- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488503154
作品紹介・あらすじ
今日はルーシーと親友のドーンの16歳の誕生日。ずっと一緒に祝ってきたのに、今年に限ってドーンは育ての親である三人のおばさんに、誕生日に家から出ることを禁止されたのだ。誕生日だというのにドーンとも会えずさえないルーシーは、ひとりで歩いているとき、奇妙な騎馬の男たちに拉致される。巨大な光る門を通って着いたのは、まるでおとぎ話の世界だった……。
〈(株)魔法製作所〉の著者が贈る、ロマンチックなファンタジイ。
感想・レビュー・書評
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・シャンナ・スウェンドソン「偽のプリンセスと糸車の呪い」(創元推理文庫)は、いかにもこの人らしい作品であつたと思ふ。これまで魔法製作所シリーズ等、ニューヨークに妖精や魔法使ひがゐるといふことで物語を作つてきた。言はば最先端を行くニューヨークで魔法的存在が生きることができるかで始まつた物語がどんどん大きくなつていつて、最後はそれらを飲み込んでいつてしまつた。ところが今回のはいささか違ふ。主人公は16歳である。高校生であつて大人ではない。舞台は「テキサス州東部のこのちいさな田舎町」(8頁)であるから、ケイティの活躍の場であるよりも生まれ故郷に近いのかもしれない。それでも米国である。主人公達は普通の米国の高校生として生きてゐる。それがある日突然、魔法の世界、より分かり易く言へばおとぎ話、フェアリーテイルの世界に拉致されてしまふのである。「工場のドアが開き、ぼさぼさ頭の男が顔を出した。『うわっ、なんなんだ!』黒装束の騎士三人を背後に引き連れ、猛烈な勢ひで走ってくるルーシーを見て、男は言った。(中略)『まじか、じゃあ、ほんとにそこにいるんだ、幻じゃなくて』」(31頁)この世の人々の見てゐる前で拉致されるのである。この後、更に彼女の同級生男女二名がおとぎ話の世界に行き、そ ちらでは一人の男が彼女を助けることになる。かくして二組の男女の逃げつ隠れつの旅が始まる。魔法製作所シリーズではいろいろと面倒なことがあつたりした。しかしこれはさうではなささうである。比較的簡単に話は進んでいく。それが「糸車の呪い」であつた。 これが物語を簡単な方に導いてくれる。
・糸車の呪ひとは何か。おとぎ話である。オーロラ姫である。ディズニーならば「眠れる森の美女」とでもならうが、ここはディズ ニーである必要はない。ただの「眠り姫」である。おとぎ話のごく基本的な筋が分かつてゐれば良い。物語はこれに従つて進んでいくだけである。ただし、正面から何もせずに従つて行くのではない。そこはスウェンドソン、あちこちにそのパロディーめいたものを差し挟みながら物語を展開していく。私でも知らない話ではないから、それにつきあつていける。まして詳しい人はである。よく分かれば分かるほど、物語に対する思ひが出てくる。さうして偽のプリンセスである。プリンスは一人でも、プリンセスは二人ゐるらしい。 どちらかが偽者である。これは読者には最初から分かつてゐるし、登場人物にも最初から分かってゐることである。どちらが偽者だなどと考へる必要はない。作者がそれを眠り姫によりつつ、いかに物語を料理していくのかを見るだけである。しかも料理の味付けは眠り姫だけではない。よく知られてゐるのではヘンゼルとグレーテルがある。お菓子の家ではないやうだが、老婆が肥え太らせようとしきりに食べ物を勧める。これは物語の言はば枝葉である。面倒なことにはならない。そんなおとぎ話に支へられながら、物語は進む。 ある意味、予定調和の世界である。収まるべき所に収まる。決して外れない。ラストでもさうなのだが、そのうへここは続編を期待させる。相変はらずおとぎ話世界との縁は切れないのである。かくしてまた延々と物語が続くのではと思つてしまふ。これもまたこの人らしいところかもしれない。ケイティの話があれだけ大きくなつたのである。これもまたさうなるのかもしれない。さうなつてほしいと思ふ。「訳者あとがき」の最後の段落、「エンディングにはとっておきのデザートのようなエピローグ。続編を期待させる粋な終わり方だが、さて、どうなることか。訳者はひそかに期待しているのだが……。」(326頁)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ルーシーは凄く普通の子なんだけど、親しみやすくて行動派。プリンセスとして慕われるのも分かるなぁという感じ。一方のドーンはちょっと個性的。二人の視点が入れ替わる事でよりドタバタした感じが出ていて楽しい。
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おとぎ話のプリンセスを親友にもてるティーンエージャはかなり人間性が優れているのでは…と思いました
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タイトルの"プリンセス"と"糸車"で想像付くけど、童話を上手に絡ませたファンタジー。
シャンナ・スウェンドソンさんっぽくロマンス感あり、冒険感ありのステキなお話でした。
続きが出たら絶対読もう^^