花野に眠る (秋葉図書館の四季) (創元推理文庫)

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  • 東京創元社
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感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488482046

感想・レビュー・書評

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  • 図書館へ足繁く通っていた頃を思い出す。
    今では多くの図書館では正社員ではない司書たちが、少ない予算からベストセラーを書棚に並べている。

    その哀しさを読みながら感じてしまう。

    私も司書の資格を持っていて、秋葉図書館のような所で働くのだ、と信じていた時期もあった。

    残念ながら、図書館とは縁のない建築業の会社に勤めて、バブル期の忙しさを充分に堪能させてもらった(笑)

    そして、自分の給与から本が手に入るようになった頃から、図書館は変わっていったような気がする。

    もちろん、今でも図書館へ行くけれど、大学の図書館であったり、国会図書館に代わってしまった。

    時代といえば、それまでだが、秋葉図書館のような図書館が今こそ必要なのではないかと思うのも事実。

  • ゾクゾクしてしてしまった。
    これは面白かったです。

    短編連作と言っていいのか、長編と言うべきか。
    前作は完全なる短編連作だったのだけど、その時に出てきた登場人物同士の話、やり取りのその後やそれを踏まえた別の話が展開されていく。
    どの話も前作からの伏線が回収され、最後に全部が解決していったのにはゾクゾクしたし、すっきりした。

    田舎の図書館とその町が舞台で、のどかな雰囲気の中に持ち込まれる日常の謎解きの本。
    少し前の世代からのつながり、先代たちが残した謎を今の世代が解くと言うなかなか楽しい設定でした。

  • 「れんげ野原のまんなかで」に続く秋庭市立図書館物語の2作目。5つの短編で構成されているが、それぞれのストーリーはつながっている。

    新人司書の今居文子を中心に、物語は進んでいく。

    児童書がたっぷり紹介され、本好き、図書館好きにはたまらない。

    土砂崩れで白骨死体が表出して…なんていう騒ぎもあるが、殺伐としたものではない。心に染み入るミステリーだ。

    3人の職員が図書館の中で、日常に入り込んでくるふとした謎、人の心が織りなす、謎とまでいえない行き違いや迷路を解き明かしていく。

    最後の一編は、戦前、今でいう行動障害を抱えた一人の男が一人の女性を純粋に愛した様が描かれている。

    とても切なく、愛おしい物語である。

  • 全ての登場人物を丁寧に扱っているのが
    好感が持てる。

    時代のせいで苦しんできた人って、
    私達が思う以上に多いんだろうなあ。

  • 電子書籍
    連作だがいろいろな話がつながって終演に向かう。
    秋葉さんの嫌いなおんじが実は…

  • 図書館ミステリ第二弾。
    新米司書が謎を追う。
    本屋とはまた違う図書館の雰囲気好きです。
    そのレファレンス力に脱帽。
    バラバラだった謎がまとまっていくのが
    とても気持ちが良かったです。

  • 1作目を間違って再度購入してしまったので、再読後に第2作を読了。
    いわゆる日常系の謎の部類なんだろうけど、かなり読みごたえがあって重めで深さがある。
    物語のエッセンスでもある数々の書籍については、読む機会はないだろう。それにしても司書さんという職はみんながみんなこんなにもスキルが高い人達ばかりなのだろうか?
    次回作も期待が高まる。おすすめの一冊。

著者プロフィール

1969年静岡県生まれ。日本画家・屏風作家。筑波大学大学院芸術研究科美術専攻日本画分野修了。渦巻きをモチーフにした屏風制作を行う傍ら、神社、寺院,協会への奉納絵画をライフワークとして続ける。 主な奉納・収蔵作品大徳寺聚光院伊東別院 墨筆による「千利休座像」軸一幅/駿河総社静岡浅間神社四曲一双屏風「神富士と山桜」。主な出版物 絵本『おかあさんはね、』(ポプラ社)/絵本『メロディ』(ヤマハミュージックメディア)/絵本『サクラの絵本』(農文協)/詩画集『国褒めの歌巻一』(牧羊舎) 
自身の日本画制作に加え、寺社奉納絵画、絵本制作、コラム等の執筆、講演会等を行う。人と人、人と自然、人と宇宙が穏やかに調和する日本文化の特質を生かし、新しい世界に向けたパラダイムシフトを呼びかけている。静岡ユネスコ協会常任理事。

「2020年 『ジャポニスム ふたたび』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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