アルファベット荘事件 (創元推理文庫 M き 7-5)

著者 :
  • 東京創元社
3.34
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本棚登録 : 432
感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488419158

作品紹介・あらすじ

雪が舞う岩手県の山奥、アルファベットのオブジェが散らばる『アルファベット荘』に招かれた個性的な面々。だが招待者は現れないまま、夜は更けていく。翌朝、「創生の箱」の中で招待客が屍体となって発見される。しかし死体を運ぶために通ったはずの中庭には足跡は無くて……? 売れない役者、変人にして小劇団の看板女優、そして何も持たない探偵が奇妙な屋敷の幻想的な事件を解き明かす。当代きってのトリックメーカー・北山猛邦、幻の長編!

感想・レビュー・書評

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  • 懐かしい感じがするのは90年代が舞台のせいか著書の持ち味なのかわからないが、不可能犯罪専門の探偵など癖のあるキャラクター達と合っていて結構好み。トリックは評価難しいが「雪の山荘」事件と『創生の箱』という魅力的小道具でわくわくした。

  • 雰囲気が良かった一冊。

    舞台は岩手県の山奥。
    その名もアルファベット荘。

    そこで起きた招待客の殺人事件。
    雪の中、足跡はないのにどうやってこの殺人が成立したのか…というなんとも興味津々の謎解き時間。

    プロローグから雰囲気バッチリ、関わったものは死に至るという「創生の箱」もまた心そそる。

    果たしてこの殺人事件の解明の鍵はどこにあるのか。

    ミーコ、美久月、ディのキャラバランスが良い。

    疑心暗鬼になる中、美久月のキャラに時々和み、絶対解決へのディの言葉、存在が安心感をもたらすこの雰囲気が良い。

    雪の夜の事件、最後まで楽しめた。

  • 当代きってのトリックメーカー・北山猛邦、幻の長編! の文句につられて手に取った。

    雪が舞う岩手県の山奥、アルファベットのオブジェが散らばる『アルファベット荘』に招かれた個性的な面々。探偵・遠笠麗、賞金稼ぎの古池ミノルと泉尾桜子のカップル、大学助手の三条信太郎、文筆家の春井真那、そして変人にして小劇団『ボルカ』の看板女優・美久月美由紀とその連れである売れない役者・橘未衣子、『何も持たない探偵』ディ。家政婦として、大学生アルバイトの破麻崎華奈と藤堂あかねがいる。
    パーティといいつつ招待者である岩倉清一は現れないまま、夜は更けていく。そして、惨劇が起きる。

    物理トリックは実行に疑問符がつく大技で、当方は当然ながら「そこにあるんだからできたんだろう」ということで推理は放棄。死角をついたほうはなるほど、というより、それしかないよねだけれども。

    探偵役も犯人も壊れているが、探偵の壊れっぷりがなかなか面白く、妙な魅力がある。

  • 北山猛邦作品ブームがきているかもしれない。。

    オルゴーリェンヌの時に感じた過去と現在を行き来する構成が読後に余韻を残してくれる。何度も、ああもしかして、ああそうだったのか、とページを戻って読み返し、その度霧が晴れるように意味が浸透していくのが心地よい。


    以下ネタバレ

    箱出現トリック(バラバラ)はなんとなく予測できていたが、頭の方は盲点だった!コートの文章で怪しいとは思っていたけれど、入れ方になるほどと。
    文章に自然とヒントが散りばめられていて、読んでいる時に「ここの文怪しいな?」と勘ぐるのが楽しい。

    死体移動は恐らく実際やると物音で起きちゃったり、トイレに起きた誰かに目撃されたりするんじゃないのとか思ってしまったけど、他の方の感想で「そこはロマン」とあって気にせず楽しめた。

    3人のメインキャラクターが個性的でやり取りが面白かった。
    シリーズの続編だった!?と焦ったが違うらしい。続けて欲しいがなんとなくディも美久月千も切ない展開になりそうで読みたいような読みたくないような。

    途中まで過去の少年は春井さんだとばかりずっと疑っていた…謎の人たらし春井さん…

  • アルファベットのオブジェが散らばる山荘に招かれた人々。そこには手にした人々を不幸にしてきた「創生の箱」があった。そして、ドイツで16年前に起きた事件のように、空だったはずの箱から死体が発見されて─。

    復刊の声も頷ける面白さ!個性的なキャラに怪しい館と箱、雪のクローズドサークルと揃った仕掛け。手がかりはまるで山荘に散らばったアルファベット。あからさまに転がっているのに、並べ替えなければ意味を持たない言葉のよう。すべての手がかりが意味を持った瞬間の鳥肌がすごかった。

    売れない役者で語り部の未衣子。先輩で看板女優だが舞台を降りるとだらだらな美久月。名も感情も家族も過去の記憶も持たないが、不可能犯罪を必ず解く探偵・ディ。この凸凹トリオが軽妙に事件をかき回し、暴き、読者を叩きのめしてくれる。文章という雪の中に忍ばせた伏線の数々にはやられたの一言。

    人の心を凍らすのも溶かすのも最後は人なのだ。人はクローズドサークルに閉じ込められるだけではなく、自分から閉じ込められているのかもしれない。人の輪が織り成すドラマが最後の雪を溶かす演出は印象的だった。

  • 雪が舞う岩手の山奥にある「アルファベット荘」に招かれた客人たち。客人たちは、それぞれ個性豊かな人たちばかりで、初対面ばかりだった。パーティがあると思うが言われたが、家主は一向に姿を現さない。翌朝、曰く付きの美術品「創世の箱」から招待客の遺体が発見された。しかし、そこに辿り着くまでに、通らないと行けない庭には足跡などはなく、不可能に思えた。売れない役者に、変人で小劇団の看板女優、何も持たない探偵が幻想的な事件を解き明かす。



    招待客は、本当に個性豊かな面々ばかりだった。女探偵と名乗る人物が、初日の夜に自らクローズドサークルを作り上げるのは、ある意味新しかった。今の時代よりも昔だったから、女探偵の被害は最小限に食い止められたのだろうなと。今の時代だったら絶対無理だし、あんなことされたらブチキレる。



    事件自体は、なんだかワクワクして面白かった。だけど、彼女が謎すぎて終わったかんじだった。彼女は、前に読んだ「硝子の塔の殺人」の彼女みたいなかんじなのかなと。あの物語に出てきた彼女と今回の彼女は、性格も全然違うけど、根本的なところは同じなのかしらと思った。


    彼女たちのシリーズがあるなら読んでみたいな。


    2022.5.29 読了

  • 巨大なアルファベットのオブジェが散在する屋敷のパーティーに招かれた10人。しかし主催者は現れず、雪に閉ざされた中で殺人が‥
    トリックやキャラについては初期作品の復刊ということで納得。現実感がなく幻想的な雰囲気。関わった者は死に至るという不吉な「創生の箱」がワクワクする。

  • 著者の初期の作品がようやく復刊となってくれた。前々から読みたいとは思っていたが手に入らずに悔しい思いをしたことを思い出す。内容としてはド直球に本格ミステリ。正直に書くと現実的かどうかはともかくとしてトリックとしてはわりかし簡単にわかる方だとは思う。でも最後に判明する動機の点が素晴らしい!犯人だけではなく個々のキャラの造形が凝っているからこそ出来上がった作品だと言える。他の方も書いていたけれどシリーズ化してほしいなぁ。

  • うーん、評価が結構い良いので読みましたが、うーん
    そんなトリックうまくいく??って感じです。

    読み始めて、これはシリーズ物なのか?と思ってしまった。
    メインの3人キャラ立ってるのに、この作品だけなのかな~

  • クローズドサークルもので初版は2002年刊行の作品。
    初読みの作家様でしたが帯にあるトリックメーカーに相応しい幾重にも張り巡らされたトリックはThe本格で、同じく帯に幻想本格ミステリとあるけど幻想部分は読み終えた後はちょっとほろ苦い後味。

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著者プロフィール

2002年、『『クロック城』殺人事件』(講談社ノベルス)で第24回メフィスト賞を受賞しデビュー。代表作として、デビュー作に端を発する一連の〈城〉シリーズなどがある。

「2022年 『月灯館殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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