三本の緑の小壜 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (401ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488240080

作品紹介・あらすじ

ある日、友人と遊びにいった少女ジャニスは帰ってこなかった-。その後、ジャニスはゴルフ場で全裸死体となって発見される。有力容疑者として町の診療所勤務の若い医師が浮上したものの、崖から転落死。犯行を苦にしての自殺と目されたが、また少女が殺されてしまう。危険を知りながら、なぜ犠牲に?真犯人への手掛かりは意外にも…。英国本格の名手、待望の本邦初訳作。

感想・レビュー・書評

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  • 友人と遊びに行った少女が全裸死体で発見され、やがて犯人と目されていた男が墜落死する。
    男の弟が真実を求めて、一人捜査に乗り出すが…。

    多少ミステリ部分は弱いような気もするけれど、それを補って余りある丹念な人物描写。
    そしてきれいに提示される手がかり。
    こういう地味な本格は大好物です。

  • まあどの小説でもそうだけれど、これは特に、誰に気持ちを移入して読むかで、見えてくるものは違ってくるだろう。

    夏休み直前の13歳の少女たち。
    子どもの時間が終わりかけ、でも大人になるまでにはまだ間がある、隙間の時間。
    子どもと大人の間の隙間。無力と全能感の間には、隙間がある。

    複数の登場人物の一人称で語られるので、語っている人の立場に立ち易い。
    私はついマンディ・アーミテイジの立場に立って(大抵の読者はそうかもしれない)読んでしまったので、この結末にも後味にも、大きな不満はない。

    13歳の少女たちの人物造型や心理描写にも、不自然や不整合は感じない。充分だと思う。
    ただ、いささか動機は弱いように思う。私だったら、この動機ではここまではいかないんじゃないかなあ、と思う。

    タイトルはマザーグース "Ten green bottles" から、ですよね。
    1本ずつ減っていく数え歌。マザーグースの場合は、最後には何もなくなってしまうわけだけれど。

    やっぱりあれじゃないかな、何かを得て大人になっていくのじゃなくて、何かを失って大人になっていく、のじゃないかな。

  • 英国ミステリのいいとこ全部どり、というのは言い過ぎだろうか。
    ディヴァインの作品にはシリーズ物の「名探偵」は出てこないので、安心して推理を委ねられる人物がいないという不安定さがあり、それが一見弱点のようにも思える。が、しかし。絶妙なバランス感覚でその不安定さが緊張感を呼び、ページを捲る手を止めさせない。話の内容そのものは「2時間ドラマ」的に下衆いはずなのに、そして登場人物全員が何かしら欠点を抱えているためややもすればよくある「嫌ミス」に堕していきそうなものなのに、最後に残った人間性への信頼感のようなものが物語に品格を添えている。
    ただ、ツンデレメガネっ娘など人物設定が些かありきたりなのが惜しいところだが、執筆時を考えればやむを得まい。

  • お堅い子だと思われがちな地味なマンデイの、かつてボーイフレンドだった男性が死んだ。彼は事故で死んだとは思えない。自殺なのか?殺人なのか?少女連続殺人事件の犯人は?
    マンデイの地味人生を(他からうながされているとはいえ)選択していきている様がかっこいい。海外ミステリはなんか苦手なのですが、これは最後まで楽しく読めました。人物描写がいいのか、訳がいいのか。ひとりひとりが、「イイコ」ではなくて、大きな欠点を抱えていつつ、自分のものの見方で他人を見ているというのがよく表されていて、なんとなく西澤保彦さんを想起しました。おすすめです。

  • 面白かった 初作家さん 数行読んでこの作家は頭がいい人だなと思った 
    ベンがシーリアにする注射が怪しげで、雫井脩介「火の粉」で乳酸菌飲料をぐびぐび飲む少女とだぶった

    腹黒シーラがマークにグイグイ接近する マークがシーラになびくたびに「お願い、そっち行かないでー!」と全力阻止に駆られる自分がいた マークがシーラと婚約した時には、もはやこれまでか…ガックリ と思いきや怪我の功名でマークがマンディの良さにやーっと気づく ヨカッタヨカッタv

    p167 誤植あり × レスリー 〇 リドリー 校正さん、おきばりやすw

  • 医療事務マディが素敵だった〜!

  • 3+

  • 章ごとに語り手を変える構成で、英国のある田舎町で起こった少女連続殺人を描く。
    各々の語り手が非常に個性的で面白い。語り手は各々、鬱屈を抱えてはいるのだが、それが逆に人物像にリアリティを与えている。

  • 一気に読んでしまった。タイトルに秘められた意味は結局よくわかりませんでしたが。面白かったが犯人特定の論理、これで良いのか。違う人が犯人だと思ってたが、その人を排除した論理に納得いかんかった。

  • 友人たちと海に泳ぎにいった帰り道、一人の少女が行方不明になり、全裸の状態で殺されているのが発見される。一人の人物の名が人々の間で噂となり、噂の張本人もアリバイや挙動不審も相まって警察などに不審を抱かれていた。そんな矢先、その人物が崖から転落死してしまう、自殺と判断され、平穏な暮らしが戻ってきたと安心する街人だった。しかし、容疑者として死んだ人物の弟マークが医師として町に来た。兄の死は自殺ではないと忠告する手紙や、警察への不信感からマークは独自に調査するのだった。
     そして、町に再び新たな惨劇がはじまるのだった。

    __ディヴァインの作品は人々の感情の描写が上手いので、その世界に引き込まれていくのが早かった。その結果、ページを捲るのが早かったせいか(言い訳w)所々の謎を解くヒントを読み過ごしていた。でも、やっぱり著者の作品は面白かった。

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