- Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488168124
作品紹介・あらすじ
ヨークヴィル大学構内でフォイル次長警視正が拾った紙片には“殺人計画”が書かれていた。決行は今夜八時。“犯行現場”の建物で拳銃の紛失騒ぎが起きたこともあり、八時に大学へ戻ったフォイルは死体を発見する。被害者は亡命した科学者コンラディ教授。月明かりの中を逃げる不審人物が三人の男に目撃されていたが、彼らの説明はすべて食い違っていた! 大学を舞台にした殺人に精神科医ウィリング博士が挑む、傑作本格ミステリ。
感想・レビュー・書評
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私用で大学を訪れたフォイル次長警視正が、一枚の紙片を拾ったことから始まる事件。
空砲をぶっ放す不穏な実験に、怪しげな行動をする学生など序盤から盛りだくさんである。
中盤に第二、第三の事件が起き、大学の教授や理事など癖のある人物が次々と出てくるので、ちょっとわかりにくくなってくる。
これは、誰だった??の人物を振り返り捲るのも半端ないほど。
終盤で精神科医であるベイジル・ウィリングの推理が際立つ。
さすが人の心理を読むところに特徴があるのに頷ける。
中盤から少し時間がかかってしまい、気持ちがついていけなかったのが残念。
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アメリカの作家「ヘレン・マクロイ」の長篇ミステリ作品『月明かりの男(原題:The Man in the Moonlight)』を読みました。
ここのところ、アメリカの作家の作品が続いています。
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私用で大学を訪れた「フォイル次長警視正」は“殺人計画”の書かれた紙を拾う。
決行は今夜八時。
直後に拳銃の紛失騒ぎが起きたことに不安を覚え、夜に再び大学を訪れると、亡命化学者の教授が死体で発見された。
現場から逃げた人物に関する目撃者三名の証言は、容姿はおろか性別も一致せず、謎は深まっていく。
精神科医「ウィリング」が矛盾だらけの事件に取り組む、珠玉の本格ミステリ。
解説=「鳥飼否宇」
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1940年(昭和15年)に発表された名探偵「ベイジル・ウィリング博士」シリーズの第2作です。
ヨークヴィル大学構内で「フォイル次長警視正」が拾った紙片には“殺人計画"が書かれていた… 決行は今夜8時、、、
“犯行現場"の建物で拳銃の紛失騒ぎが起きたこともあり、8時に大学へ戻った「フォイル」は死体を発見する… 被害者は亡命した科学者「コンラディ教授」。
月明かりの中を逃げる不審人物が三人の男に目撃されていたが、彼らの説明はすべて食い違っていた… 異様な心理学の実験の痕跡、自殺か他殺かわからない状況、矛盾する目撃証言……。
幾つもの要素が錯綜する事件を解決すべく、「フォイル」は精神科医「ベイジル・ウィリング」に助力を仰ぐ… 「ベイジル」が丹念な調査と訊問をもとに、ある手がかりから導きだす事件の真相と犯人の名前は……?
第二次大戦前… ドイツでのナチスの台頭、ヨーロッパとアメリカの関係、亡命したユダヤ人や反ナチ、軍需産業等々、世界情勢や社会性等の時代背景を反映させた正統派の本格ミステリでしたね、、、
嘘発見器、心理実験等の当時の新奇な要素が取り入れられているところも興味深かったですね。
謎の殺人計画書に端を発する亡命ユダヤ人化学者殺し、三者三様に食い違う不審人物の目撃証言、第二、第三の殺人等々… 冒頭から読者を惹きつける展開は鮮やかでしたが、、、
全ての謎を論理的に解決していく終盤は、やや読み疲れた感じ… ロジカルで説得力抜群の解決は、本作品の醍醐味ではあるんでしょうが、もう少し軽くて愉しめる方が好みかな。 -
安定だね
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謎解きをするのは精神科医。
登場人物の背景を探るにつれて、少しずつ解決の糸口が見つかっていく。
密室ではないものの、動機がなかなかわからず。
久しぶりに謎解きを味わうことができた!! -
事件現場はアメリカの大学で、被害者は教授でオーストリアからの亡命者。事件当時は別の教授の研究で、バタバタしていた。内容は事件の時の犯人行動心理みたいな、そういう、いかにもな。丁度刑事が息子の進学を理由に大学を訪れ、殺される前の教授に会っている。捜査に精神科医ウィリングが加わる。金田一っぽいかも、この人。最後の最後であの時あなたこういってましたね、と始まる。全体的に好きな作風だが、このベイジル・ウィリングっていうキャラは、どーも弱味に欠ける人物で、いわゆる面白みがなく、スカしたヤローで、あんま好きくない。
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初期のウィリング博士もの。大学の実験室内での不可解な殺人事件。いわくありげな心理学の実験やナチスドイツからの亡命科学者の謎の実験などのエピソードがからみ、探偵役が精神医学者なので神経疾患が小道具に用いられて話を複雑にしているが、関与人物は限られその利害関係も徐々に明らかにされるので話としては単純だ。犯人の意外性というよりはウィリングの探偵手法と怪奇趣味的味付けが読みどころか。化学フリークとしては人工クロムだのクロム鉄なる新?物質が気になるのだが、クロム鉱の市場価値を下落させるというのが謎だ。ステンレスなどならよけいクロムの資源価値は高まりそうなものだけど。
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謎の提起、トリックの形成などに不自然なところが多く、つまらないとは思わないが、推理小説として今ひとつの出来だと感じる。
解説にヘレン・マクロイが人気だとのコメントがあるが、本書を読んだ限りその理由がよくわからない。 -
(蔵書管理)ウィリング博士ギゼラさんに出会うの巻。