ひよこはなぜ道を渡る (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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本棚登録 : 71
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488159214

感想・レビュー・書評

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  • おなじみのトビーとジョージの最後の事件とのこと。今回は特にトビーが、頑張っている。何か隠している女友達を殺人犯の汚名から救おうと奮闘する一方、ジョージは殺人には関わらないと宣言して協力しようとしない。でも最後には美味しいところを持っていく所は相変わらず。目新しさは全くないが、安心して楽しめる作品だ。

  • 旧友のジョンに呼び出されたトビー。トビーが発見したジョンの死体。屋敷は無人で荒らされた後があり血痕が残されていた。しかしジョンの遺体には傷がなく血が誰のものか不明。現場に現れたトビーとジョンの友人コンスタンツ。ジョンの妻であるリリの秘密。ジョンが信頼していた作家アグブルックの行方不明。かつてトビー、ジョン、アグブルック、コンスタンツが下宿していた宿の女将ワース夫人。発見されたアグブルックの遺体。逃亡したコンスタンツ。トビー、コンスタンツ、ワース夫人に遺産を残したジョンの遺言書。リリの秘密を握り強請をかけていたアグブルック。

  • 1942年発表の〈トビー&ジョージ〉シリーズの第5作にしてシリーズ最終作となる作品です。
    このシリーズは「驚愕!の~」というものこそ有りませんが、魅力的な謎と凸凹探偵コンビの活躍による、何とも言えない楽しさが特徴です。
    本作品でも明らかに殺人が行われた痕跡のある現場に、明らかな自然死の死体があるというとても魅力的な謎が扱われています。
    しかし何で邦題はこれになったんですかね?(作中にも出てくる英語の慣用句なんですけどね。)

  • 桜庭一樹セレクト本。
    初めて読む作家さん。
    「殺人なしの死体と、死体なしの殺人」という、おもしろい設定に、ひきこまれ。
    次から次へと、あやしくも個性的なキャラが出てきて。
    探偵役なのかと思った、主役(だよね?)のトビーが、なんだか謎解きできてなくって。
    まぁったくやる気のない、ぐだぐだしてるだけに見える居候ジョージが、謎解きしちゃう。
    ……お、おもしろい。
    作者のつくりだした名コンビ《トビー&ジョージ》の最後の事件らしい。
    えっ、最後?
    ほかの事件も、読みたくなった。

  • +++
    旧友のジョンに請われて、彼の屋敷を訪れたトビー・ダイク。屋敷の様子に不審を抱き、邸内に侵入したトビーが目にしたのは、書斎でこと切れている友の姿だった。部屋には弾痕や血痕、争ったあともある。だが、その後判明したジョンの死因は“自然死”だった…?“死体なしの殺人”と“殺人なしの死体”を巡る、切れ味鋭い本格推理。名コンビ『トビー&ジョージ』最後の事件。
    +++

    誰もいない真っ暗な家にラジオだけが鳴り響く。格闘の跡がうかがえる部屋に弾痕と血痕、そこにあった死体は自然死。なんとも不可思議な事件現場の様子から物語ははじまる。椅子に座ってこと切れていた旧友・ジョンは、何のためにトビーとコンスタンスを呼んだのか。ジョンの妻のリリと使用人たちは一体どこへ行ったのか。山のような謎に、関係者たちの思惑が絡み合い、事件を余計にややこしくし、読者にはラスト近くまで全貌が見えてこない。翻訳ものは相変わらず苦手ではあるが、トビーとジョージの息が合っているのか合っていないのかよく判らないコンビの目のつけどころと推理の過程を愉しめる一冊だった。

  • あああ、ついにシリーズが終わってしまった・・
    1冊目からあっという間だったな~

    今回はトビーがでずっぱりで、ジョージはほぼ黒子状態だった。ジョージは前作と打って変わって本気で犯罪捜査に関わるのをマジで嫌がってたから、この2人はこれを機に別々の道を行っちゃうのかな、とか妄想してみたり・・

  • シリーズものなのに最終巻から読んでしまった...でも、面白かった。
    ジョージかわいいよラブいよ何このこ。
    訳も良かった。他のも読もう。

    1940年代に書かれたってことがわかるのはクラシックな舞台装置があるからで、キャラクターはそのまんま現代の問題として使えそう。特に親子関係。
    女の子の書き方が上手だ。

  • これはmarieさんに送っていただいた本、「その死者の名は」で始まる<トビー&ジョージ>シリーズの第5作、1942年作ですね。<BR>
    <BR>
    旧友のジョンに頼まれてその屋敷レドヴァーズ荘を訪ねたトビーは、激しい乱闘の痕跡の中で穏やかに微笑んで死んでいるジョンを発見した。現場に残る弾痕と血痕にもかかわらず、ジョンは自然死だった。屋敷から姿を消した作家のアグブルックが犯人と目されたが、彼は射殺死体で発見された。ジョンとアグブルックの死の真相を追うトビーの自動車は細工され、事故に遭遇してしまう!事件に漂う恐喝の影。<BR>
    誰が誰をなぜ脅し、誰が誰をなぜ殺したのか?<BR>
    <BR>
    このシリーズでは、颯爽と謎を解くかっこいい探偵のトビーの推理が実はまるっきりスカで、ほんとに事件を解決するのはぽっちゃりとしたジョージのほう。そのミスマッチが何とも言えない面白みを出してるんですが、それはこの作品でも同様です。ジョージが出てくるのは全体のほんの一部、しかも、事件に関わるのをとっても嫌がってるんですよね。それでも、最後にはしっかり名探偵振りを発揮して、事件を解決に導きます。アリバイや意外性などがきっちり積み上げられた中にユーモアの漂う、読んでて楽しい作品でした。しかし、このトビーって、あんなに下手っぴな推理しか出来ない癖に、いつもいつも探偵になりたがる、ほんまにめげないヤツですね。

  •  トビーとジョージシリーズ最終作

     いつも奇抜な謎を出してくれるこのシリーズ、今回は死体なし殺人と、殺人なき死体。

     トビーの迷探偵ぶりは相変わらずだが、今回はジョージの出番が少ない!! いつもの無茶をもっと読みたかった気もする。でも終盤はきっちりと決めてくれます。

     このシリーズ、出版順に訳されたわけではなく、出版順にすると「その死者の名は」、「細工は流々」、「自殺の殺人」、「猿来たりなば」、本書、となる。

     後書きで訳者は「インパクトのある作品でミステリファンにアピール」しようと「策を練った結果」あの、チンパンジーが誘拐されて刺殺体で発見される「猿来たりなば」になったそうだ。

     私なんかだと、推理小説のトリックが色々仕掛けられた屋敷が出てくる「細工は流々」なんかを出したいところだけどそれは私の好みの問題でしょう。

     後書きと解説も含めて楽しめました。

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著者プロフィール

本名モーナ・ドリス・マクタガート。別名義にE.X.フェラーズ。1907年、ミャンマー、ヤンゴン生まれ。6歳の頃、英国へ移住し、ロンドン大学でジャーナリズムを専攻。1930年代にモーナ・マクタガート名義の普通小説で作家デビューし、ミステリ作家としては、「その死者の名は」(40)が処女作となる。英国推理作家協会(CWA)の創設メンバーとしてミステリの普及に尽力し、1977年にはCWA会長を務めた。代表作に「猿来たりなば」(42)、「カクテルパーティー」(55)など。95年死去。

「2020年 『亀は死を招く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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