- Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488170042
作品紹介・あらすじ
本好きの老婦人ペギーが死んだ。彼女は「殺人コンサルタント」を名乗り、数多くの推理作家の執筆に協力していた。死因は心臓発作だが、介護士のナタルカは不審に思い、刑事ハービンダーに相談しつつ友人二人と真相を探りはじめる。だがペギーの部屋を調べていると、覆面の人物が銃を手に入ってきて、ある推理小説を奪って消えた。謎の人物は誰で、なぜそんな行動を? 『見知らぬ人』の著者が本や出版をテーマに描く傑作謎解きミステリ。
感想・レビュー・書評
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東京創元社 編集者が明かす、傑作海外ミステリーの見つけ方 「言語化できる強い魅力がある作品を選ぶ」|Real Sound|リアルサウンド ブ...東京創元社 編集者が明かす、傑作海外ミステリーの見つけ方 「言語化できる強い魅力がある作品を選ぶ」|Real Sound|リアルサウンド ブック
https://realsound.jp/book/2023/04/post-1310112.html2023/04/27
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死んだ老婦人を取り巻く色々な登場人物の思いが丁寧に書かれていて、それがじわじわと犯人を追い詰める様子がゾワッとした。本が好きな方なら作中沢山散りばめられる作家の名前にも楽しみを見いだすと思う。
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多くの推理作家の執筆に協力していた老婦人・ペギーが亡くなった。死因は心臓発作だが、介護士のナタルカは不審に思い、ハービンダー刑事に相談する。さらに二人の友人とも真相を調査し始めて──。
“殺人コンサルタント”と名乗り、推理作家に殺人方法を助言していたおばあちゃんの死!それを調査する素人探偵三人組は、賃金が少ない介護士なのに金持ちのナタルカ、彼女に思いを寄せる元修道士でカフェオーナーのベネディクト、ペギーの友人で元BBCの80歳・エドウィン!個性が豊かすぎるよ!
ミステリとしての趣向を凝らしながらも、群像劇としての味わいが濃い作品。各キャラの生い立ちは人種問題やジェンダーにも切り込んでいる。舞台の英国に加えてウクライナとロシアにも言及があり、著者も発刊時に予想できなかった現実になっていると思われる。この作品を今読めてよかったなと。イングランド南端(ショアハム・バイ・シー)からスコットランド(アバディーン)への長旅の描写など、風土に触れ合えるシーンも面白かった。あの三人組とパブでウイスキーやビールでも飲みたいって気分にさせてくれる。
「老いはだらしないことの言い訳にならない」と身なりをきっちりするエドウィンが素敵だなあ。亡くなってしまったペギーをはじめ、生き生きとした老人たちの姿も想像できて、こんな年の取り方がしたいと感じた。カプチーノにハートを描き続けるも、ナタルカにちっとも気づいてもらえないベネディクトも好き。ハービンダー刑事は前作『見知らぬ人』でも登場したとのこと。ぼくは未読だったけど、順番は特に関係なさそうでよかった。ハービンダーが登場するシリーズとして次作も発刊されているようで、そのうちに翻訳されるのかな?
400ページ越えの作品。とにかく登場人物とその背景にある情報が多すぎて、ミステリ成分はその分だけ薄まったように感じてしまった。“殺人コンサルタント”と呼ばれた老婦人の死の秘密とは!?みたいなキャッチーな話ではなかった。窓辺の愛書家の話なのに、950キロ離れたアバディーンへ車で走り出した時は困惑しかなかった。え?行くの?!みたいな(笑) ミステリの味わいを楽しめる群像劇として捉えれば読み応えがある作品だと思う。 -
海辺のシニア用共同住宅で、90歳のペギーが心臓発作で亡くなる。当然自然死と思われたが、介護士のナタルカは「殺人コンサルタント」なる肩書きがついたペギーの名刺と、部屋にあるミステリー小説の献辞にペギーの名前がいくつもでてくることを見つけ、警察に相談する。話を聞いたハービンダー刑事部長は捜査を開始するが、ナタルカもまた、生前のペギーと親しかったエドウィンとベネディクトを巻き込み、ペギーに献辞を捧げた作家たちに会いに行ってしまう。素人探偵団と刑事たちの群像ミステリー。
面白かった!くっちゃべりながらメシ食って、旅行気分で調査するコージーミステリー。表紙のおどろおどろしくオールドスクールな印象とはまったく違い、メインキャラクター4人の視点を細かく切り替えるめちゃくちゃ今っぽい語り口でサクサク読めるし、会話がとにかくうまい。
私にとってはなによりも群像劇として魅力にあふれた小説だった。メインキャラだけでもウクライナからの移民であるナタルカ、元修道士で今はカフェを営むバリスタのベネディクト、定年前はTV局員をしていたゲイのエドウィン、インドからの移民2世でレズビアンのハービンダーと生まれも育ちもばらばら。三人称小説だが、「視点が変われば偏見も変わる」というのを利用して饒舌に垂れ流されるそれぞれの思考の流れを読むだけで面白い。ミステリーとしても視点操作で巧みに情報コントロールされていると思う。
この物語のテーマは「すべての人の人生は謎だ」なんじゃないかと思う。ただのミステリー好きのおばあちゃんと思われていた女性が広大なバックグラウンドを持っていて、遂にそのすべてが明かされることはない。ジョーン、ヴェロニカ、シーラについても。だが、”出窓仲間”たちの姿をナタルカたち4人と重ね合わせて、彼女たちの友情のありようを想像してみることはできる。
読んでいて連想したのはルシア・ベルリンの『掃除婦のための手引き書』だった。故郷から遠く離れて暮らし、人生の段階ごとにまったく異なるいくつもの「私」を持っている人たちがこの小説にはたくさんでてくる。ナタルカがさらりと客室掃除係をやっていたと言うところや、出版エージェントのジェリが介護士や軍人の経験もあると語るシーンは印象に残る。読み終えて人生賛歌のメッセージを感じるのは、こういうさりげないバックグラウンドの書き込みの力でもあると思う。
最初のほうに「彼女は親友だった。この年で新しい友だちを作るのはむずかしいからね」「いくつでもむずかしいですよ」というエドウィンとベネディクトのやりとりがある。ナタルカたちの旅をラストまで見届けたあとには思いださずにいられないセリフだ。大人しかでてこない、しかもシニア用共同住宅が舞台の作品なのに、青春小説を読んだようなのだ。作中でも「居心地のいい犯罪[コージー・クライム]か。矛盾した表現だな」と自己言及的なセリフがあるけど、とても利己的な連続殺人の真相が明らかになっても、読後感はどこまでも爽やか。読むとブラウニーとショートブレッドがほしくなる。 -
”殺人コンサルタント”と名乗っていた元公務員の90歳の老婦人ペギーが窓辺で死んでいるのを訪ねて来たウクライナからやってきた介護士のナタルカが見つけた。多くの殺人方法をいくつも思い付き、推理作家の執筆に協力していたのだという。同じアパートに住む元BBC勤めの老人エドウィンと、修道士をやめて近くでカフェを経営している若者ベネディクトの3人は、担当のインド系の女性刑事ベネディクトと協力しつつ独自に探索する。
出だしから人種も過去もバラエティに富んだ面々だが、さらに物語が進むと、殺されたペギーにはポーランド出身の友人がいた、などなどさらに背景が広がり、ウクライナ出身のナタルカは2014の侵攻前にイギリスにやってきている、など現状の生生しいウクライナ情勢なども頭をよぎるのだが・・・ 後半になってなんだかだれてきた。○○は〇〇する。という形の訳文がちょっと読みずらい。原文もそうなのか。
2022.8.19初版 図書館 -
ハービンダー・カーシリーズ第2弾。
前作同様、架空の小説や小説家が生み出した物語が鍵を握る本作。
推理作家にアイデアを提供していた老婦人のペギーが、心臓発作により亡くなった。ペギーの死を不審に思った介護士のナタルカが、ハービンダーに相談しつつ、友人でコーヒーショップを営むベネディクト、老人のエドウィンと共に事件解決に乗り出すが、その後も殺人事件が起きて……というお話。
読者が真相に辿り着くためのヒントがあらゆる場面に散りばめられており、フェアな犯人当て作品と言える。 -
介護士のナタルカが尋ねた時には犯罪小説好きの老婦人ペギーが自宅で息を引き取っていた。不審に思ったナタルカはカー刑事に相談して友人2人と勝手に捜査を開始する。本と小説家を巡る事件の真相とは?個性的なキャラが魅力なシリーズ二作目→
謎解きとしても面白いんだけど、とにかくキャラクターがいい!
前作から引き続きのハービンダー・カー刑事はインド系の同性愛者で30代で実家住まい。
ヒロインのナタルカはウクライナ出身の20代で謎多き美人介護士。
友人のベネディクトは元修道士でカフェのオーナー。しかもかわいい嫁さんが欲しい→
80歳のエドウィンは元BBC勤務でオシャレに気を使う気のいい老人。
この4人だけでも楽しいのに、ここにハービンダーの家族やペギーが繋がっていた小説家たちもキャラが濃くて、みんながワイワイしているのを読むだけでも楽しい。
オチもしっかり驚いた。これは楽しい! 次作の翻訳も待ってます!!
(以下、読後すぐのツイート)
前作(見知らぬ人)がわたし的にハマらなかったので、期待値低めで読んだんだけど……
めちゃくちゃ面白いじゃないかエリー・グリフィス(窓辺の愛書家)
後半最高にいい。というか、読み進めるとどんどん面白くなる系のお話。じわじわくる感じ?
はぁ。楽しかった!
私は元気な高齢者が楽しく過ごすミステリが好きなんだよな。
歳を重ねても自分を大事に日々を生きているキャラがいるだけで引き込まる。