- Amazon.co.jp ・本 (445ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488173067
感想・レビュー・書評
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怖かった...夜中に家族が寝てから1人でリビングで読んでたから余計に。怖いけど、どうなるの?どうなるの?と気になりどんどん読み進んでしまった。
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この作家を一躍有名にした『そしてミランダを殺す』を読んでいない。昨年の『このミス』2位となったことで気にしているのだが、ぼくの側の環境が変化した。現在の新刊を追うことで手いっぱいの多忙な日々となり、いろいろと遅れを取っている。
しかしこの作家の凄みは、本作でも十分に味わえる。とても完成度の高い、幻惑に満ちたスリラーである。主人公がケイトというヒロインであるのは間違いないが、実はケイト以外の視点にストーリーはダイナミックに移動する。ロンドン在住のケイトが、会ったことのないロンドン在住の又従兄弟コービンと、半年間住居を交換し合うという経緯からすべては始まる。最初からタクシーでトンネルに入り込んだケイトが暗闇に対しパニック障害を起こすというイントロも、どこかヒッチコック映画を思い起こさせる伏線のように思える。
そして新居に着いた途端、隣室でその住人女性の遺体が発見される。完全な巻き込まれ方殺人事件と単純に思われるが、ストーリーテリングは空間と時間の歪みを自在に辿りつつ、視点と時制を変えて、物事が見た通りでは決してないということを読者に知らしめる。
真犯人しか知り得ない真実への経路は、時空の視点を変化させつつ、語られる作者の作品展開であり、実は何よりもそれこそが本書の優れた離れ業とも言える。凡百のホラーやサイコに陥ることを嫌い、ある異常な真犯人による凝りに凝った執着と異様なる性癖を、語り口によるスリリングな解き明かしによって描いてゆくのだが、これがむしろストレートなホラーよりもずっと怖い。背筋に何かが這い回りそうな、脂汗ものの嫌な種類の恐怖を感じさせるのだ。
視覚や聴覚、嗅覚や触覚にまで訴えてくる感覚的な怖さ、なのである。それでいて構成の妙で読者はぐいぐいと引き込まれてしまう。主要登場人物は多くはないのだが、それぞれに個性的であり、謎に満ちた疑わしい人物たちが、ケイトも読者をも幻惑させるかのように入れ代わり立ち代わり出現する。誰が誰であるのか? そんな足元さえぐらつきかねない懐疑は、やはり皮膚感覚的に怖い。
虚実入り乱れるとは、本書のような作品展開を言うのだろう。驚愕のスリラーであることを請け合いたい。個人的には『そしてミランダを殺す』も射程に収めておくことにしよう。 -
誰を信じていいのか、なにが本当で嘘をついているのは誰か。自分が知っていること、知らないこと。他人が知っていること、知らないこと。そこの駆け引きが面白い。思いもよらない出来事、展開に目がいくけれど登場人物たちの心の動き、自分すら疑ってしまうような混乱や焦り、読者にはフェアに伝えられているけれどそれでも先が読めない。前作も今作も満足度はすごく高くもっといろんな作品を読んでみたくなる。
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読み進めさせる力は強いのだけど
「カササギ殺人事件」の時にも感じたけど
こういうちょっと古めの造りって
流行ってるのだろうか?
「驚愕の真相が」「衝撃の〜」とかは弱く
前作のインパクトが強くて、驚きが少なかった…
期待し過ぎたというだけなので
「そしてミランダを殺す」を未読の方には
オススメ -
導入はよかったのに、読み進むにつれて入れ替わり立ち替わり視点が変わり、同じ場面が何度も繰り返されるとさすがにまどろっこしく感じてしまった。
別の視点から見たら実は…という手法は好きだけど、今作ではあまりうまく活かせていなかったように思う。ただ冗長なだけというか説明過多というか。ケイトともう一人くらいに絞ったほうがよかったのでは。
ケイトはいつも最悪の事態を想像をしてはパニックを起こしそうになっている。それなのにホラーやサイコ作品が好きというのが不思議。 -
主人公のケイトが又従兄のコービンと住居を交換した直後、隣人の死体が発見される所から始まるサスペンス。描写が非常に緻密で序盤は頁を捲る手が滞ったものの、話が動き出してからは俄然捗る。伏線を全て回収し、収まるべき所にきっちり収まる非常に懇切丁寧な作品ではあるが、筋書きの割に遠回りした印象は否めないし、犯人視点の第二部が冗長ゆえに第一部のラストをピークに物語も盛り下がっていく。犯人が典型的なサイコパスだと意外性がなさ過ぎてどうしても興醒めしてしまう。食事の描写は「そしてミランダを殺す」と同様に秀逸だったけれど。
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他の人が誉めている程、感激はしなかった。
多分和訳の文章を読みづらいと感じたせいかも。
本の中で一番気に入っているのはサンダースの描写。もしくは誰かが語るサンダースの性質。彼は建物全体を自分の住みかだと思っているし、住人全員を彼のスタッフだと思っている。可愛い。彼はこの建物に属している事は明らか。