ミミズクとオリーブ (創元推理文庫) (創元推理文庫 M あ 4-1)
- 東京創元社 (2000年10月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488430016
感想・レビュー・書評
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作家の僕の妻は名探偵、そう、妻の方が。
ほのぼのした雰囲気です。
庭にミミズクが来る、八王子の郊外に暮らす夫婦。
作家の僕が語り手で、ややとぼけた感じ。
専業主婦の妻は料理上手で美人、しかも頭が切れて勘が良い、そのうえ、着物がよく似合い、仕立てもするほど。
二人で暮らす家での会話が中心なので、美味しい料理も出てきて、気分良く読めます。
事件の謎は夫の友人の河田警部からもたらされるものが多いため、けっこうガッツリ事件なのも多いんですが。
奥さまは家にいる安楽椅子探偵、僕は奥さまの指示で動くこともあるワトソン役の名コンビ。
「猫とアリス」を読んだ時には、作者は女性かと勘違いしておりました。
「青春デンデケデケデケ」の作者だとも気づかないでいた。
この作品を読んだら、男性に違いないと気づきました!
この奥さんは優しくて賢いので女性から見ても感じはいいけれど、あまりにも理想的で、女性はこれは書かないでしょう。
魚を持ってきて郷土料理を食べたがる男性に「手間はかからないから」なんて言ってさらっと手料理、いやすっごく手間かかる料理じゃないの~!
まあ夫も警部も奥さまの手のひらの上、状態ではあるのですが(笑)
1994年の作品にしても、奥さまは私が子供だった昔以前の大人の理想、ってぐらいに感じますねえ。
それゆえの懐かしさも感じつつ(笑)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
古本まつりの均一棚でシリーズをみつけ、懐かしいなあと思って買った。連作短編好きだし、料理がおいしそうなのも好みだし、ほのぼのよいイメージしかなかったけれど、今読むと、いわゆる理想の奥さん像にちょっと鼻白むところがありますね。
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ジュンク堂のPOPを見て購入。芦原さんは、ずいぶんまえに青春デンデケデケデケを読んで以来。
ほんわか系ミステリー短編集。作家が主人公で、料理上手の奥さんが安楽椅子探偵。家の庭にミミズクが来るのがうらやましい。手ずから煎餅あたえてみたい。料理の描写が美味しそうな本は、それだけで正義! -
美味しい郷土料理を給仕しながら、夫の友人が持ち込んだ問題を次々と解決してしまう新しい型の安楽椅子探偵――八王子の郊外に住む作家の奥さんが、その名探偵だ。優れた人間観察から生まれる名推理、それに勝るとも劣らない、美味しそうな手料理の数数。随所に語り口の見事さがうかがえる、直木賞受賞作家の筆の冴え。
夫の、気が抜けるような会話が面白くて癖になる。
少ない手がかりで、言葉少なにサラッと謎を解決してみせる奥さんの奥ゆかしさも良い。 -
飽くまで奥さんが名探偵だから、いいっちゃーいいんだけど、語り部である旦那さんがバカすぎてしんどい。
推理力がないとか、そういう種類のバカなんじゃなくて、バカっぽいというか、バカキャラというか。
今の時代だったら、いろんなキャラがいるから、そういうキャラ設定でいかなきゃ…てこともあるだろうけど、1994年当時、大人なのにここまでバカキャラにしなくてもよかったんじゃね? て思う。 -
ぐうたら作家の主人公「ぼく」のもとへ友人から持ち込まれる事件を、専業主婦の妻が家事のかたわら鮮やかに解決していく短編七編。
よくある素人探偵&安楽椅子探偵ものと言えばそうなんだけど、夫を足代わりに使い、縫い物の片手間に謎解きをするというスタイルが面白い。
夫と友人、奥さんとの軽妙な会話を中心に進んでいくので、かなり読みやすい。加えて、奥さんの作る料理が美味しそう!
約20年前の作品とはいえ、一応現代設定のはず。なのに、すごく昭和の雰囲気が漂うのはなぜだろう。
妻が常に着物を着ているからか、一歩下がって夫をたてている感じがあるからか。どことなくサザエさんに似た世界観を感じ、夫婦二人の穏やかな日常がほのぼのとしてて和む。
ただ、夫と友人との会話の端々に、何となく女性を下に見ているようなフシがあり、少し嫌な気持ちになるのは時代の違いのせいなのか…。面白いだけに、ちょっと残念。 -
大林宣彦監督作品「青春デンデケデケデケ」(1992) を通しての原作踏破、それに続いての二作目ということで若干間隔を開けてはしまったものの挑戦。
自身の幼少期にもクラスメートがハマるようにはハマらなかった推理小説という分野、やはりその傾向はおっさんになってからも変わらなかった様で、これを読んだから他の推理小説が読みたくなるかというとそうでもない。そうした好き嫌いの部分を置いておけば「青春デンデケデケデケ」でも十分みせてもらった良質な「ノリツッコミ」としてでも分類すべき掛け合いがあちこちに散りばめられていて、あちらこちらでちとしたニヤリを拾ってしまう。設定はほのぼのとしていて、7本の短編の詰め合わせという形式が昭和のテレビドラマを観ているような錯覚まで呼び起こしてくれる。こちらももちろん良質なやつ。
本シリーズは続編もあるとのことなんでまたどこかでお見かけする日をのんびりと探したいなと。 -
hontoの料理系ブックツリーで紹介されていたので読んでみる。
ちょっと古い作品なので、男尊女卑のノイがする。
ミステリーの内容も、初っ端から男の浮気性に腹を据えかねた妻が家出した、どうしようとのこと。
主人公は男の肩をもって、男がちょっと浮気するのは当たり前、と自分の妻に言うが、ここで妻も黙っていない。そこがスカッとする。
この本は通しで、男と女の考えの行き違いが中心な事件ばかりな印象。それが苦手な人は読まないが吉。
ただし、主人公のつまが作るご飯はどれも美味しそう。