一杯の珈琲から (創元推理文庫 508-3)

  • 東京創元社
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感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (161ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488508036

感想・レビュー・書評

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  • 「ドイツ文学」で検索して表示された小説のなかから、そのオシャレな表題に引かれて購入。実はドイツの情熱あふれた小説を期待していたが(ケストナー作品は読むのは初めて)、あっさりとした軽いタッチの小説で、ある意味、思惑とは違っていた。

    でもそれが悪い評価につながるわけではない。登場人物も少なく絞り込まれ、場面もザルツブルク(オーストリア)とライヘンハル(ドイツ)がほとんど。まるで舞台劇を見るように物語は進んでいく。ーそうか、舞台か恋愛映画を見るような感覚でこの小説を読めばいいのか。

    しかも発表が1938年なので、現代のゴテゴテした恋愛ではなく、例えば「ローマの休日」みたいに、本当に二人でいるだけで楽しいというような、キッスだけでドキドキ。ウインクだけでお互いがわかりあえる、といった感じ。
    (書いてて恥ずかしくなりました(*^_^*))

    この本を読むなら、どこで読むか、も重要。モーツァルトなどのクラシックのかかる、内装や食器にも気配りされた、古い感じの喫茶店がいいですね。注文は、もちろん、ウインナーコーヒー!
    (2007/3/11)

  • 一種のドタバタ喜劇なんですけどね、実に品が良い。今出来の「こう書きゃ読者を笑わせられるだろう」といったギタギタした安っぽさが無くて、ホンワカとしていて余裕があります。”ラブコメ”に分類した人も多く、それはそれで判るけど、あえて省略などせずきっちりと”ロマンチック・コメディ”と呼びたい作品です。
    そりゃあ確かに古いです。もう80年も前、1938年に書かれた本ですから。今になってみれば使い古された技法だったり、予定調和に見えたりもします。でも、出版当時は目新しく、むしろこれを先駆として広まって行った物もあるのではないかと思います。

  • 珈琲代を借りたきっかけで出会った女性と恋に落ちる男の日記小説。
    悪意を疑わずに読めるラブコメって良いですね。登場人物紹介が内容のネタバレをしていた事もありハラハラせずに読めた。

  • ケストナーの児童文学は大好きで、ここにレビューを書いたものも全て5つ星。
    でも大人向けとして書かれたものはこれしか読んでいない。
    ほとんどがシニカルなものと聞いているけれど、これは洒落たロマンス小説。
    舞台設定が面白いし、ケストナーらしい軽妙な文章が楽しい。
    あまり印象に残る作品ではないけれど、軽い読み物が欲しい時にはうってつけ。
    ただ、どうして「推理文庫」から出ているんだろう…推理は何もなかったけど…。

  • ラブコメやわ、ラブコメ。
    いい人しか出てこないラブコメ。
    悪人が一人も出てこないのよ、心穏やかに読めるわぁ

    戦争前夜のお話でね
    ドイツの金持ち青年が、オーストリアのザルツブルグに遊びにいくんだけど、外貨持ち出しの許可なんか全然でなくて、ドイツ側のホテルで泊まっては、文無しでオーストリア側に遊びにいくということを繰り返すわけですな。
    で、ある日、手違いでオーストリアの友人にあえずに、かわりに貴族の召使いの女性とボーイ・ミーツ・ガールですわ。

    まぁ今読むと、他愛もないドタバタなんだけど、当時のザルツブルグの景色や雰囲気が味わえて、なかなか楽しい体験でありました。

  • 序文からユーモア全開。

  • この本なんて喜劇的なんだ!

  • ケストナーのユーモア小説三部作の3作目。邦題の通り”一杯の珈琲から”始まる小粋なラブストーリー。悪人の登場しない、ひたすらのどかな物語が微笑ましい。たまにはこういう暢気なのも良いね。

  • 舞台は夏のオーストリア・ザルツブルグ。ザルツブルグ音楽祭開催中の華やかな都で恋に落ちる有閑階級の話。
    時代背景は厳しいはずだが、登場人物たちは誰ひとり苦境に陥ることなく、優雅なまま始まり優雅なまま終わる(ただし序文にはそれとなく仄めかされてはいる)

    1975年発行の本ということで(原作は1938年初版)ちょっと古めかしい文章で、それが味のひとつ。

  • 為替管理法により、ドイツでは大金持ち、オーストリアでは一文無しの休暇を送るゲオルクは、1杯の珈琲代金が払えないことから知り合った小間使いと恋に落ちる。

    ケストナーがこういう話を書いていたとは寡聞にして知らなかった。
    悪い人は1人も出てこないユーモア小説なので、最後までゆったりと読むことができた。
    登場人物がみな金持ちで、浮世離れした悪ふざけって感じ。
    ラストのオチも笑えた。

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