孤島パズル (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書) (創元推理文庫 M あ 2-2)

著者 :
  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (402ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488414023

感想・レビュー・書評

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  • 脱出不可能な島での連続殺人。有栖川氏の得意なパターン。途中無差別じゃないってわかる。復讐劇。トリックも納得できるものだった。犯人がわかり、その経緯を知ったら悲しくなった。マリアは戻ってくるのかな。

  • 「学生アリス」シリーズの2作目。
    孤島を舞台としたクローズ・ド・サークルもののミステリーである。

    とても耐えられないような辛い出来事が起きたとき、何もかも忘れてしまえたりわからなくなってしまえたらどんなに楽だろうか。
    生きている限り、そのとき感じた痛みはどこまでも追いかけてきて忘れることなど出来ない。
    怨みはどれほど時間が経とうと薄れることはない。
    一方罪を犯した側の記憶は日々薄れていくだろう。
    大切なものを奪った者と奪われた者。
    相反する思いを抱きつつ生きていくしかない。

    「学生アリス」シリーズの魅力は何といっても江神の存在にある。
    冷静な判断力と深い洞察力、論理的に導き出される謎解きの答え。
    あたたかな人間性はときに犯人にさえ向けられる。
    犯人には犯人にしかわからない苦しみがあり、探偵には探偵にしかわからない苦しみがあるのだろう。
    読みやすいのにミステリーとしても十分に楽しめる物語だった。

  • 学生アリス
    江神二郎

    有馬真里亞

    有馬竜一(望楼荘の現主)
    有馬和人(竜一の次男)
    有馬礼子(亡、英人の婚約者)
    牧原完吾
    牧原須磨子(完吾の娘)
    牧原純二(須磨子の旦那)
    犬飼敏之
    犬飼里美(敏之の嫁)
    園部祐作(医師)
    平川至(画家、魚楽荘の主)

  • 配役から犯人は想像できる。
    自転車の移動時間、登場人物達の証言からアリバイに関して整理し易かった。
    落ちていた地図に着いた車輪の跡から、魚楽荘発で往復移動をしたと思い、徒歩と自転車を交えて移動したと考えた。
    まさか泳いで移動しているとは思わなかった。
    読み返すと引き潮岬から満ち潮岬までは、直線距離で300mしか離れていないため、充分遊泳可能である。
    環境要因はよく覚えておく必要がある。夜の海=危険、泳がないだろうという固定観念を捨てる柔軟な頭が必要だと感じ反省。
    前作「月光ゲーム」よりも、登場人物が少なく、読みやすかった。

    以下疑問点
    ・泳いでいけることを誰も話題にしない。
    →あれだけ、アリバイの洗い出しを皆で行っているにも関わらず、遊泳移動は一切話題にならない。
    ・礼子が遊泳移動をした後、シャワー浴びたのか。
    →早朝に近い時間にバスルームを利用したのであれば、風呂場の乾き具合から、朝風呂に入った園部が疑問に思うのではないか。
    江神と和人が酒盛りをしている最中にこっそりシャワーを浴びたのか。
    シャワーを浴びず、海水で髪の毛ゴワゴワ、全身磯臭いのを誤魔化すような方法をとったのか。
    ・和人が、礼子に疑いの目を向けないのが不自然。
    →和人視点だと、3年前に英人を殺害していることから、須磨子、平川が殺された時点で、礼子に疑いが行くはず。しかし、そういった描写が全くない。むしろ心を許している。
    ・和人殺害が簡単すぎる。
    ピストルを見せびらかし、犯人に対抗する意思を示したにも関わらず、ライフルで脅され、奪い取られる始末。そんな簡単にピストルを取られたとは思わず、睡眠薬が盛られた可能性等考えた。
    ・平川の日記「否、そんなわけはあるまい。彼女こそ哀れにも完吾氏の巻き添えを喰ったに違いない。」p326
    →どういう心境の変化か。3年前の復讐と確定していないため、発言自体がおかしいとは言えないが、なぜこのような発言をしたのか。3年前の復讐だとすると、自身も殺されることとなるため、否定したかったのか。

  • こちらは学生アリスシリーズ。
    一冊だけ読んでそれがいまいちで読まなかったけど、こっちも読んでみようかなと。今更…

    ミステリーではお馴染みの孤島、台風、外界との遮断、連続殺人と大好物が並んでました。
    モアイパズルも面白かったし、次のも読みます!

  • 深読みはよくないと思った。

  • 誘われて訪れた孤島のどこかに、宝が眠っている。
    しかしそれを起こす前に、殺人が起きてしまった。

    3年前に死んだ従兄弟。
    この事件とそれは関係あるのか? と言われたら
    当然関係ある、と言えます。
    それが2時間ドラマ(?)のセオリーです。

    この事件の発端となった、モアイ達。
    当然のごとく、じわじわとどこまでも出てきますが
    事件よりもこちらがどうなのか、非常に気になります。
    漫画でもないですので、彼らの言葉と
    作中に出てくる図だけでが頼り。
    見えていたら、もうちょっと考えられるのに…。
    用事があってこられなかった、残り2名の気分を
    読みながら味わえる気がします。

    解答編を読みながら、分かるような分からないような。
    こういう移動パズル、あった気がします。

  • 江神シリーズ第二弾。
    今回は孤島で台風が来て密室殺人が起きて無線が壊されてて・・・いかにもな要素てんこもりです。ミステリ好きの主人公たちが招かれてそのことに一言も言及しないのがむしろ不自然ですらある。
    で、これはこれでベタな面白さがある。変に凝りすぎたものじゃない本格が読みたくなったときにばっちりの一冊。

    しかし、銃で撃たれてから結構みんないろいろやってるのがちょっと不自然に感じました。太腿くらいならともかく・・・即死じゃないの?撃たれた経験ないんでよくわからないけども。

  • 有栖川有栖の古き良き本格ミステリを初読。富豪のプライベート島でのサマーバカンス。招待客合わせて13名のうち4名が次々と殺され、残り9名にはアリバイがなく全員容疑者。そんな状況でも、僕アリスと同級生のマリアはいいムードになったりして、キャピッと明るさも失わない。いーね。固定電話は来てなく、無線機も壊され、警察への連絡手段は週一回の船のみ。ケータイの無い時代だからこそ、アマチュア学生探偵が活躍できたのだ。しかもうれしい読者への挑戦付き。やってやろうじゃないの!
    (中略)
    やっほー。大体当たってた。ちょっと考えすぎた。タイトル通りパズル好きにオススメ

  • 3.8

著者プロフィール

1959年大阪生まれ。同志社大学法学部卒業。89年「月光ゲーム」でデビュー。「マレー鉄道の謎」で日本推理作家協会賞を受賞。「本格ミステリ作家クラブ」初代会長。著書に「暗い宿」「ジュリエットの悲鳴」「朱色の研究」「絶叫城殺人事件」など多数。

「2023年 『濱地健三郎の幽たる事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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