夢の丘 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488510022

作品紹介・あらすじ

空にはすさまじい赤光があった。イギリスは片田舎の山奥の、その赤光に燃えたつ古代ローマ人砦に独り遊ぶルシアン・テイラーは、作家になる夢を紡いで暮らしていた。だが、こんな田舎にいて何ができよう。夢に憑かれた彼は故郷をあとにする。牧神が逍遙する山々からサバトの街ロンドンへ……。一人の青年の孤独な魂の遍歴を描く、神秘と象徴に満ちた二十世紀幻想文学の金字塔。

感想・レビュー・書評

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  • ルシアン・テイラーは、幼い頃から孤独を好む夢見がちな少年だった。ある日、ローマ人砦の遺跡に散歩に行き、幻視に襲われる。作家志望のルシアンは成長し、故郷を離れてロンドンで暮らすうち、創作の苦しみから次第に狂気に陥り…。

    創元推理文庫の平井呈一翻訳復刻シリーズ、今回はマッケンの長編。幻想的なことがらが起こるのは序盤と終盤のみで、あとはひたすらルシアンの創作の苦悩。どうやらマッケン自身の自伝的な要素があるようだ。

    ゆえに幻想的というよりは、強迫観念からくる幻覚、狂気の要素が強く、自分が求めていたものとはちょっと違ったのだけれど、これはこれでとても興味深い内容ではあった。

  • アーサーマッケンの自伝的小説。

  • 再読。ロンドンに出てくるまでの、故郷で過ごした前半が好み。後半は陰気、感傷的で退屈。

  • 元々、朝松健の作品を読み、朝松さんに興味を持ち、アーサー・マッケンを知ったので、恐怖・SF・ファンタジーの作家と思っていたので、この小説に関しては思っていたのとは、大分違っていた。
    エンターテイメントしての小説から所謂、文学と呼ばれる小説の違いは明確で有る。
    この小説は、今の僕の読みたい小説では無かった。
    きっと、十代の時に出会っていたら衝撃的な作品だったと思う。それ程に、悲しく辛い作品だった。

  • 幻想文学というのを初めて読んだかもしれない。
    段々と会話部分がなくなってきて、文字ビッシリになってきて読むのがだいぶ遅くなった…。
    後半も終盤に差し掛かるとコレってこうなるんだよねって予想しながら読んでいると、最後にスッとやっぱり!て感じで終わった。

  • 文学を志した一人の青年が、ケルトの妖精を幻視した田舎での前半生を描くところから、魔女とサバトが繰り広げられるロンドンへと場面を移した後半。青年の幻視と現実と回想の描写が入り交じり、ただのキリスト教的教養小説とは違う、土着の香りがする見事な幻想小説でした。

    シチュエーションが似てるとか設定が似てるとかそういう表面的な事ではなく、読んでる最中ずっと、この作品の通底する思想部分に佐藤春夫の「田園の憂鬱」が感じられて、いろいろ思い返していたんですが上手く「何が共通すると感じられるのか」が言語化できない…。

  • いわゆる教養小説っぽい出だしと終盤の落差が凄い。

  • コズミックホラーの先駆とされるG∴D∴の売れない作家ことマッケンの恐らく日本では一番有名な小説です。
    幻想的な熱狂によって迎えられる”青年の救いのない悲惨な物語”・・・と言えなくもないのですが、デカダン小説じゃない?と言われると、それまでな気がしてしまうかもです><

  • 裏英国教養小説。その行き着く先は脳髄の奥の真紅の光。
    自然豊かなウェールズの片田舎に自らの想像力を羽ばたかせ、都会においてその光を顕現させようと懊悩し、果たせず沈殿していく。世紀の変わり目に取り残されたマッケン。最後の脳髄に映る赤い光がウェールズの山に沈む赤い夕焼けにリンクする。

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