに単身赴任、高校時代に柔道部に所属していたことが物語の冒頭に見せる姿に連動する
・志村理緒: H大学一年生、文学部、家族は母と妹、父は離婚、高校時代に居酒屋でアルバイト中に、物語の黒幕とも言えるある人物と運命的な出会いを果たす
この作品は内容紹介に”〈犯罪と私たち〉を描いた壮大なミステリ”ともうたわれています。ミステリにネタバレは禁物です。ブクログの他の方のレビューを見てもこの物語に描かれていく衝撃的な物語については一様に伏せられていらっしゃいます。私もそれに倣い、核心部分に触れることは丁寧に避けたいと思いますが、この作品には誰もが知る今の世の中を象徴する、ある『犯罪』の舞台裏がリアルに描かれていきます。それは唐突に登場します。上記で少し触れた物語冒頭〈第一章 探偵〉では、主人公・春風が偶然遭遇した、知り合いのおばあさんが『小ぶりの紙袋』を強奪される場面が描かれた後、犯人が現場に残した『パトローネ ー 写真用フィルムをおさめる円筒形の遮光ケースを飾りにしたストラップ』を元に、それを購入した人物を探す場面が描かれていきます。この部分だけ読むとどこか”学園モノ”を思わせるようなどこかほのぼのした雰囲気を感じさせます。「金環日蝕」という重々しい書名に”純文学”を想像してこの作品を手に取った読者を驚愕させる”軽さ”を見せていく物語冒頭。それが、次の〈第二章 家族〉、〈第三章 発覚〉と進むにつれ、物語は違う顔を見せていきます。
『人間の顔はひとつではない。天と地ほどの振り幅で、慈愛から残虐までを同居させている… 人間はいくつもの顔を持っている』。
そんな表現の先に描かれていく物語は、冒頭の雰囲気感から一変、超重量級の内容を描く物語へと作品を変容させていきます。
『別に、貧しさにおびえたことのない人たちに不幸になってほしいだなんて思わない。むしろ誰もがしあわせであるほうがいいと思っている。けれど自分は、彼の役に立つためなら、苦しめられる人たちを踏みつけて進むことができるのだ』。
主人公のそんな強く決意が語られてもいく物語は、謎が謎をどんどん生んでもいきます。そして、そこに冒頭から巧みに伏線が張られていたことに読者は衝撃を受けます。一点だけ触れておきましょう。〈第一章 探偵〉の冒頭に春風が起床後洗面所で洗顔をする場面が描かれます。
『髪をヘアターバンでまとめて冷水で洗顔した』あと、『ドライヤーをかけながらセットしていく。前髪はとくに念入りに』。そのあと、『鏡の中の自分を見つめながら前髪をかき上げた』春風という何のことはない、”軽い”描写がなされていくこの場面
そのシーンに何故か春風の決意が唐突に語られます。
『過去に何があったかは関係ない。肝心なのは、これから何を為し、どんな自分となるかだ』。
このレビューだけ読まれた方は当然のことですが、この作品を読まれてこの場面に行き当たった方であっても、この場面の本当の意味は決してわからないはず、というより私のレビューを見ないで読まれた方は完全スルーされると思います。どうして、『前髪をかき上げ』ることと、こんな強い思いが交錯するのか?せっかくこのレビューをお読みいただいたあなたには、是非この箇所を覚えておいていただければ、阿部さんが如何に巧みに伏線の数々を作品に散りばめられ、見事に回収していく緻密な物語を構築されていくかをお分かりいただけるかと思います。
そんな物語は、〈第四章 反転〉でその全容を見せた後に、いよいよ〈第五章 対決〉へと進み、〈終章 勇気〉で鮮やかなまでの幕を下ろします。ストーリーを二転、三転させながらどこに決着するのか予断を許さないミステリ作品として、全ての謎が明らかになり、中盤の超重量級の物語が、結末へ向けて不穏さをどんどん増していく展開は見事という他ありません。
『中心は暗闇に沈んで何も見えないのに、その輪郭だけが強烈なかがやきを放つ』。
そんな「金環日蝕」の強烈な印象を読者に深く刻み込み、読者のさまざまな感情を激しく揺さぶりながら、それでいて光を見せる結末へと読者を導いていく阿部さんの鮮やかな手腕。単行本416ページの物量を全く感じさせない見事な構成力に最後の最後までとても魅了された作品でした。
『人が騙し騙されることは、きっと永久になくなることはないのだろう。人が欲望を捨てられない限り、そして、誰かを信じようとする限り』。
一見、”学園モノ?”を思わせるどこか軽いタッチで始まる物語が、突然、社会問題化もされている超重量級の『犯罪』に光を当てていくこの作品。そこには、全く立場の異なる二人の女性視点の”壮大なミステリ”が描かれていました。大学を描くリアルな描写の数々に”学園モノ”の雰囲気も感じさせてくれるこの作品。おびただしく張られた伏線の数々が、一つひとつ丁寧に回収されていく見事な構成に唸るこの作品。
まるで”純文学”を思わせるような書名と表紙に抱くイメージからどこかズレた登場人物たちが繰り広げる極めてアンバランスな物語。そんな物語のその先に、強烈な光と対になるように漆黒の闇が顔を出す絶妙な構成の物語。書名と表紙の強いインパクトがいつまでも尾を引く素晴らしい作品でした。 -
★5 胸に秘めた信念と出来過ぎの頭脳で立ち向かう姿がカコイイ!バランス抜群のミステリー #金環日蝕
■あらすじ
北海道の女子大学生である主人公の春風は、ひったくり犯を目撃する。同時に居合わせた高校生の錬と犯人を追いかけるも、間一髪で逃げられてしまった。二人は協力して大学内で犯人捜しのため捜査を始めていく。
一方、経済的に苦労している少女の理緒は、喫茶店で高齢者に手助けするような会話をしているのだが…
■きっと読みたくなるレビュー
はぁ~、素敵なミステリーだったわ~
青春ドラマであり、家族愛もあり、社会派小説でもある。伏線も丁寧に仕組まれていて、ミステリーとして良くできてる。しっかり読みごたえもあるし、バランス感覚も秀逸。これはちょっと凄い。
この作品の強みは、場面場面が決して派手ではないのに、強烈な印象で読ませる点。
さりげなくも惹きつける始まりから、ありがちな青春ミステリーと思いきや、かなりトンデモな展開で読み手を離さない。その後も決して騒々しくはなく、丁寧で優しい進行。しかし主張は強く、読者の胸にナイフを突き刺してくる。
登場人物も魅力たっぷりで、特に本作の主人公の春風と錬に痺れる。
責任感、信念、そして自身の弱みとそれに抗う強さ。ネガティブな言葉は決して吐かず、胸を張って戦っていく姿勢。なによりセリフのひとつひとつが素晴らしいのよ。「熱いセリフ」というより「強いセリフ」なんです。
かっこいいなぁ、私もこんな人になりたい。
また本作、若者たちが関わっている犯罪シーンがあるのです。ちょうどここ数日、テレビのワイドショーはこの犯罪でもちきり。
人それぞれ色んな過去や背景、今の経済環境があるのでしょうが、頼むからその頭脳、人を笑顔にすることに使ってくれよ。
やたらその犯罪をリアルに描写されている本作を読むと、感情が昂ぶってしまいました。
■推しポイント
父親って何だろう。
親になって10年以上経ちますが、いまだにはっきりと言えない。
大きな包容力で守ってくれて、困ったことがあったら頼りになって、妻や子どもたちにはいつも優しい。なんとなそんなイメージを持ってますが、果たしてこれが正しいのか? そしてなにより、実行できているのかわからない。いつも不安に思っていて自信がありませんでした。
しかし本作を読んでいると、父親を無理に定義したり、過剰に努力すること自体が間違っているとわかってくる。いつも家族と一緒に人生を歩む、楽しむ、悩む、戦えばよい。邪なことはせず、ただ持ってる力でまっすぐ進むだけでいい。
そうすればいつしか父親として輝いてくると気づかせてくれました。素晴らしい作品をありがとうございました。 -
10月の木曜、大学からの帰り道、森川春風(はるか)は顔見知りの小佐田サヨ子70歳が家の前で引ったくりに遭うのを目撃します。
そこで、北原錬という高校生と知り合い、引ったくりを追いかけようとします。
けれども当のサヨ子が「警察には届けない」というので独自に、春風と錬は一緒に犯人を突き止めようとします。
錬の家は母が離婚して母子家庭で母の由紀乃、双子の中学生の弟と妹の陽、翠がいます。
ミナミという偽名を使っている理緒は、母と妹の高校生奈緒がいます。
父と母は離婚して、生活費を稼ぐために理緒は飲み屋でアルバイトをしています。
そこで、出会ったカガヤという一見若く見えるけれど一度結婚して高校生の子どもがいるという男性に高額収入が得られる仕事をもちかけられ引き受けます。
その仕事とは詐欺師の下働きの擦り屋でした。
けれども、理緒はカガヤの人間性にとてつもない魅力を感じて惹かれて行ってしまいます。
まず、1回目の謎解きで錬の父親が誰かが判明し、錬が引ったくり犯を追っている本当の理由がわかります。
そして、ラストで思いもかけなかったすべてが明らかになります。
出てくるキャラクターが現代的で皆、魅力的でした。
まず、変装していくつかのキャラクターを持つ錬。弟、妹想いで、人当たりがとてもスマートです。会話から頭のよさを感じさせます。
錬の弟の陽と翠の明るくて兄思いのとこ。特に陽はお兄ちゃん命です。
由紀乃の頭脳明晰で明るいところは家族関係のよさが伺えて、読んでいてとても楽しかったです。
以上がレビューですが、
今日は、ブクログの皆さまにお願いがあります。
昨日、ブク友さんのさてさてさんと話し合ったのですが、ブクログさんに改善して欲しいと思う点がありました。
<ブクログ内の三点の改善>
①ブラウザ版でいいね!してくださった方のアイコンおよびクリックリンクの復活。
➁ブックリストの文字数上限を300字程度まで拡大。
③ブックリストにコメント機能の追加。
以上3点をとりあえず改善して欲しいということになり、さてさてさんが、
ブクログ談話室<ブクログのここを改善して欲しい>に投稿してくださいました。
もし、御賛同を得られる方がいらっしゃいましたら、談話室へとんで、さてさてさんの御意見にいいね!を押してくださると大変嬉しいです。よろしくお願いいたします。あとから、さてさてさんも、わたしのこのレビューのコメント欄にいらしてくださるので、コメント欄も御覧くださると嬉しいです。
どうぞよろしくお願いします。
ブクログでもっと、皆さんとよりよいコミュニティを築いていけたらと思います。-
さてさてさん♪
前のコメントに「娯楽本を必死に読んでいる」なんて、読書の価値を否定するようなコメントしてしまいましたが、私は今、いらない本...さてさてさん♪
前のコメントに「娯楽本を必死に読んでいる」なんて、読書の価値を否定するようなコメントしてしまいましたが、私は今、いらない本の整理をしている真っ最中だったんです。図書館で借りて読んでいる本もありますが、冬場はいけないし、夏場も結構本を買っています。でも、小説は私は1度しか読まないので読んだらほとんど(好きな作家さんを除いて)ブックオフなんです。なんか、本を片づけながらお金を捨てているような気持ちになってきてしまって…。残しているのは詩集、歌集、好きな作家さん、古典的小説のみで。ミステリーなんて、全部ブックオフです。
でも、ブクログはやっぱり、ブク友さんの方々とのやり取りが楽しいので、コロナ禍で外にも出ていけないし、大切な場です。
さてさてさんは、レビューを書かれることにやりがいを見出しておられるのですね。私も決まった型などはありませんが、読み終わってレビューを書いている時の方が至福を感じられます。(たいしたレビューではないのですが)書くのが好きで、書評という形が自分に合っているのだと思います。(ブクログにはこういう方が多いのではと推測します)
お馴染みだった、昔からのフォロワーさんも、どんどん抜けてきていますね。こうしてさてさてさんとコメントをやり取りできるのは私にとってもとても嬉しいことです。
1000レビューなんておっしゃらずに、2000レビューくらい、さてさてさんにも目指して欲しいものです。2023/05/22 -
まことさんもレビューを書かれるのを楽しまれていらっしゃるのですね。ブクログのレビューは↑で話題にさせていただいたブックリストと違って字数制限...まことさんもレビューを書かれるのを楽しまれていらっしゃるのですね。ブクログのレビューは↑で話題にさせていただいたブックリストと違って字数制限がないのが良いですよね。この点はこの先も絶対に変更してほしくないです。
みなさんとのやりとりもありがたいですし、息抜きの場としてこれからも大切にさせていただきたいと思います。
2,000レビューと聞くと気が遠くなりそうですので(笑)、取り敢えずは1,000目指して頑張りたいと思います。今のペースであと二年…続いているでしょうか?
これからもよろしくお願いします!2023/05/22 -
2023/05/23
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尊敬するフォロワーさんがこぞって高評価をつけていた本だった為、くそぉー単行本かぁー、文庫じゃないんかーーー、と思いながらも購入してしまった(笑)
フォロワーさんの感想がそそるんだなぁ。。。
読まずにはいられなくなる。。。
近所に住む知人の老女がひったくりに遭う瞬間を目にした大学生の春風は、その場に居合わせた高校生の錬とともに咄嗟に犯人を追ったが、間一髪で取り逃がす。
警察に届けるよう老女にすすめるが、老女は頑なに拒否をする。
犯人が落としていったストラップに心当たりがあった春風は、一人でで犯人捜しをしようとするが、錬に押し切られ、二日間だけの約束で、二人で調査を開始する。
春風の大学で犯人の正体を突き止め、ここですべては終わるはずだったが事件はそれで終わらなかった。
皆さんが高評価つけるだけあって、ものすごく惹きつけられる本だった。
危険を顧みず、事件の真相に挑む大学生の春風。
普段は学ランメガネなのだが、隣に住む正人に洋服をコーディネートしてもらうと、すっかり雰囲気の変わる錬。
その2人の魅力も凄いのだが、途中から登場する妹想いの理緒。
沢山の登場人物が居る中、どの人物も魅力を感じられる。
あの人もこの人も、、、
色々書くとネタバレになるのでそこは割愛。
とにかく物語がどんどん動いていく為、一切飽きない。
想像したような単純明快な青春小説ではなく、ミステリとも、社会派小説とも感じる深い物語。
登場人物の彼らのその後の生活も盗みみたくなるような、、、
そのくらい彼らの世界にすっかりのめり込んでしまった。
一気読み必至の一冊!! -
女子大生と男子高校生が二日間だけ探偵コンビを組んでひったくり犯をつきとめる‥‥てっきり爽やか青春謎解きストーリーだと思っていました。
前半は、キャンパスで犯人探しをしている時に出会う様々なサークルの人物たちも個性的な人たちばかりで、いわゆるオタク系の会話が繰り広げられ、主人公の女子大生と男子高校生もあふれる正義感で犯人探しをしている感がムンムンでした。
しかし、犯人側の目線の章になると、なぜ犯罪に手を染めてしまったのか、どうしようもない状況が描かれていて、場面場面の明暗がくっきりしていました。
そして後半になると爽やか主人公二人組の過去も明らかになってきて‥‥
女子大生が心理学を専攻していることもあり、忘れてしまいたいけど忘れられない過去への向き合い方は人それぞれであり、誰もが表には出さない顔がある、ということが興味深く書かれていたと思います。-
しずくさん、おはようございます♪
この作品、ブクログでも人気ですよね。
しずくさんのレビュー、楽しみにしていますね!しずくさん、おはようございます♪
この作品、ブクログでも人気ですよね。
しずくさんのレビュー、楽しみにしていますね!2023/06/09
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犯罪を描いたこの物語
登場人物たちがするすると吐き出す嘘の数々
その度に胸が締め付けられ、そして愛おしくてたまらない
大学生の春風が引ったくりを目撃し、犯人を追いかけていると、通りかかった学ラン少年も追跡に加わる。
そんな場面から始まる物語は、青春ストーリー?
それとも学園ミステリ?
といった雰囲気。
ずいぶんと足の速い二人は、とっても魅力的なキャラで良いコンビ。
これからも軽やかに展開する予感……?
しかし第二章
同じ大学生の理緒が登場すると、ガラリと雰囲気は変わる。
理緒の妹と母親。
学ラン少年(錬)の弟と妹、母親、更に錬の隣人で友人の正人などが登場し、どんどん厚みを増していく。
そして最初はバラバラだったものが、次々と繋がっていく気持ち良さ。
今までの、これからの、全ての言動や描写に意味があり伏線なのだと気付き、音を立てて嵌っていく。
でも題材が犯罪なだけに、苦しく辛い場面も多い。
特に子どもたちを巻き込む犯罪は悲しい。
どうかあちら側の世界へ行かないで!
錬、あなたは一人じゃない。
もう一人で戦わなくていいんだよ。
ぎゅっと抱きしめたい……
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優しいですか?
ありがとう(*´ω`*)
Manideさんは約1年前に読了ですね
私は皆さんがレビュー上げてるのを見て予約したか...優しいですか?
ありがとう(*´ω`*)
Manideさんは約1年前に読了ですね
私は皆さんがレビュー上げてるのを見て予約したから、およそ1年待っていたんだわ(@@)
さっきManideさんの本棚へお邪魔しましたが、テストだったんですか?
いつも色んなことに挑戦していて、すごいなって思います!
私もダラダラしてちゃダメですね(─.─||)2024/03/17 -
優しいですよ(^^)
いつもそう感じてます。
1年ですか…
長いですね。
予約ている人の、分類ごとの平均貸出期間を計算して、おおよその受取...優しいですよ(^^)
いつもそう感じてます。
1年ですか…
長いですね。
予約ている人の、分類ごとの平均貸出期間を計算して、おおよその受取日を示して欲しいですよね。図書館システムの進歩に期待ですね。
そう、テストだったんですよ〜
ギリギリうかってそうで、ホッとしてます。
少し前に帰ってきて、いま、だらだらしてます。
久々に本を読むか、勉強するかを迷っているところですが、なんとなく、そのまま寝そうな気もしてます…
お昼寝が好きな私です(*´꒳`*)…zzZ♡2024/03/17 -
2024/03/17
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◇◆━━━━━━━━━━━━
1.感想
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冒頭からカッコいい高校生が登場してきて、これは、もう、面白いなと、感じさせてくれる作品でしたが、読み進めると想像していた展開とだいぶ違って、なんともいえない感じでした。
すごい、スッキリしない感じです。
なにか、モヤモヤっとした感じで終わってしまいました。
今回も、親の収入が少ないことで、子どもに迷惑をかけるお話です。またまた、だな、と、感じさせてくれる親が登場してきます。
「人間の顔はひとつではない。天と地ほどの振り幅で、慈愛から残虐までを同居させている。」という、言葉のとおり、登場人物たちの複数の顔がびっくりです。
そのいろいろな顔が、わたしの中の人物像をよくわからない感じにさせてしまい、ほんと、なんだかよくわからない感じになってしまいました。
それでも、先が読めない展開は、面白かったです。
◇◆━━━━━━━━━━━━
2.あらすじ
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ひったくり事件に遭遇した春風が、事件に巻き込まれていきます。
先が読めない展開は、ミステリー要素がつよくて、春風が突き進んでいくのにあわせて、ドキドキしていく感じでした。
◇◆━━━━━━━━━━━━
3.主な登場人物
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森川春風 はるか、170、髪長い、長身
森川夏夜 なつや はるかの兄
工藤皐月 はるかの友人
北原錬 170ぐらい
北原陽 よう、弟
北原翠 すい、妹
北原由紀乃 ゆきの、母
潤 父
小佐田サヨ子
鐘下実 演劇部
理緒
奈緒 理緒の妹
カガヤ
松園シゲ子 裕福な老婦人
関口
河西すみれ 鐘下の友人
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知人の老女がひったくりに遭う瞬間に居合わせた
大学生の春風と高校生の錬。
咄嗟に犯人を追うが間一髪で取り逃がす。
犯人の落とし物に心当たりがあった春風は、
ひとりで犯人探しをしようとするが錬に押し切られて二日間だけ一緒に行動することに。
序盤、凄く面白いわけではないのだけど
あーひったくりを正義感溢れる若者が成敗する話しね、と
あまり考えずに読み進めていました。
中盤からは一気に話が展開。
最初の方をテキトーに読んでたので伏線に全く気付かず。。
伏線多数の小説は東野圭吾さん以外
素直に受け入れられないタイプなんですがこれは感動(笑)
そして私個人として絶対に外せないのは
人間関係や背景をしっかり描いていること。
400ページによくおさめれたなと、素晴らしいです。
構成が完璧すぎる小説なのでは!?
とても丁寧な作品でした。
個人的には景色の描写が北海道だったのも良かったです◎
というか、この作者さん景色の表現がとても上手。
綺麗な写真集を見ている感覚にたまに陥るのに
いきなりドロドロの現実話に連れ戻されるあたりとか
だれずに最後まで突っ走ってました。
本書はあまり多くを知らずに読んだ方が絶対に楽しいので!
内容には触れず感想を。
世界最古の職業は娼婦といわれているそうで。
しかし、錬は「詐欺師だと思う」と。
信じる心を持つ人間がいなくならない限り
騙す人間もいなくならない。
高校生なのにそんな事を悟ってしまう錬に胸が痛くなります。
絶対にこの世から無くならないであろう宗教と戦争。
これも「信仰」からきている部分もあるんですよね。
「信じる」って、人を救うこともあれば壊すこともある。
騙す側はいなくならないのでしょう。
自分自身も老いていつかオレオレ詐欺の電話が来るかも。
直接助けることはできなくても
騙されるなんてバカだと言うような冷徹な大人にはなりたくないものです。
ちなみに、金環日食を実際に見たことがないので
これが人生初の金環日食でしたとさ。
(でも本書は日蝕なんですよね。。) -
何か良くないことの片棒を担いでいると薄々気づきながらも、それを続けてしまう。特殊詐欺グループの末端の気持ちが少し理解できてしまった。
色んな登場人物が入り組んで関わっていき、関係性が明らかになるたびに驚いたが、私はそこまで入り込めなかった。
自分の中で金環食といえば「太陽のリング」という美しいイメージしかなかったので(ドリカムです)金環日食に「蝕」という字を当てて、ダークサイドに着目した点は新鮮だった。 -
話題作だった事と、かなりインパクトある表紙からも
ずっと気になっていた本。
やっと読めました。
ひったくり犯が落としたストラップを手がかりに犯人探しをする正義感の強い女子大生の春風(はるか)、そして聡明な高校生の錬(れん)君。
このふたりはこれから付き合う流れになるのかな…?
などと、呑気にワクワク読み始めたが、探っていくほどにみえてきたのは深い闇。繋がっていく暗い過去。どんどん深刻な重たい内容が加速度を増していき、気がつけば、前のめりで読んでいた。
この本の登場人物は若い人達が多く出てくる。
生い立ちや家庭環境など、どうすることもできない事や、巻き込まれてしまったことなどや、関わってしまったことなどは、どうしようもなくやるせない気持ちになった。
人は弱くて、よくわからないことにも翻弄されてしまって、欲望や自分だけの感覚に陥ったり、それに
たやすく呑み込まれてしまう危うさも持っているものだ。
圧倒的な力を前にしてしまったとき、どうしたらいいのだろうか?
例え、心理学などを学んでも人の心はわからないし、どうしたらいいのか……。
圧倒的な力に抗えるのはどうしたらいいのだろうか……。
まもりたい人がいるかどうかなのだろうか……。
まもりたい人、大切に思える存在がいることはやはり大きなことで、自分の心に、ぶれない軸を作れるのかもしれない…
『中心は暗闇に沈んで何も見えないのにその輪郭だけが強烈なかがやきを放つ』という金環日蝕……。
これ以上はネタバレになるといけないので、
この辺で………。
読みやすいのだが、複雑に絡んだストーリーで、
読んでみると、かなり深刻なテーマの
社会派小説だった。
幾つもの伏線があって、徐々に繋がってくるような
読み応えある一冊だと感じた!
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チーニャさ〜ん、ふたたび〜♡♡
これ私もちょいちょい見かけるので気になってました〜!やるせない感じの社会派小説なんですね!
なかなか読み応え...チーニャさ〜ん、ふたたび〜♡♡
これ私もちょいちょい見かけるので気になってました〜!やるせない感じの社会派小説なんですね!
なかなか読み応えありそう〜
図書館予約してみます✌︎(๑˃̶͈̀◡︎˂̶͈́๑)✌︎2023/06/11 -
mihiroさん♪
コメント、ありがとうございます〜(*^_^*)
今気が付きましたよ…。遅くなりました…。
気になる本ですよね、この本!...mihiroさん♪
コメント、ありがとうございます〜(*^_^*)
今気が付きましたよ…。遅くなりました…。
気になる本ですよね、この本!
凄く引きつけるものあるんですよね……。
レビューお待ちしています〜2023/06/12
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とても印象的な書名と表紙でこの両者に惹かれたのがこの作品を手にした理由です。全く関係ないんですが...
とても印象的な書名と表紙でこの両者に惹かれたのがこの作品を手にした理由です。全く関係ないんですが、個人的には三島由紀夫さん「金閣寺」とイメージがダブってしまいました。
レビューにも書きましたが、どう考えても芥川賞作家さんの作品、”純文学”が展開する、しかもこの分厚さ!ということで、緊張感の中にページを開いたら、えっ?なになに?という感じ。「アオハライド」の阿部さんだから、”純文学”であるはずがなく…それでも書名と表紙の印象が強すぎてこのズレが最後まで修正できませんでした。
『心理学』にこの作品の書名重ねる、これはありますね。レビューで『心理学』に触れていますが、そもそもどうして『心理学』が登場してくるのか?ということがあります。
「金環日蝕」= ひとの心を象徴
う〜ん、深いですね。やはり、”純文学”として読むべき作品だったのかもしれません。
話はそれますが、太陽の方角を常に向いていらっしゃる?ひまわりめろんさんには、この作品の影響は大きいですよね!天体現象としてのその瞬間も太陽を追い続けられるのでしょうか?暗くなるので、一旦追尾が止まって、現象が終わったら、くいっ!と向きを修正されるのでしょうか?このような研究をどなたかされていたりするのでしょうか?…とすみません、脱線してしまいました。
こちらこそ、ありがとうございます!
こちらも全くの余談ですが実はめろんの方も日照時間が長いほど生育に適していまして、日に当たれば当たるほど大きく甘くなるんですよ
どん...
こちらも全くの余談ですが実はめろんの方も日照時間が長いほど生育に適していまして、日に当たれば当たるほど大きく甘くなるんですよ
どんだけ太陽好きな名前だよ!っていう
なのでひまわりはどうか知りませんが、ひまわりめろんは金環日蝕中は太陽の光が不足して動きがカクカクします
夜ふかしも苦手ですw
う〜ん、それにしても太陽の力は偉大です!昼型のひまわりめろんさん、太陽の光は大切ですね!
次の金環日蝕は2030年6月1日(調べちゃいました)に北海道で見られるようですから、ひまわりめろんさんのカクカクも目撃したいです。