- Amazon.co.jp ・本 (369ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488120023
感想・レビュー・書評
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『幻の女』よりこっちの方が好き。サスペンスではあるんだけど、ボーイ・ミーツ・ガールな青春小説でもある感じ。最初は頼りなかった男の子が、最後はすっかり頼りがいのある男になってるのも、いいんじゃないかな。
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都会と言う巨大な敵の中で事件の解決のために奔走する二人。が、実は二人が出会った時にその敵にはほとんど勝っていたんじゃないかな。都会は孤独の象徴で、それを克服出来なければ結局どちらも都会=孤独に飲まれてすぐに終わっていたことだろう。
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他殺体を発見した若い男女が、わずか3時間のタイムリミットの中、犯人捜しにのり出します。2人で故郷へ帰るため。時間に追われる急速な展開に、はらはらどきどきしながら読んだ少女の頃の自分を思い出しました。
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遺体を確認したのが2時半、犯人探しに乗り出したのがほぼ3時、6時初の長距離バスが出る前に犯人を捜すって…ムリっしょう?
ロバート・ラングドンよりも短い時間で事件を解決する。一晩で左利きの人にそんなに会えるの?などなど、不自然なところはあるもののスリリングで展開が早く面白かった。
アイリッシュの小説はヒッチコックの「裏窓」やジャンヌ モローの「黒衣の花嫁」など多くの映画原作になっている。本書は日本のサスペンスドラマとして何度も作られ、他にも日本のドラマの原作になった作品が多数存在する。 -
わずか5時間25分の物語。この短い時間の間に、これだけの出来事が起こったというのは信じられないくらいだ(実際、信じられない!)。
しかしながら、二人の出会いに始まり、奇妙な殺人事件との関わり方、そこから脱け出すための必死の闘いへと、話を膨らませていく作者の手腕は実にすばらしい。
微に入り、細を穿つ懇切丁寧な状況描写、情景描写、心理描写。これが作者の真骨頂。多少、くどいとも感じられるが。
ご都合主義で、いかにも小説上での出来事としか思えないストーリー展開ではあるが、手に汗握るサスペンスミステリ―。 -
テンポよくあららぁ…と思わせながら、時間にも追い詰められながらつい急いで読み進めてしまった。
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田舎から都会に出て来て挫折した同郷の若いカップルが殺人事件に遭遇し、手分けして犯人を捜すサスペンスという設定だが、警察に通報して立ち去ればいいのに執着する理由がちょっと弱い。
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流行歌の歌詞から汽車や列車が消えて随分たちます。
まして長距離バスとなると今の読者には
ピンとこないかもしれません。
でも、このタイムリミットサスペンスは
ある種の人間にとっては
とても切ない物語なのです。
朝6時に出発するのは、
都会に疲れた若い二人を
故郷へと連れて帰る長距離バス。
だが、そのバスに乗る為には
自身の身に降りかかった濡れ衣を
晴らさなければならない。
章ごとに冒頭に付けられた
アナログ時計の絵、
その針が一章ごとに進んでいくのですが
設定されるタイムリミットが
心理的タイムリミットであるところが、
この作品の最大の魅力。
彼らにとってはどうしても、
明日の朝のバスでなければいけないのです。
その夜出逢ったばかりの若い男女、
恋人同士ですらない彼らの
挫折と再生の物語は、
確かにステレオタイプかもしれませんが
それでも力強く人間の根源を揺さぶる
感動があります。