- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488218072
作品紹介・あらすじ
緑豊かなアラグリンの谷を支配する、氏族の族長エベルが殺された。現場には血まみれの刃物を握りしめた若者。犯人は彼に間違いないはずだった。だが、都から派遣されてきた裁判官フィデルマは、納得出来ないものを感じていた。七世紀のアイルランドを舞台に、マンスター王の妹で、裁判官・弁護士でもある美貌の修道女フィデルマが、事件の糸を解きほぐす。ケルト・ミステリ第一弾。
感想・レビュー・書評
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ミステリ。修道女フィデルマ。
日本では第一長編らしいが、原書での刊行順では5作目の長編。
短編も面白かったが、長編も素晴らしい。
世界観が好きすぎる。
詳細は下巻で。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
図書館でビビッときて借りてきた本。
結論から言うと、個人的に大当たり。
あらすじには(修道女フェデルマシリーズ)第一弾と書いてあったけど、前作がありそうな匂わせがある。
アイルランド文化やキリスト教の派生にはまったく知識がないところに、7世紀くらいの話であると言うことで、完全にファンタジーのような感覚で読んでる。
主人公の修道女フェデルマの知性や人格が素晴らしいことや古き良きアイルランドの様子が書かれてるので、現代の感性でも十分フェデルマに好感を持てる。
ただ、この本の凄さは翻訳者の脚注にあると思う。前述のように、ファンタジー感覚で読んでると知識不足で話が入ってこない障害を、丁寧な解説で補ってくれるのでちょっとした歴史家になれたような錯覚までしてしまう。
内容の評価は下巻を読んでからしたいと思うけど、翻訳者の方に感謝しながら読んでる。 -
7世紀アイルランドの修道女フィデルマを探偵としたミステリーシリーズ。原作では第5作にあたる本書が、なぜか原作者との話し合いにより邦訳第1作になったとか。ファンタジーかと思いきや、実際の中世初期のアイルランドでは法制度が整っていて全くの絵空事ではなかったという解説に驚いた。
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積読したままだったのですが、独特な世界をスルスルと読めました。フィデルマが素敵です。女同士のピリピリ感が良い…。シリーズ制覇したい。
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久しぶりのフィデルマ・シリーズです。邦訳第1作ですが、シリーズの5作目になります。私はシリーズ通りに読みたかったので、「死をもちて赦されん」から読み始めました。
今回はフィデルマとエイダルフが、アラグリンの族長エベル殺害の真相を突き止めるために現地に赴きます。
物語も面白いのですが、7世紀のアイルランドに障害者を保護する法律が存在したことが驚きでした。そしてフィデルマとローマ教会を支持するゴルマーン神父の、神の全能についての論争も読み応えがありました。 -
一作目から読まないあたりもうどうなんだろうかと思うけれど。
面白ければいいのだということで。
7世紀のアイルランドは思っている以上に現代的な法律があり、それをきちんと裁くことのできる裁判官がいるということに驚き。
とはいっても、地方には地方のルールがあって物の価値がある。そのため、主人公はそこの部分で苦労するけれど、毅然とした態度を取ると所が小気味いい。 -
七世紀のアイルランドを舞台に、法廷弁護士でもあるフィデルマ修道女の活躍を描くシリーズの第一巻。小さなクランの族長であるエベルが殺された。その犯人とされたのは目も見えず、口も効けない、聾唖の若者だった。クランの人々はその若者が犯人と確信していたが、派遣されたフェデルマは真実は何かを一つ一つ探っていく。
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修道女にして、裁判官、弁護士、そして王の妹、というフィデルマ。
いろんな意味で強い。
最初の方は事件の概要や伏線でまどろっこしいけど、事件現場のアラグリンに着いてからは少し読むのに弾みがついた。
価値観違う人を相手にするの、大変だよねー。 -
修道女フィデルマ・シリーズの5作目(原作順で)。
族長が殺された事件を調査しに行くフィデルマ。
今回はエイダルフが同行する。
見えない、聞こえない、話せない三重苦を抱えながら、
叡智あるモーエンという登場人物が印象的。
彼を支える森の隠者も。
(下巻に続く)