小鬼の市 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488168087

作品紹介・あらすじ

カリブ海の島国サンタ・テレサで、オクシデンタル通信社の記者として働くこととなったフィリップ・スターク。前任者の死をめぐる不審な状況を調べ始めた彼は、死者が残した手がかり-謎の言葉"小鬼の市"-を追いかけるうち、さらなる死体と遭遇する…。第二次大戦下の中米を舞台に、『ひとりで歩く女』のウリサール警部とウィリング博士、二大探偵が共演する異色の快作。

感想・レビュー・書評

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  • 精神科医ウィリング6作目。

    今までの作品と違って、南の島、第二次世界大戦中、
    無職の元記者というお話。

    通信社の支局、
    といっても他には雑用係しかいないような
    小さな支局の支局長が亡くなり、
    その後任に入り込む元記者。
    ところが、支局長は事故死ではなく
    殺人だったことを気づかされる。

    通信社の雑用係、前支局長の愛人、
    ライバル社の女性記者、アメリカ領事、
    石油会社や海運会社の役員といった、
    いかにも怪しい人物たちが次々と現れ、
    異国の島の狭い人間関係が、
    嵐の孤島でもなければ、吹雪の山荘でもないのに、
    クローズドサークルばりの緊張感と急展開で
    面白かった。

    さて、ちらりと新聞記事に登場した
    精神科医のウィリングはどこに。

  • 物語ぎりぎり最後になってベイジル・ウィリングが登場、この展開は衝撃的だ。
    ……それにしても記者になりすましたウィリングの、記者としての仕事はどうなってたんだって!? あとウィリングって格闘技そんなに強いんかいって!? それから被害者の残した暗号は凝りすぎてこんなの誰が解けるんだッて!?
    まぁ本作のジャンルは、屈託のないスパイ活劇としておこう。

  •  またわけのわからないタイトルを。そしてまたずいぶん時代がかった設定だ。1943年の作だから無理もないが。戦争さなかにありながらどこかのんびりとしたカリブ海の島で起こる殺人事件。といっても狭い世界で限られた登場人物のなかの話なので広がりに乏しく一幕物の舞台劇を見るかのよう。この作者の造り出した二大探偵、ウリサール警部とウィリング博士が共演する異色作との触れ込みだが、ウィリング博士は知ってるけどウリサール警部って前に読んだかな。共演といいながらウリサール警部は大して活躍してないし、ウィリング博士に至っては名前だけしか登場しない。代わりに八面六臂の活躍をするのは前歴不詳の通信社記者フィリップ・スターク。なんかへんだよなと読み進んだら最後におおおっという大技が仕掛けられていた。さすがはマクロイ。

  • 第二次大戦におけるスペインの政治情勢が柱となって物語が展開するために、そのあたりの知識がないとちょっと理解が難しい内容ではないかと思う。但し、謎が謎を呼ぶプロットづくりは十分惹きつけるものがあり、また謎の解決に向けた伏線の貼り方などもさすがだと思う。更には、意外な結末もなかなか面白く、読み応えのある作品だと感じた。

  • The Goblin Market
    Helen McCloy
    1943

    1、記者の死
    2、逆風が追い風に転じる
    3、死者の後釜にすわる
    4、電報文体のレッスン
    5、死の格闘
    6、Cの正体は?
    7、ビセンテは残るよ、いつまでも
    8、失われた答え
    9、警察は無関心
    10、最初の訪問者
    11、異例の要請
    12、超人現わる
    13、これが答えか?
    14、恐怖の夕べ
    15、三本の灰色の印
    16、化け物じみたもの
    17、サウスショア通り
    18、悪魔の手先
    19、“ありそうもないこと”
    20、ゴブリン・マーケット
    21、“オクシデンタル社に本日入ったニュースによると……”
    解説・福井健太

  • 目配せしあっている、怪しい仲間たち

    第二次世界大戦中のカリブ海に浮かぶ島国、サンタマリア共和国を舞台に物語は始まる。
    アメリカ新聞社の支局長が不慮の死を遂げ、その死に疑問を抱き、解明を図る。

    うーん、、、期待していたのと違った。

  • 第二次世界大戦下のカリブ海の島国を舞台に繰り広げられる上質のサスペンス。まさに戦時中に発表された作品であるにもかかわらず、通信社の記者という主人公の設定と彼に関わる登場人物の造形がうまく、古臭さをほとんど感じずに楽しめる。

  • サンタ・テレサで殺害されたピーター・ハロラン。新聞社の支局長として何かをつかんだのちに殺害されたのか?たまたま無色でサンタ・テレサに滞在していたフィリップ・スタークが新支局長となる。ハロランの死に疑問を持ったスタークの捜査。ライヴァル新聞社の支局長ミッチの協力。戦争中の事件。フランコ将軍政権下のスペインからやってくる海運会社の重役ペランダ。彼の愛人のコンスエロ・アクイダの死。スタークにかけられた容疑。ハロランが残した暗号の秘密。サンタ・テレサに入港するタンカーを所有する石油会社の地区担当役員クラレンス・エメットの秘密。ウリサール署長の捜査と証拠の鑑定をペイジル・ウィリングに依頼したミッチ。フィリップ・スタークの過去に隠された秘密。

  • 2013/03/02読了

  • 第二次世界大戦下、カリブ海の島国サンタ・テレサを舞台に繰り広げられるサスペンス。(書かれたのが1943年ということを考えれば、当時としては社会派とも言える?)
    アメリカの通信社の記者が急死し、その後を引き継いだスタークは事故死とされた前任者の死に疑問を感じる。彼は何やら特ダネを追っていたらしく、それを調べるスタークの身にも危険が…
    次々と怪しい人物が登場してテンポよく話が進んでいき、ラストではちょっと意表を突かれる、やっぱりマクロイは楽しい。
    『ひとりで歩く女』のウリサール警部の再登場も嬉しい。

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著者プロフィール

Helen McCloy

「2006年 『死の舞踏』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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