オペラ座の怪人 (創元推理文庫 (530‐2)) (創元推理文庫 F ル 1-2)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (470ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488530020

感想・レビュー・書評

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  • 有名作品だけれど、実はあまり知りませんでした。そうか、こういう物語だったのか。
    日本語訳でのタイトルは「オペラ座の怪人」だけれど、作中に登場するのは「オペラ座の幽霊」なのですね。実際にもオペラ座には幽霊話があったそうだし、序盤で登場する「OのF」はまさしく幽霊そのもの。誰もいないのに声が聞こえたり、知らないうちに物が消えたり現れたり。実体のない幽霊にしかできることじゃないように思えますが。「トリック」が明かされるに至って、ミステリ的な読み心地もしてきました。消えた二万フランのトリックなんて実に見事。
    そしてクリスチーヌを巡る恋物語という様相と、三角関係に至っての活劇めいたラストの展開も読みごたえ満点。あの「拷問部屋」の音責め、なかなかやるなあ、という印象です(ある意味ミステリ的な仕掛けですよね)。しかしホラーの主役のように思っていた怪人・エリックは同情しか湧きません。自虐的で卑屈なところも実に人間らしくて、必死なところが哀れというほかなくって。読む前には圧倒的な怪物のような印象を持っていたので、意外でした。

  • いやいや、フランスのミステリ(文学?)というのはリアリティを持たすためにそれが実際の出来事であったかのように作者本人まで登場する。そういった趣向と物語の性質がやはり自分の好みに合わない。
    何度も新訳出版されている歴史的価値の高い本書もまたそうである。

    ただ、後に『13日の金曜日』シリーズの“ジェイソン”や『エルム街の悪夢』シリーズの“フレディ”に代表される怪人物の源流を作った功績はやはり意義あることだと思う。特に怪人エリックがその醜さゆえに愛されなかった苦悩を吐露する所など、怪人であることの哀しさを含ませてその造詣に膨らみを持たせていることは「ルルー、只者でなし!」の感もあった。

    が、やはり自分には合わなかった。

  •  フランケン・ドラキュラ・透明人間と並ぶ、「誰でも知ってるけど原作を読んだ人はとても少ないホラー作品」の代表格( ´ ▽ ` )ノ
     いくら昔の小説とはいえ、あまりにも長たらしくくどい文章、単純すぎるキャラクター(ラウルの単細胞さ……あんなのに惚れるクリスチーネがバカにしか見えない)に難渋しつつ、ついに完読( ´ ▽ ` )ノ

     絢爛豪華なオペラ劇場、絶え間なく奏でられる音楽、おどろおどろしい怪人に、からくりだらけの地下世界( ´ ▽ ` )ノ
     何度も映画化・舞台化されてきたわけがよく分かる( ´ ▽ ` )ノ
     とにかく絵になる要素がてんこ盛り( ´ ▽ ` )ノ
     シャンデリア落下シーンなんか、これまでいったい何本の映画で目にしてきたことか?( ´ ▽ ` )ノ
    「ファンパラ」にバトラー版にドワイトHリトルのスプラッター版……あれなんかもう、「四谷怪談」の戸板返し・「忠臣蔵」の松の廊下・「三億円事件」の現金強奪なんかと並ぶ「待ってました!」の大定番シーンだよね( ´ ▽ ` )ノ

     中盤、ラウルとクリスチーネの安っぽいイチャイチャシーンでかなりうんざりさせられたけど、そこから先は二気呵成(一気とまではいかないから、二気)( ´ ▽ ` )ノ
    「美女と野獣」やら「青髭」やらヴェルヌの冒険小説やらエレファントマンやら、古今東西ありとあらゆるおもしろ要素・手練手管を総動員して、大いに楽しませてくれる( ´ ▽ ` )ノ
     オペラ座の地下世界は「レ・ミゼラブル」で描かれたパリの大下水道シーンっぽくもある( ´ ▽ ` )ノ
    『仮面の下は……』のキャラ設定は、後のジェイソンやテキサス・チェーンソーの元祖でもあるね( ´ ▽ ` )ノ
     ドキュメンタリータッチの叙述は、当時斬新だったのか、それとも流行りだったのか、よく分からないけど、まあ今みてもじゅうぶんイケる手法だね( ´ ▽ ` )ノ

     解説キダ先生はお気に召さなかったみたいだけど、自分的にはああいうラスト(ファントムの正体・来歴が明確に記される)の方が好きだな( ´ ▽ ` )ノ
     ほんとのオバケでした、てんじゃしらけちゃうよ(>_<)
     ただ、その顛末はねえ……(´ェ`)ン-…
    「ノートルダムのせむし男」が「ノートルダムの鐘」になっちゃったみたい(>_<)
     いくら何でも、あれじゃ甘すぎるよねえ……(´ェ`)ン-…
     いっそ、女の心を得られなかったファントムが(マイケル・ベイぽく)✕✕を✕✕させてオペラ座を✕✕にしちゃえばよかった、と思う……(´ェ`)ン-…

     87初版、99年刊行のこの版がなんと39刷り(゚д゚)!
     四季効果恐るべし(゚д゚)!
     バトラー映画の後は、さらに版を重ねたんだろうな( ´ ▽ ` )ノ

    2017/12/04



    追記
     その後、DVDで「オペラの怪人(43。カラー)」を見たわけだけど、原作とのあまりの違いに驚いた(゚д゚)!
     解説にある通り、レインズ演じるファントムの正体はクリスチーネの実父になってて、ラウルはなんとキザなおっさん警部に変更されていた(゚д゚)!
     その彼がこれまたキザな男性歌手と二人して、クリスチーネの愛を争うラブコメが主筋(゚д゚)!
     まるで少女漫画(゚д゚)!
     正体が違うから展開もまるきり違ってて、怪人になった後のお父さんは娘のためなら何のためらいもなく次々ひとを殺しまくる(゚д゚)!
     当時としてはかなり予算をかけたらしく大掛かりなセットを組んではいるけれど、ラストの地下シーンはどうにもしょぼい(>_<)
     せいぜい大きな地下室レベル(>_<)
     おなじみシャンデリアシーンはもちろんあったけど(被害者は原作と異なる)、ペルシア人は出てこないし拷問室もなし……ラストシーンはかなり雑で、何の前触れもなく地下室の天井が崩落してファントムおだぶつでおしまい(>_<)
     彼がクリスチーネの父であることは最後まで明かされず、なんでそれを隠し続けていたのか結局理由は語られぬまま(>_<)
     まあ、オペラシーンに長尺を割いていてけっこう見ごたえはあったけど、全体に粗いなあ、という印象(>_<)

     映画を見て改めて気づいたけど、このファントムって後のアメコミヴィランの原型なんだね( ´ ▽ ` )ノ
     人に裏切られ、酸で顔を焼かれ、地下のアジトにこもって復讐を企み、仮面で正体を隠し……まるきりジョーカーやペンギン、トゥーフェイスのご先祖( ´ ▽ ` )ノ

    2017/12/05

     

  • 劇団四季のミュージカルでも有名な作品です。
    殺人は起こるものの、犯人(オペラ座の怪人)の正体は誰だといったミステリー要素はなく、冒険物語といった印象を受けました。

  • 結果的にはロマンチックなお話しのような気もするけれど、原文のせいか和訳のせいか、まだるっこしくて回りくどくてわかりづらい文章が僕には合わなかった。謎解きの部分もなんだかなぁという印象。
    映画や舞台は知らないけれど、小説としてはつまらない。

  • 恋愛以上の感情。人としての悦び、怪人としての悲しみ。宝塚のファントムはかなり違った演出なんですね。

  • 舞台や音楽で有名なオペラ座の怪人。
    原作を読むのは初めて。そして、恥ずかしながら、あの黄色い部屋のルルーの本だということも初めて知った。
    黄色い部屋をもう一度読もうとは思わないけれど…。

  • 翻訳は苦手だけどミュージカルの原作なので読んでみた。
    読めない漢字や慣れない文体で読むのに時間がかかった。
    情景も浮かんでこなくて映画(2004年)を思い出しながら読んだ。
    でも、またミュージカルを観る時には
    今までより深く観ることが出来ると思うので読んで良かったと思う。

    次は「マンハッタンの怪人」を読んでミュージカル「ラブネバーダイ」を観たい。

  • 映画や劇団四季のミュージカルでも有名な古典。
    最初に読んだのは確か10代の頃なんだが、意外に内容を覚えていて驚いた。若い頃に読んだものってけっこう覚えてるもんだな。
    しかし、今読むとヒロインの口調が妙に蓮っ葉に聞こえる……。

  • 舞台はパリにあるとあるオペラ座。
    道具係の死を発端に「呪われている」と称されるに値する奇怪な出来事をきっかけに支配人が入れ替わる。

    「オペラ座には幽霊がいる」。

    序盤はほとんど幽霊の存在感をきわ立たせるための前置きのようなもので、
    物語はオペラ座の歌姫であるクリスティーヌに子爵であるラウルが恋に落ちる中盤から本格的に動き出す。

    ラウルに対して、オペラ座の幽霊もクリスティーヌに恋心を抱いており、
    永遠の愛を強要ししまいには誘拐する。

    クリスティーヌを救援にラウルは向かうのだがそこでも幽霊の怪人ぶりが遺憾なく発揮される。

    表題の通り「オペラ座の怪人」の救いようのない悲哀な物語だ。


    筆者であるルルーが新聞記者出身ということもあってか
    物語の視点が(これまで私が読んだ作品に比べるとかなり)第三者的な文章であることと、
    オペラやミュージカルに疎く舞台が頭のなかでイメージできなかったことが影響してか、
    本作品は読みづらくかなりの時間を費やしてしまった。


    あまり好みではない。

    ただ、最終章とエピローグでは幽霊自身にスポットライトが当てられ、
    そこで幾分か救われた分があるという点では読後感はそれなりにすっきりしたものだった。

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著者プロフィール

Gaston Leroux(1868-1927)
パリ生まれ。「最後の連載小説家」と称されるベル・エポック期の人気作家。大学卒業後弁護士となるが、まもなくジャーナリストに転身。1894年、《ル・マタン》紙に入社し司法記者となり、のちにこの日刊紙の名物記者となる。評判を呼んだ『黄色い部屋の謎』(1907年)を発表した年にル・マタン社を辞し、小説家として独り立ちする。〈ルールタビーユ〉〈シェリ=ビビ〉シリーズの他、『オペラ座の怪人』(1910年)、『バラオー』(1911年)等のヒット作がある。その作品の多くは、演劇、映画、ミュージカル、BDなど、多岐にわたって翻案されている。

「2022年 『シェリ=ビビの最初の冒険』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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