ピカデリーの殺人 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488123031

感想・レビュー・書評

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  •  これはちょっとおもしろい。まずはチタウィック氏。探偵というよりは道化役といったほうがいい。ホームズではなくワトスン型。以前の作品はもう忘れてしまったが、たぶん名探偵というよりはユーモラス探偵の部類なのでは。思わぬ犯行現場を目撃してしまったばかりに、明々白々な証言を覆すように関係者に懇願されて、しぶしぶ事件を見つめ直したところ、思わぬ展開になる。このあたりのひっくり返し方はなかなかうまい。最後の真相もうすうす気づきはするもののまずは意外性があるし、きっちりと出来上がったミステリという感じ。もう100年近く前の作品だが、ミステリは新しきゃいいというものじゃないと改めて思う。

  • 毒チョコで活躍したチタウィック氏が活躍。ホテルのカフェで老婦人のカップへ男の手が伸び、不自然な動きをしたところを目撃してしまったチタウィック氏。席を外して戻ってみると、怪しい男はテーブルから姿を消し、老婦人は青酸性の毒を盛られて死んでいた…。

    チタウィック氏のキャラクターが謙虚で大人しい。伯母さんの尻に敷かれつつ道楽の犯罪研究に関しては一級品という、いかにも犯罪学オタクって感じでしたね。(まぁ、大人しいと言いつつ、スコットランドヤードの現場検証に立ち会えて舞い上がってハイテンションになるところや、胡椒事件の所などこれまたいかにもオタクっぽいドタバタで、このキャラクターらしい活躍のさせ方だったとは思います。胡椒事件の所なんかは、頭の中で佐々木倫子作画で描写されてましたw)

    単純な事件かと思われたのに、なんだかんだで素人探偵をするはめになったチタウィック氏。少ない手掛かりから、徐々に話が膨らんでいくところはさすがバークリー。シェリンガムみたいに奇妙奇天烈な言動があるわけではないので、全体の印象としてはおとなしめか。(犯人の手が凝りすぎてる印象はありますが、表には出てこないところが多いのでもったいないというか何というか)
    あ、マウスが良い持ち味のキャラクターでファンになった。

  • 伯母と犯罪学と切手蒐集から成る人生に安住していたチタウィック氏はピカデリー・パレスのラウンジで対象者には傍迷惑な趣味の人間観察をしていたら、偶然殺人の現場を目撃してしまいます。
    男の手が老婦人のカップの上で怪しい動きをするのが目に入ります。
    しばらく席を外して戻ってみると男の姿はなく、老婦人は死亡しています。
    状況からして男に青酸性の毒を飲まされたと考えられます。
    伯母さんと言う他ない被害者、そして、同じ卓を囲み怪しい振舞を見せたその甥っ子。
    皮肉な成行きに嘆息しながらも氏は訴追側の証人として渦中の人となりますが、容疑者の妻の泣き落としに負けて、親切な彼は自分の見たことに反して事件の再捜査を引き受けてしまいます。 
    こういうチタウィック氏のキャラクターがおもしろいです。
    ユーモラスな作品でテンポ良く話が進みます。
    チタウィック氏はロジャーとは違い、持ち前の謙虚すぎる性格のおかげでミスをしないようです。

  • チタウィック氏が日本の殺ドラの主人公に似たぽやぽや具合で好きです(窓際太郎とか笑)個人的にはリンが好きだなぁ…。

    (感想は読み直した時に追記します)

  • 巻末の小林晋氏による解説が圧巻。

  • アンブローズ・チタウィック・シリーズ

    ピカデリー・パレス・ホテルでの毒殺事件。発見者のチタウィック氏の証言で被害者であるミス・シンクレアの甥リン。リンと被害者が口論する所を観察していたチタウィック氏。リンの妻ジュディスの頼みで捜査を開始するチタウィック。変装する謎の被害者の秘書・メアリー・グール。被害者の手に残された毒物の瓶の謎。アメリカにすむハロルド・J・ベンスンの存在。

     2010年8月

  • バークリーの面目躍如というかなんというか。ユーモアと批評精神に溢れた物語であることは間違いなく、それがまた物語には大して必要もないのに面白い。またそれだけでなく伏線から事件の経過から真相を解き明かす時の論理的な手順から凡百のミステリなんか目じゃないくらい。ただまあバークリーならこれくらいと思ってしまうのは損なことかも知れない。

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