- Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488499020
作品紹介・あらすじ
野生のサルの被害が問題になり、変人学者の主張でサル対策を警察が主動しなければならなくなった。しかも不可解な状況で発生したボスザルの死の謎をも解き明かす必要に迫られ、黒川刑事はしぶしぶ捜査に乗り出す-田舎でだって難事件は起こる。鬼刑事黒川鈴木、今日も奮闘中。第三回ミステリーズ!新人賞受賞作家による脱力系ミステリ第二弾、肩の力を抜いてお楽しみください。
感想・レビュー・書評
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なんでも屋と化している田舎の刑事課の奮闘記。
前作と変わらずユーモアたっぷりで刑事・黒川の推理が冴え渡っています。
【田舎の刑事の夏休みの絵日記】のどかな田舎でついに他殺体が発見。ビニールシートにくるまれ水を掛けられた死体の謎。
この事件では署長の娘が描いた絵日記の役割が絶妙です。
警察署のおかしな状況には笑いましたが、こんな非常識なことが事件とこんな風にかかわってくるのに唸りました。ラストのオチも利いてます。
【田舎の刑事の昆虫記】この事件は黒川が犯人をじわじわと追い詰めていくのが楽しいです。あばあちゃん子が多い田舎の警察署もおもしろい。
【田舎の刑事の台湾旅行記】誘拐事件の真相は小ネタ程度。そういえばわたしも見ました。黒川夫妻の海外旅行がおもしろいです。
【田舎の刑事の闘病記】ペットボトルに関しては犯人があんな風に言ってしまうことに疑問です。
【田舎の刑事の動物記】雑なトリックですが、殺猿事件と思っていたのが、おもわぬ真相です。そして思わぬ捕獲作戦に笑いました。
【田舎の刑事の冬休み絵日記】またもや絵日記が解決の大きなヒントになります。これには犯人の証拠隠滅の仕掛けがすごいとおもいました。そして黒川の硫酸ピッチの講義は興味深かったです。 -
(Ⅰ)前巻の後半あたりからギャグ担当はどうやら主人公の黒川メインとなったようで白石の鬱陶しさが軽減され、より楽しめるようになりました。ついでに真面目だった赤木君もだいぶ毒されてきています。もう少し育つといいツッコミ役となるでしょう。
(Ⅱ)トリックは、けっこう複雑です。いや、バカ騒ぎで道筋が見えなくなるタイプのバカミスと言えるかもしれません?
(Ⅲ)今回も充分楽しめました。
/田舎の刑事の夏休みの絵日記:炎天下、その優れた推理力をバミューダパンツ一丁で逃走中の白石追跡に使う黒川。《白石君を怒鳴って、雑用を片づけて。こんなことだけ続けて私の人生は終わるのかなあ》p.32。とか思っているときに他殺死体が発見されどうやら双子の刑事が容疑者となる。ミステリのシリーズでは必ず一度は出てくる双子もの。
/田舎の刑事の昆虫記:HKKフーズの研究施設である養蜂場から巣箱が盗まれ、黒川たちは怒りっぽい蜜蜂に遭遇する。
/田舎の刑事の台湾旅行記:なんと黒川と妻が台湾旅行、中国審査で「斉藤寝具店」と口走る。《人間はね、自分の住んでいる地域で一番高い場所に上って、そこから見える範囲から出たらいかんのです。》p.115
/田舎の刑事の闘病記:《このままでは殺される、自分はいつかこいつに殺されてしまう。》p.167。白石へのストレスで倒れてしまった黒川はセキュリティ設備が異常に充実している、政治家や芸能人御用達の大きな病院に運び込まれる。終始説明的な会話の中、小さな不審事を追う。
/田舎の刑事の動物記:白石より賢いと思われるボスザル「ヌエ」VS時代劇のようなしゃべり方をする白石より変人的な動物学者日吉教授の抗争に警察が巻き込まれる。
/田舎の刑事の冬休みの絵日記:不正軽油捜査中廃車爆発事件。サンタクロースは謎の解明に役立つか?
■田舎の刑事についての簡単な単語集
【赤木忠志/あかぎ・ただし】新人刑事。真面目で熱心、天然記念物級の朴念仁。だんだん毒されていってるフシもある。
【課長】意外に黒川を頼りにしている。
【香山/かやま】暴力団担当の刑事。顔が怖い。
【警察署】《この田舎の警察署は本当にひまなのである。》趣味とお仕事p.224
【黒川鈴木/くろかわ・すずき】主人公の刑事。巡査部長。既婚。子供なし。酒もタバコもギャンブルもしない。パイナップルの載ったハンバーガーは許せない。推理力は優れているがメンタルは弱い。
【黒川夫人】この作品でもっとも魅力あるシーンを作ってくれる人物。お笑い番組をクールな表情で観ているがちゃんと楽しんでいる。おっとりマイペースでものに動じないタイプ。黒川が恥をかくシーンのシャッターチャンスは逃さない。夫婦の会話は一服の清涼剤?
【刑事課】《ここじゃ刑事課は何でも屋でしてね》趣味とお仕事p.230
【白石高作/しらいし・こうさく】刑事。黒川の部下。無能で図々しく大雑把で考えなしの歩く捜査妨害。《うん、これは白石を殴ってもいいよな、グーで。》趣味とお仕事p.178。《彼は生まれついての反面教師としてのオーラというか、空気をかもし出している。》趣味とお仕事p.225。《バカもここまでくると指摘したほうが小さい人間のような気までしてくる。》趣味とお仕事p.254。黒川の妻いわく《本当にいいコンビですわね》動物記p.132
【泥棒】《泥棒という人種は、しばしば凄まじい底力を発揮して障害を乗り越えるのだ。》趣味とお仕事p.30
【野呂慶介/のろ・けいすけ】東京の警察署から来た刑事だが特に偉そうな態度は取らない。
【プラスチック製手錠】鍵がないので切るしかない。
【宮下】交通課。
【メガロ・オンライン】黒川がハマっているネットゲーム。黒川は結果的にネカマになっている。キャラクタネームは「コロナ」。
【論理】《黒川はこういう犯人は苦手である。こいつの執念は黒川がよりどころにする論理的な思考の対極にある。》趣味とお仕事p,237
【ワサビ】農産物盗難事件が相次ぐ中、ワサビはノーマークだったが本ワサビはけっこう高額なので被害額は大きい。 -
謎のトリックでした。
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面白いし、好きなシリーズなんだけど…
黒川さんが奥さんや白石君だけじゃなく赤木くんにまでいじられるようになって、可哀そうになってきちゃいました。
前作は何も考えずに楽しく読めたのになぁ。
相変わらず、さりげなく挟まれる雑学が良いですね。
硫酸ピッチはこの本で覚えました。 -
このシリーズ初めて読みました。文体が超好みです。
刑事の黒川鈴木さんは常に丁寧語。
行動がまったく読めない妻やバカな部下に翻弄され
胃を痛め半泣きになりつつ事件を解決します。
孫かわいがりのあまり小学校の遠足スケジュールに
無理やり警察署見学を組み込んじゃう署長や、
「自分を第一に考えろ」という祖母の教えに基づき
ハチまみれのバルコニーに上司と同僚がいるのに
しれっと鍵をかけて避難する常識人の赤木、
そして白石&妻のツートップという布陣が強いです。
短編連作という形態で心地よく読めます。 -
大好きな作品の第二弾。
脇を固めるキャラが濃い。黒川夫人が最強過ぎるwwww -
(収録作品)田舎の刑事の夏休みの絵日記/田舎の刑事の昆虫記/田舎の刑事の台湾旅行記/田舎の刑事の闘病記/田舎の刑事の動物記/田舎の刑事の冬休みの絵日記
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前作より惰性で読んでいる。こういうのをライトノベルっていうんじゃないの。
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田舎の刑事、黒川鈴木が主役のユーモアミステリー第2弾。
今回も相変わらず緩い世界観の中で起こる事件を解決する。
そして相変わらずユーモア溢れる登場人物たち。主役の黒川は周りにいじられどんどん可哀想になっていくし、嫁はどんどん黒くなっていくし、部下の白石はどんどんバカになっていくし…
しかしミステリーの部分はしっかりしていて、推理部分とギャグ部分のメリハリが効いてる。
笑えて、それでいてしっかり読める良作。