- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488116026
作品紹介・あらすじ
長閑な夏の昼下がり、田舎の名士の屋敷、赤い館で銃声が轟いた。死んだのは、15年ぶりに館の主マークを訪ねてきた兄。発見したのは館の管理を任されているマークの従弟と、友人を訪ねてきた青年ギリンガムだった。発見時の状況から当然マークに疑いがかかるが、マークは行方知れず。興味をひかれたギリンガムは、友人をワトスン役に事件を調べ始める。『クマのプーさん』で有名な英国の劇作家ミルンが書いた長編探偵小説、新訳決定版。
感想・レビュー・書評
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本書の作者は、言うまでもなく「クマのプーさん」でおなじみのA.A.ミルン。
本書は文庫サイズで330ページほど。
結構文字もぎっちり詰まっていて、ちょっと読み終わるのに時間かかるかなあ…と思ったら、いざ読み始めると軽妙でスイスイ読めてしまう。
そしてシンプルで面白い!
探偵役のギリンガムは、母の遺産のおかげで働く必要がないほどお金に困っておらず職を転々とし、つい最近また仕事をやめたばかり。友人であるベヴァリーが訪れているときいていた赤い館にぷらっと顔を出したら、たまたま殺人事件に出くわした。
そこで思い立つ。探偵業、結構自分に向いてるんじゃね?(意訳)
素人探偵発足!である。
そして探偵にはもちろん、優秀な助手が必要だよね!
私があまりミステリをたくさん読んでないからだとは思うけど、主人公探偵が熟練のそれではなく素人だなんて新鮮ですごく面白い!とわくわくしながら読み進めた。
話の展開も子気味よく、新しい発見があった!と思えばすぐに新たな疑問に直面したり。
そして、自らたちをホームズとワトソンになぞらえながら、共に謎を解いていくギリンガムとベヴァリーのやりとりが見ていて楽しいというか和むというか。
えっ、一応人死んでるミステリなのにこんなに和んだり二人のやりとりを楽しんでいていいのか?ってくらい二人がかわいい。
どちらも大の男で紳士的な側面もあるのに、なんだか少年が探検をしているようなかわいらしさ。
いや、人死んでるのに、こんな感想もなんだけど。
あとがきではミルンの探偵小説かくあるべき!な熱い語りが読めるのでぜひ。
私はてっきりプーさんのあとに本書(探偵小説)を書いたのかと思いきや、逆だったんですね。
この赤い館の秘密で好評を博し、次もぜひ探偵小説を!と所望されていたところにプーさんを書いたと。
その経緯もなんだか面白い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ー探偵小説にロマンスはいらないー
私「それな!」 -
若い頃、赤川次郎さんの作品が好きで、赤川さんが、好きな推理小説ということで、当時読んだ別の訳のものは、判りづらくて挫折したが、今回の新訳版は、何が素晴らしいのか、はっきり理解できた。
「クマのプーさん」でお馴染みの、ユーモア作家「アラン・アレキサンダー・ミルン」が唯一書いた、この推理小説(1921年の作品)が、日本の江戸川乱歩の、探偵小説黄金時代のベストテンにも選ばれていたのは初耳だったが、シンプルながら見事な伏線と、意外なところからストンと気持ちよくオチるトリックは、素晴らしく思えたし、タイトルもある意味、上手く、私もすっかり惑わされた一人です。
また、この作品の特徴的なところは、ドロドロした感じがなく、すごく爽やかに物語が展開されるところと、弱者に対する優しい視線であり、探偵役のギリンガムと助手のベヴァリーの、楽しささえ感じさせる描写には、嫌味な感じは全く無く、ラストのさりげない思いやりに心動かされたのは、赤川次郎さんの作品に近いものを感じたりもしました。
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「くまのプーさん」を書いた人がこんなに本格的なミステリーを書くんだ!という驚きを常に抱きながら楽しめた。
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くまのプーさんの作者が書いた探偵小説。ふむふむ。面白そうだ。そんな軽い気持ちで読み進めていたが、これがズバリ、ミステリ黄金期の作品そのもの。こういう度直球を求めていた。そう感じた一冊。
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読みやすいし面白い。サービス精神にあふれた名品だな。
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物語の最後、「そうか、では、そこで殺人が起ったら、わたしに知らせてくれたまえ。探偵仕事にも慣れてきたからね」というギリンガムの台詞があり、この先、ギリンガム&ベヴァリーのコンビでシリーズ化される雰囲気満々なのだが、実際にはミルンは、この1作しかミステリを書いてない(残念!)。
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内容より これが100年前にプーさんの作者が書いたことに驚愕
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くまのプーさんで知られる作者による探偵小説。密室のもで、江戸川乱歩の探偵小説黄金時代のベストテンにも含まれている作品。おもしろかった!探偵役ギリンガムの品の良さ好きだし、ワトスン役ベヴァリーとのやり取りも殺人事件にあわないほのぼのさで好き。ラスト、手紙で明かされた真相にびっくりでした。いなかったのか…。