死の匂い (創元推理文庫 140-4)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488140045

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  • (あらすじ)
    ステラは大富豪の一人娘。唯一の肉親である父が病に倒れ、多くの名医達が手の施しようがないと諦める中、一人の青年医師スペンサーが治療に辺り、父は奇跡的に助かった。

    ステラの人生に現れたプリンス=スペンサー、やがて二人は結婚する。スペンサーは自分の研究に打ち込むための研究所がほしいと望んでいた。ステラは資金協力すると口では言っていたが、のらりくらりと先延ばししていた。

    研究所を与えてしまうと彼は研究に没頭し、自分の事を省みなくなる…と思い、旅行やギャンブルなどの自分の世界に彼を連れ回す。この金銭感覚のズレが次第に夫婦間の亀裂となっていく。

    やがて大富豪である父亡くなると、夫の反撃が始まる。彼女に恐怖と死の影がじわじわと迫って来る。
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    私はこのヒロイン、好きになれない。一体どうしたらそんな結論に至るのか?彼女の思考回路がわからない。

    ただただ夫を自分の側に侍らせたくて、彼の夢を阻害する。全くもって子どものように頭が悪い。そのくせ自分では頭がいいと思っている。読んでいるとイラ

  • カトリーヌ・アルレー(Catherine Arley)の長編第一作(1953)。原題は Tu vas mourir! 望月芳郎訳。
     舞台はアメリカ東海岸。大富豪の娘ステラは、父の命を救った青年医師スペンサーと結婚するが、享楽的な生活を続けたい妻と、研究のために財産を使いたい夫との亀裂は深まっていき……。
     物語はステラの視点で描かれる。終盤、追い詰められたステラの心理描写がサスペンスフルだ。

  • 身勝手で性格が悪く嘘つきの富豪令嬢が主人公。登場人物は3人、後半はベッドに寝たきりで物語はすすむ。

  • 私の中でもっとも衝撃を受けた小説。

  •  処女作にして著者ならではの悪女ものという触れ込みだが、これを悪女というほどのものか。自己中心的で度し難くはあるが、悪女というのとは違うのでは。もっと悪知恵のはたらく冷徹な悪女など他の作品にいっぱいあろう。本作のステラはまだまだ可愛げがあり、末路はいっそあわれで、ここまでしなくてもと思ってしまう。中風に故意に感染させたり抗血清で治療したりという科学的な荒唐無稽さはおくにしても、スペンサーのやりくちもどうかと思う。筋書きはともかく、ステラの長々とした心理描写や独白は、さすがアルレーというところで、それが何よりの読みどころだろう。

  • イヤミス、イヤミス、本当にイヤミスです。プロローグで結末は分かっているのですが、それに向かっていく後半の展開が本当につらいです。
    ステラがスペンサーに気づかれないように、なんとか彼を操ろうとしている様子は、なかなか面白かったです。ただそれが行き当たりばったりで、あまり知性を感じさせないのはやや物足りない感じを受けました。
    その点アルレーの出世作である「わらの女」では、知力と知力のぶつかり合いがありましたので、そちらの方が格上の感じはあります。
    とはいえ、「死の匂い」はそういう傲慢で愚かな女が、本当の本当に底まで行って初めて改心するというのも、またさらに愚かしいように思えます。そしてあまりにも愚かしさゆえの悲しさもまた感じます。
    そういう意味では同じようなイヤミスである「わらの女」とはまた違った感じを受けました。
    じつはスペンサーが…というような展開も予想しながら読んでいたのですが、結局そういう話はありませんでした。それなら最初のプロローグは無かった方がよかったのでは? とも思います。しかしあれがなかったら、中盤の展開は退屈で、読み進められたかどうかは正直怪しいですし、難しいところですね。

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