クリスマスの朝に (キャンピオン氏の事件簿3) (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488210069

作品紹介・あらすじ

小学校時代の同級生ピーターズが病死したという新聞広告を見たわたし、アルバート・キャンピオン。卑劣ないじめっ子を葬儀で見送ってから半年後、殺人事件の捜査に協力を求められた警察署で見た死体に、わたしは驚愕する! 本邦初訳の傑作中編「今は亡き豚野郎の事件」に、十数年後の同じ村が舞台の忘れがたい名作「クリスマスの朝に」、アガサ・クリスティによる著者への心温まる追悼文を併録する、巨匠アリンガムの第三作品集。

感想・レビュー・書評

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  • 文句なしにおもしろかった!
    今は亡き豚野郎の事件(中編)
    クリスマスの朝に(短編)
    豚野郎はキャンピオンの一人称で語られており、
    始終ハラハラして何度も読み返したくなる一遍。

  • あなたは、クリスマスおじさん/おばさんを知っていますか?

    クリスマスが近づくと、妙に熱い。
    クリスマスについて熱く語り出す。
    「クリスマスってのは、愛と寛容の祝祭だよね」
    家族を急き立て、ツリーを飾りたて、さらには家から飛び出して、どこかのサンタクロースを買って出たりもする。

    世界のそこここに、存在するようです。

    『クリスマスの朝に~キャンピオン氏の事件簿Ⅲ~』にも、そんなクリスマスおじさんが登場します。

    サー・レオ・パースウィヴァント。

    もちろん紳士らしく、止めどなく語ったり、屋敷から飛び出したりはしませんが、彼のクリスマスに対する並々ならぬ思いは、熱く静かに伝わってくるのです。

    ああ、そして、クリスマスおばあさん。彼女のクリスマスへの思いも。

    私自身はクリスチャンではないので、クリスマスの喜びはどうにも摑みきれません。
    けれども、この冬の寒い季節、どんより暗くて、日照時間も短くなり、体調も今ひとつになりがちなこの時期に、きらきらした光やあたたかい炎の祝祭があるのは、ありがたいと実感します。
    晩秋から冬にかけて、世界の(北半球の)色々な場所にそんな祭があるのは、古くから人々が同じ思いでいたからでしょう。

    『・・・・・・天地のすべてが灰色の凍てつくような冷気につつまれていた。クリスマスの余韻は消え失せ、ただ荒寥たる冬景色だけが広がっている。その昔、人々はこれに打ち克つために心躍る祝祭を考え出したのだ。』(239頁)

    収録作品は以下の通り。
    『今は亡き豚野郎(ピッグ)の事件』 中編
    『クリスマスの朝に』 短編
    そして、アガサ・クリスティーによる追悼文
    『マージェリー・アリンガムを偲んで』


    どれも読み甲斐はあります。
    けれども、短編一つのためにも、クリスマスのこの頃に読むことをおすすめします。

  • 作者はアガサクリスティーと並ぶ英国ミステリ作家。長編が1つ、短編が1つ。

    あらすじ
    小学校時代の同級生が病死したという死亡欄をみつけ、葬儀に出席する。ところが、半年後、ある田舎町の村で同じ人物、別の名前の男性が殺害された事件に遭遇する。どうやら彼はカントリーハウスを買収しようとしていたらしい…。

    イギリスの古典探偵っぽくて、カントリーハウスとか、ポーカーとか宿屋とか出てきた。キャンピオンシリーズの中で、氏の一人称で書かれているのはこれだけらしい。理屈やで、少々うぬぼれやで、頭でっかちなところがあるけど、最後には全力で犯人にぶつかっていくところが頼もしかった。

  • 中編が面白かった、相変わらず巻き込まれ型だけどわりとちゃんと探偵役してる。短編は事件ではないけれどクリスマスの切ない小噺。巻末にクリスティによるアリンガム追悼文も。「以前はアリンガムはセイヤーズ(ピーター卿作者ね)の変名では」と思ってたとか。あとがきには「ジーヴス物を彷彿とさせる」とあり、上流階級の趣味探偵(&執事)モノの系譜、どれも好きだなと再確認。

  • キャンピオン氏短編集第3弾。といっても、ほとんど長編の「今は亡き豚野郎(ピッグ)の事件」と短編の表題作の2編を収録したもので、本のタイトルを豚野郎にするのもなんだから短編の方を持ってきたのだろう。
    「今は亡き〜」の方はキャンピオンの一人称で、小学校の同級生の葬儀を発端に奇妙な事件に巻き込まれる。ユーモアのある田舎のおっとりした雰囲気の黄金期の本格。従僕のラッグとの掛け合いも楽しい。
    表題作はクリスマスストーリーでほろりとした。

  • 中編1本と短編1本を収録。前作までは短編集だったので、本書の収録作はやや変則的。
    巻末にはアガサ・クリスティの手による追悼文も載っていて、満足度は高い。
    本当ならクリスマス辺りに読めば良かったのだが、年が明けて暫く経ってしまった……。

  • 2017/01/02読了

  • タイトル作『クリスマスの朝に』をクリスマスに読みたくてしばらく大事に積んでました(笑)
    収録作は中編『今は亡き豚野郎の事件』のがページ数は多いのですが文庫タイトルにするにはイロイロ、アレだったんですかね。でもとても面白い中編でした。珍しいキャンピオン氏の一人称で、どっぷり英国の田舎の雰囲気と黄金期ミステリな感じがぷんぷんで楽しかった。一人称故の、ウッドハウス風の雰囲気とか、ラストのキャンピオン氏の一言なんて声を出して笑ってしまった。お気に入りの一冊になりそうです。
    タイトルの『クリスマスの朝に』は短い作品ですが、クリスマスらしい良いお話しですね。

  • アガサ女史曰く、アリンガムは「優雅な作風」だそうだが、まさに言い得て妙である。もうその優雅な世界観を愉しむだけで嬉しいので、トリックだの犯人当てだのは二の次で結構。採点も甘々。

  • 長編だった。キャンピオンの一人称で書かれていて面白い。短編だとおもって買ったので、長いよ。

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著者プロフィール

本名マージェリー・ルイーズ・ヤングマン・カーター。1904年、英国ロンドン生まれ。別名マックスウェル・マーチ。文筆家の家系に育ち、16歳で長編小説を書き上げる早熟の天才ぶりを見せ、1923年に冒険小説"Blackerchief Dick"を発表、27年には犯人当ての長編ミステリ「ホワイトコテージの殺人」を新聞連載している。"The Crime at Black Dudley"(29)に端役で登場したアルバート・キャンピオンは"Look to the Lady" (30)以降の作品でシリーズ探偵となる。映画化された「霧の中の虎」(52)や英国推理作家協会賞ゴールド・ダガー賞の次点長編「殺人者の街角」(58)など、数多くの長短編が書かれた。66年、シリーズ19作目の長編"Cargo of Eagles"を執筆中に死去。同作は夫フィリップ・ヤングマン・カーターによって補筆・完成された。

「2023年 『ファラデー家の殺人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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