- Amazon.co.jp ・本 (405ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488123079
作品紹介・あらすじ
高名な探偵作家ヒルヤードの邸で、ゲストを招いて行われた推理劇。だが、被害者役を演じるスコット=デイヴィスは、二発の銃声ののち本物の死体となって発見された。事件発生時の状況から殺人の嫌疑を掛けられたピンカートンは、素人探偵シェリンガムに助けを求める。二転三転する論証の果てに明かされる驚愕の真相。探偵小説の可能性を追求し、時代を超えて高評価をを得た傑作。
感想・レビュー・書評
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これも好き。シェリンガムのおかしみ。このままじゃ終わらないよね、と思ったところからの二転三転。人は見かけによらない。
巻末のアントニイ・バークリー著作リストを見て、まだ読んでいないのがこんなにあるとニヤニヤ。 -
安定だな
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2020/11/03
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ええええーっ! てなります(笑)
あと、語り手のピンカートンが、なかなか自分のことがわかっていない風で、それを理屈っぽく分析してみせるあたりが笑いをさそうというか、ふしぎなユーモアをたたえている。
その、自分がわかってるのかわかってないのかようわからんあたりが、なんともunreliable narrator な雰囲気をたたえてはいるのですが。
『毒入りチョコレート事件』のシェリンガムが登場するあたりはなかなかじゃジャジャーンというかんじでかっこいいのですけどね。 -
面白くて一気読みしてしまった。倒叙モノならではの犯人の恐れと応戦、探偵役の捜査と追求、ロジカルに徹したストーリーの運び方、どれをとっても質が高い。 唯一ケチをつけるなら碓氷優佳と伏見以外の人物が少々間抜けで、優佳の指摘の幾つかは誰かが気づいてもよさそうなモノだ。だが本当にそれくらいしか欠点がない。 伏見には共感するところが多く自分もきっと同じような思考で行動するなと思う反面、優佳の気付くポイントにも察しが付くので「気づけ!怪しまれるぞ!」とつい応援をしてしまう。感情面でも、優佳に対する心情は痛いほど解る。
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探偵小説のその先へ
探偵小説であり犯罪小説でありアンチ探偵小説であり童貞小説であり恋愛小説でありツンデレ小説であり本格ミステリである。バークリーらしいとはこのことなのか…
殺人劇の最中に起きる殺人なのだが、殺人劇を企てるあの邪悪な会合。完璧ではないか!
登場人物も読者も手に汗握る暴露。一瞬のうちに殺意が巻き起こる。
なんといってもピンカートン氏。彼の魅力にとことんハマってしまった。童貞中年可愛くて仕方がなくなる。ツンデレに振り回される様が可笑しくて可笑しくて…
シェリンガム氏が仕掛ける◯◯による証明。「ジェゼベルの死」を読んだ後だと、また新鮮。
そして…冒頭から、この作品が指し示してきた道標は、推理小説のマンネリや、読者への挑戦を跳ね除ける。本ミスファンは必読の大傑作。 -
頭の切れる探偵が最後にすべての謎を解き明かす...という探偵小説の伝統的な構成を取りつつ、その裏にもうひとつ仕掛けがあるところが巧み。というか、作者の意図的なアンチ。
殺害に至る様々な動機が錯綜してカオスな現場になるところがユーモラスで楽しい。 -
初回は物語の動かし方に驚き、再読でその完成度の高さに驚く。信じられないほどの傑作。
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久々の再読だけど、ラスト以外結構忘れてて楽しめた。警察の捜査がシェリンガムに都合の良いようにいい加減なのはいまいちだけど、ピンキーのだめっぷりが可愛くて声だして笑った。事件の内容よりも、登場人物たちの書き分けの上手さが際立ってるかな。ラストもバークリーらしいし、これ好きです。