ヨルガオ殺人事件 下 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
4.12
  • (209)
  • (284)
  • (103)
  • (9)
  • (4)
本棚登録 : 2426
感想 : 214
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488265120

作品紹介・あらすじ

“すぐ目の前にあって──わたしをまっすぐ見つめかえしていたの”名探偵アティカス・ピュント・シリーズの『愚行の代償』を読んだ女性は、ある殺人事件の真相についてそう言い残し、姿を消した。『愚行の代償』の舞台は1953年のイギリスの村、事件は一世を風靡した女優の殺人。誰もが怪しい事件に挑むアティカス・ピュントが明かす、驚きの真実とは……。ピースが次々と組み合わさり、意外な真相が浮かびあがる──そんなミステリの醍醐味を二回も味わえる、ミステリ界のトップランナーによる傑作!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • エンターテイメント推理小説の完全体 バチクソ面白いから未読の人は今すぐ読みなさい #ヨルガオ殺人事件

    下巻でのレビューは、作品全体のレビューです。ネタバレは書いてませんが、物語の構成について語ってますので、未読のかたは多少楽しみを奪ってしまうかもです。お気を付けください。

    ひとことで言うと、バケモノです。
    ズバリ、こんなミステリーは読んだことがない。

    本作は、作中作でも前作とは違ったアプローチになってます。今度はこんな構成でまとめてくるの?というほど、発想力と組み立てがスゴイ。
    前作はまぁ想像つきますよ、こういう作中作を入れ込むミステリーの構成もあるかなって。でも今作は、現在起きている事件を、過去の推理小説からヒントをくみ取り、過去と現在の事件の両方を解決しちゃうんです。

    はぁ? こんなの成立するの?
    それが成立してるんです、そりゃ面白いっつーの。

    作中作との関連性もビビった。もう参った、降参です。
    暗中模索の中、終盤ある人との会話から突然出てくるシンプルなカタカナ2文字。そして最重要人物との対話から、一気に物語の霧が晴れてくる感じったら、もうゾクゾクがハンパないすよ。
    細かい伏線の仕掛けもスゴイんです。こんなにいっぱい作中作にちりばめられているのに、1つも気がつかない。

    登場人物も魅力的な人ばっかり、これまた作中作とリンクしてそうで、してないような…って感じが複雑で面白い。
    事件の真相もあまりに衝撃的でハナミズがでました(汚い
    こんな複雑な話にもかかわらず、思いもよらなかったただ一つの真相で、切れ味が鋭く解答が明らかになります。はー面白かった。

    最後に、これから読む方にアドバイスです。
    序盤中盤はよくわからないことだらけで、事件全体が五里霧中の状態だと思います。くじけずに、まずは物語の筋と人物表をよくよく見ながら、じっくりと読み進めてください。上巻の終盤あたりから、ぐいぐい面白くなってきます!下巻はもう止まらない。

    本作ですが、おすすめも何も、いいから黙って読めというのが正直なところ。間違いなく人生の楽しい思い出の一冊になりますから。

    • shukawabestさん
      shukawabestです。
      autumn522akiさん、モーレツなオススメですね。そして、勧めるレビューがとても美味い。今、図書館で上巻...
      shukawabestです。
      autumn522akiさん、モーレツなオススメですね。そして、勧めるレビューがとても美味い。今、図書館で上巻を予約しました。遅くとも7月中には読むかなと思います。
      2022/06/14
    • autumn522akiさん
      shukawabestさん、こんちわですっ

      おほめの言葉、ありがとうございます。
      いやはや、本作、あまりにすごくて興奮してしまいまし...
      shukawabestさん、こんちわですっ

      おほめの言葉、ありがとうございます。
      いやはや、本作、あまりにすごくて興奮してしまいました。

      ぜひぜひ楽しんでください!
      2022/06/15
  • ”すぐ目の前にあってーわたしをまっすぐ見つめかえしていたの”名探偵<アテュカス・ピュント>シリーズの『愚行の代償』を読んだ女性は、ある殺人事件の真相についてそう言い残して姿を消した。その作品の舞台は1953年の英国の村、事件は一世を風靡した女優の殺人。ピースが次々と組み合わさり、意外な真相が浮かびあがるーそんなミステリの醍醐味を二回も味わえる傑作!
    ー文庫うらすじより


    作中作の『愚行の代償』は旧き良き時代のミステリーを彷彿とさせるアガサ・クリスティー的なもので、平穏無事に読了しました。
    でも、読んでも私にはヨルガオ館での事件の犯人はわかりませんでした。
    上巻のレビューで怪しいと書いた人物は動機はありましたが、ハズレでした。

    でも、ちゃんと読んで考えれば犯人がわかるように『愚行の代償』には書いてあるんですね。
    現代篇のヨルガオ館での殺人はかなり凶悪で野心を持った犯人の凶行でした。
    犯人として誤認逮捕されていた人物の性格と、被害者との関係のみが救いだったと思います。

  • 『カササギ』の時もだが、クリスティーのポアロ風の作中作がとても好みで夢中で読んだ。スーザンの推理するパートも出版業界事情や恋愛等がテンポ良い会話で展開し面白かったけど、犯人の予想が早めについたのは惜しい。楽しい読書はじめとなった。

  • ヨルガオ殺人事件・後編
    作中作の続きからスタートし、結末まで読んだ後この話はこれで終わらないと言うことに気づくぐらい面白かったです。物語の展開だけではなく、犯人の意外な正体なども作中作とは思えないぐらい面白かったです。
    そして現実の事件では、その小説で消息を絶った女性が何に気づいたのかを探っていくが、作中作とは違いなかなか協力を得られないまま出発日時に迫っていくところや、相棒との関係性など作中作との対比がとてもはっきりしていたところが印象的であった。そして、小説に隠された謎は最後の最後に明かされるが「レオ」や「獅子」がわかるような単語を交ぜているという所が犯人に対する手紙のようにも思えて、アランの底意地の悪さがよくわかるなぁと思いました。結末も、あまり気持ちの良いものではない中で、スーザンとアンドレアスの関係性が前回よりも深まっていたところが清涼剤にもなっていていいなと思いました。
    前回のカササギ・今回のヨルガオはどちらも、ストーリーや作中作の伏線回収やキャラクター造形の完成度が高く、続編が書かれたらまた読んでみたいと思いました。

    この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
    スーザン・ライランド:日笠陽子
    アンドレアス・パタキス:櫻井孝宏
    ローレンス・トーハーン:田中秀幸
    ポーリーン・トーハーン:小山茉美
    エイデン・マクニール:谷山紀章
    ステファン・コドレスク:浪川大輔
    デレク・エンディコット:小林親弘
    リサ・トレハーン:佐藤利奈
    エロイーズ・ラドマニ:戸松遥
    ジョアン・ウイリアムズ:豊崎愛生
    マーティン・ウィリアムズ:安元洋貴
    アラン・コンウェイ:大塚芳忠
    メリッサ・コンウェイ:田中敦子
    ケイティ:茅野愛衣
    リチャード・ロック:堀内賢雄
    アティカス・ピュント:大塚明夫
    マデレン・ケイン:湯屋敦子

  • 正確な数値については今後の研究の成果を待たねばなりません

    ですが「おおよそで」ということであれば私がもしイギリス人だった場合今の3.7倍くらい面白かったと推測されます
    ★18.5ということです
    とんでもない傑作やないか!

    アナグラムが使われている海外の推理小説を読むと
    もともとの小説が書かれた言語の読み書きが普通に出来たらなぁって思うこと良くありますが
    今回はその他にも英語というか英語圏で生活していたら腑に落ちる遊びがたくさん散りばめられていたような気がしてあ〜あと思うのです
    (まあ英語を学ぶ機会はいくらでもあったと思いますので別に不運でもなんでもなく本人の志の低さゆえなんですが)

    まあでも邦訳でもその面白さは文句なしの★5です
    しかも作中作のほうも古典的なミストテリーを模した傑作で二粒で二度美味しい!(当たり前)というね

    探偵が関係者を集めて謎解きをするという探偵小説お馴染みの名場面が2回あるなんて傑作は本書だけ!(たぶん!)

  • 完成度に拍手の一冊。

    上巻から引き続き現代パートの犯人のヒントを探っていたつもりだけれど、作中作「愚行の代償」の探偵ピュントの鮮やかな解決に、ミステリの楽しさと満足感ですっかり心は虜に。

    その虜の真っ只中の裏であんなにもこの現代パートの犯人への事件を解く"鍵"が散りばめられていたなんて…!

    そしてスーザンも重要な"鍵"をこんなにも拾い集めていたなんて!

    伏線一つ一つがすごいな…と改めて思う。

    読み終えた今はただこの作中作と現代パートとの完璧な融合とも言うべき犯人当てミステリの完成度に称賛の言葉と拍手を贈りたい。

  • 『カササギ殺人事件』の続編ということで、期待したとおりでした。

    今回も作中作の構成になっており、お見事でした。
    どちらも登場人物のキャラクターはしっかりと作られており、主人公のスーザンとパートナーであるアンドレアスとの感情変化や葛藤も事件に関係ないけど深みを持たせてるね。
    やはりただの推理小説ではなかった。

  • 下巻ではまず一気に「愚行の代償」ラストまで。犯行、結構ぎりぎりのタイミングなのでは?とは思ったけど散りばめられた小さなエピソードを在るべき所にきちんと収めた真相は綺麗。8年前の事件とは違うタイプなのに何処にヒントが?と思いながらスーザンと一緒にぐるぐる。スーザンの思考の過程が丁寧で感情移入しやすい。どいつもこいつも作中作同様怪しさ満点で誰が犯人でもおかしくなさそうな中、一番怪しいなーと思っていた人物が犯人という流れでやや拍子抜けし、初めに"決め手"が示された時も唐突でややこじつけでは?と感じたけど説明されると納得してしまった。見落としがちな伏線の回収鮮やか過ぎる。そして作中作に仕込まれていたヒントのしつこさには脱帽だ。訳しきれないニュアンスの仕掛けもあるんだろうか。

  • 前人未踏の『このミス』4年連続一位の大偉業に違わぬ安定度。
    海外ミステリのお勧めは?と聞かれたら迷わずホロヴッツを挙げる。

    古き良き形式を携えながらも、大胆な仕掛け、細かな遊び、周到な伏線を駆使して読者を全く飽きさせない超絶技巧作品。

    とはいえ鼻につく部分もなくはない。
    いやいやこの現代でいち編集者上がりの素人探偵が自分への危険も顧みずそこまで突っ込んだ調査はしないだろ、とか、欠かせない土台となっている性的設定とか。
    小学生の娘に『オリエント急行』は勧められても、さすがにこれはまだかな。。。
    自分的にもホーソーンの方が好き。

    ただ、続編の意向を示しているとのことで、これ以上どうするつもりなのかとの期待と興味は増すばかり。
    海外ミステリ隆興の起爆剤になって欲しいものです。

  • 下巻は一気に読めた。
    作中作が面白くて!!
    もっと読みたいー。
    作中作の犯人はちょっと意外。
    本編の犯人はそんなに意外ではない。

    もうこの先は続編ないのかなー。
    彼氏に愛想つかされなくて良かった。
    今回で彼氏と妹との絆が深まったんじゃないかしら?
    違う作品も読もうと思う!

全214件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

Anthony Horowitz
イギリスの作家。1979年、冒険小説『Enter Frederick K. Bower』でデビューし、YA(ヤングアダルト)作品「女王陛下の少年スパイ!アレックス」シリーズ(集英社)がベストセラーとなる。ドラマ『刑事フォイル』の脚本、コナン・ドイル財団公認の「シャーロック・ホームズ」シリーズの新作『シャーロック・ホームズ 絹の家』(KADOKAWA)なども手掛ける。アガサ・クリスティへのオマージュ作『カササギ殺人事件』は、日本でも「このミステリーがすごい!」「本屋大賞〈翻訳小説部門〉」の1位に選ばれるなど、史上初の7冠に輝く。続く『メインテーマは殺人』『その裁きは死』『ヨルガオ殺人事件』(以上、東京創元社)も主要ミステリランキングで首位を取り、4年連続制覇を達成した。


「2022年 『ホロヴィッツ ホラー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

アンソニー・ホロヴィッツの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×