- Amazon.co.jp ・本 (379ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488118259
感想・レビュー・書評
-
あれ?フェル博士って、こんなに犯人に慈悲深い人だったっけ…。何かすごい違和感…。
怪奇色あふれる、うっさんくさい不可能犯罪モノの第一人者と言えば、カーの右に出る者は他にいないでしょう。
本作も、そんな期待を裏切ることなく、いつも通りのカー節炸裂です。
夜更けの嵐!
胡散臭い登場人物!
思わせぶりなセリフ!
死亡フラグ立てまくりな被害者候補!
実行可能性に乏しすぎる殺害方法!
いつも通りです!←
でも、ラジオシナリオ集の本作は、ト書きの部分で「簡潔に」状況設定や登場人物の形容を伝えなければならないので、その点はいつもの悍ましい奇怪描写炸裂!とはなっていませんでした。残念。
大衆向けのラジオ番組のシナリオだから、それほど期待してなかったって言うのもあるかもしれませんが、意外なラストものが意外と選りすぐってたのが嬉しかった。
相変わらず、殺害方法とかシチュエーションとか、色々と現実的じゃないんですけどね〜(笑)。そこも含めて好き(笑)。
以下、あらすじまとめー(OvO)φ
◎暗黒の一瞬…降霊会の最中、心霊学者が首を刺されて死亡した。ところが、その場にいた人間たちは、彼の悲鳴が聞こえた瞬間、儀式の為に全員が手を繋いでいたのだった!
◎悪魔の使徒…その部屋で一晩を過ごした人間は、翌朝死体となって発見される――そんな恐ろしいいわれのある部屋で、恋人への愛を証明する為に一晩過ごすことになった青年は、果たして生き残ることができるのか?
◎プールのなかの竜…プールの淵で、義兄を「父親殺し」の罪で糾弾する娘が選んだ復讐方法とは。
◎死者の眠りは浅い…かつて自分の立身出世のために、恋人を手酷く振った男に、死者からの電話がかかってきた。質の悪い悪戯かと思いきや、その電話は数時間前に電話線が切られていて不通の状態の筈だったのだが…。
◎死の四方位…青年とその恋人の目と鼻の先、深夜の路上で、ペテン師は背中をナイフで刺されて殺された。周囲に人影はなく、犯行現場に面した家々の窓は堅く閉ざされており、動機のある発見者の青年が殺害犯かと目されたが…。
◎ヴァンパイアの塔 …占い師に、恋人が毒殺魔だと糾弾された青年。そんな彼の目の前で、占い師は恋人が誤射した銃に撃たれてしまう。疑心暗鬼になる青年に、九死に一生を得た占い師は、恋人の化けの皮を剥がす為に一芝居打つことを提案するが。
◎悪魔の原稿…怪奇小説を読んだ恐怖で、果たして人は死に得るか?詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ラジオ・ドラマ集です。
全員が互いに手を取り合っている降霊会の最中、縛られたままの心霊研究家が殺されます。
密室状況下で死んでいた男は自殺かと思われますが、死体の周囲に凶器が見あたらない等の不可能興味が横溢します。
クリスマス・ストーリー「刑事の休日」と「新カー問答」も収録されています。 -
ラジオドラマの脚本。
アッと驚くどんでん返しが見事です。
先は読めるのだけどひっくり返す
手際・タイミングが見事。
フェル博士が必ずしも
頭の固い正義の使者じゃないところが好きだ。 -
ラジオ・ドラマの脚本を集めた異色短編集。従って地の文が無く、登場人物同士の会話だけで成り立っているため、読み易く、テンポも良い。
が、しかしもはやそれまで。
各々のプロットは興趣をそそるものではなかった。
結論するに、全く以って本書はカーマニアのコレクターズ・アイテムに過ぎないのだ。
カーにはもっと面白い話があると私は睨んでいるのだが、それに出遭えるのはいつの日だろうか?