お菓子の家 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488216030

作品紹介・あらすじ

老婦人宅に見知らぬ男の死体。何故見知らぬ人間の家で殺されていたのか? 警察の調べはいっこうに進まず、そのあいだにも次の被害者が……。ショーベリ警視シリーズ第一弾。

感想・レビュー・書評

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  • スウェーデンの警察ものシリーズ1作目。

    コニー・ショーベリは、ハンマルビー署刑事課の警視。
    小さな子供がいる家庭で朝晩は大騒動が展開しているが、夫婦は円満でミステリにしては珍しく?幸せそう。
    ハンマルビーはストックホルムのどこからしい。
    署には、レバノン出身の刑事ジャマールもいる。
    女性刑事のペトラは何気ない冗談でジャマールの気を悪くさせ、レバノンのことも、移民とはいえ子供の頃からずっとこの地で育った彼の気持ちも知らなかったことに気づく。

    入院先から戻った老婦人が、家の中に死体を発見。
    不動産業者で何の問題もなさそうな男性だった。
    地道な捜査を続けるショーベリ警視らだったが‥

    事件は、カトリーネホルムでおきた子供のいじめに端を発しているらしい。
    たびだび視点が変わり、殺人者の視点からの描写もあり、相当に怖いです。
    いじめた側の子供は崩壊した家庭に育っているというのがなおさら痛ましい。
    その後の人生もまた、それぞれで‥

    一見何の関連もない死者の共通点とは。
    連続殺人事件と疑われたとき、「まさかスウェーデンで?」と警官が口走るのが印象的。
    スウェーデンは犯罪発生率は少ないほうだったのかも。ミステリを読んでいるものだから(そして他にスウェーデンのことはあまり知らないから)すごい犯罪が多いような気がしちゃうんだけど。
    人口950万だそうですから、それはそうかも。

    作者はカトリーネホルムで1962年に生まれたそう。
    お菓子の家とは、クリスマスに香料入りクッキーで組み立てて作るもののこと。1月に入ってから壊して食べるのだとか。
    子供の頃の思い出に残るものなのでしょうね。

    シリーズは3部作の予定で始まったが、2013年現在6冊出ているとか。
    好感の持てる刑事達と、鋭く描かれた事件の描写の対比がなかなか。
    続きも楽しみなシリーズです☆

  • スウェーデンの新しい警察小説。移民問題で頭を悩ませていたヴァランダー刑事から20年、今やアラブ系の刑事も登場、IT化も進んだスウェーデン警察。刑事のあり方も多様で時代が変わったんだなあ〜と実感します。子ども達も任天堂DSで遊んでるし(笑)。
    子どもの頃に受けたイジメが元で、連続事件に発展した今回の小説は、痛々しく切なさも感じてしまう。無関心という罪が一番残酷で卑怯なのではないかと考えさせられる話でした。

  • 悲壮な事件の割には刑事陣は意外にほのぼの、なんか新鮮。

  • またまた北欧モノ。今回はスェーデン。ん?マルティン・ベックシリーズがここだったのでは?
    ショーベリ刑事を中心としたメンバーが殺人事件を追う、その過程がじっくりと描かれるが、最近のテンポの速い展開になれてると少しもたつく感がある。
    そもそも犯人側と交互に描かれているので、捜査側の動きが遅く感じるのは仕方ないかもしれないが、最初から意味不明に殺害場所の邸宅にこだわるなど、ご都合主義の展開もあるし、最後の展開も予想通り。
    全体として大人しめの一作。
    シリーズ化されてるようで、今回では解決していない事件や今後につながるような伏線もあるので、次作に期待かな。

  • 新しいスウェーデンミステリーシリーズ読んだ。舞台はハンマルビー署。やっぱりスウェーデンの風土や地名を織り交ぜながら、地道に事件を追っていく様子は癒しとも言える。ミステリーだけど。主人公の男性警部は子だくさん(養子もいる)。これから家族を含めた話も展開していくことを期待。

  • 一作目だけあってやや粗い?スウェーデン語でも日本語でも。でもやっぱり面白いです、シリーズになる物語の力というか…スウェーデンの話って絶対誰か浮気してるな(笑)
    Hammarby sjöstadはSödermalmよりちょっと南にある割と最近開発されたエコモデルにもなってる高級住宅地(不便)なのですが、3作目でいよいよそのあたりが舞台になったりします。日本語訳楽しみ。

  •  虐めた方は覚えてなくても、虐められた方は覚えてる。
     陰惨な話だったけど、刑事たちの人間らしい生活を見せてくれる所が救われる。
     それぞれ順風満帆とはいかなくても、刑事物にありがちのギスギス感や足の引っ張り会いがなくて読んでて安心する。
     ただ、これがシリーズもので、今回の話の中では解決されなかった部分が今後どういう展開になるのか、ドキドキする。
     もうすぐ第二作の翻訳が発売されるので、楽しみ。

  • 幼稚園に通っていた頃、他の子を支配するような言動をとる子は確かにいた
    周りの大人が見ぬ振りをするなら、エスカレートすることもあるかもしれない
    何故、38年も経ってから復讐を始めたのかは、説明されていない
    やり直すことが難しい年齢になったから?
    でも、死ぬには若すぎる

  • 数週間の入院から帰宅した老女を待っていたのは見知らぬ男の死体だった。

    なかなか進まぬ捜査と犯行描写が行ったり来たり。
    幼稚園時代に被害者たちにいじめられていた男の、それ故他人とは打ち解けられない苦悩が間に挟まれつつのあのオチは卑怯にも思えるけれど、犯人の狂気を描く手段としては面白くもあり。
    全体的には暗くて、あまり読後感の良い話ではなかった。

  • 三部作全てが刊行されてから読めばよかった。こういう展開で進むシリーズだったとは。
    事件に込められたテーマは重く、地域だけでの歪んだ常識が生む教育は、程度の差はあるにせよ他人事とは思えず考えさせられます。
    それから、無関心は罪なのか自衛なのか、も。
    事件解決については何もかもが後手に回っているように感じられて、これは大失態と言われるものではないのかと疑問に思ってしまい、刑事モノとしては残念な流れでした。

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