- Amazon.co.jp ・本 (477ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488537029
作品紹介・あらすじ
魔導士が差別され、虐げられている国ラバルタ。田舎で私塾を開いている三流魔導士レオンは、魔導士の最高機関〈鉄の砦〉からひとりの少年を託される。幼くして家族を殺され、桁違いの潜在能力がありながら、魔導を学ぶことを拒む少年ゼクス。頑なだった少年は、レオンの辛抱強い指導の下で才能を開花させていく。やがてその力を認められ〈鉄の塔〉に召喚されたゼクスだったが……。第1回創元ファンタジイ新人賞優秀賞受賞作。
感想・レビュー・書評
-
魔導士が虐げられている国で、実力はないが教える力はあるレオンが、とてつもない才能を持つが学ぶ気のない少年を任されて……。魔法の描写があまりないなあと思ったけど、ストーリーは面白かった。よいファンタジー作家が生まれてる~。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
どなたかのレビューにあった、「ゲームっぽい」に頷きながら読んでいました。氷の魔法とか、本当にRPGを思わせる。魔脈とかの設定はいいのに、他がどうも見たことがあるような感じでどうにももったいない。
なかなか話が進まず途中で意識がどこかに飛んでしまいました…何派がどうのとか、もっと短く削れたはず。
解説にもあるように、文の間から香ってくる世界の風がない。確かに色々、残念。 -
図書館で。う~ん。面白いか面白くないかと言われるとあまり面白くないというか、面白くなりそうな感じはあるけどなんか勿体ない感じの展開でアレ?という感じというか。気になって最後まで目は通しましたが、オチもえ?それで良いの?と思ったし。
個人的には主人公をセンセイにした方が話がすっきりしたんじゃないかな、と思ったり。秀才型で努力するけれども能力がない方が感情移入できる。弟子に対する嫉妬とか。それにしても師匠はそれほど弟子を愛していた感が伝わってこない無いのだけれどもどうなんだろう?砦に行かせるのを拒んだ理由もなんだかよくわからないし。
天才君の方も、なんでそんなに師匠にデレたのかその辺りがわかりにくいし、彼の考えとか感情の動きがよくわからない。砦に行ってからの行動も順当すぎてあまりドラマ性が無いというか。その割にいきなり反乱という展開がん?となる。差別されていた側が差別を不当に思い暴動を起こす…のは分かるけどそれが一般市民を巻き込んだ辺りで彼らの勝利ゴールが見えなくなったというか。民衆側も不当な扱いを受けていて一致団結して反乱するならともかく、差別されている側だけが立ち上がってもゲリラ戦しか無理だろうし。
なんというか、アレもこれも色々詰め込んだ為に色々薄くなっちゃった感が勿体ないなぁと。1章の師匠が弟子を引き取って、連結して虹が出る辺りで、ああこの子を育てるために自分は居たんだ、と悟ってオワリ、ぐらいが引きも良かったんじゃないかなと個人的には思いました。 -
新人の方。
ファンタジーで差別について描こうというのは好印象。
欲を言えばその描き方。
これだけ魔導が穢れたモノという概念が浸透している世界で、魔導士がみな一様に「これは差別だ」と気付けるかどうか疑問。
むしろ魔脈を持って生まれた自分を罪に感じるほど、自己否定的に洗脳されていそうなものだ。
そんな世界では、「どうして俺たちは差別されなきゃいけないんだ」という疑問にすぐ至るとは思えないし、「差別する連中はくだらない」などという逆転の発想を被差別側が持つに至るのは、相当苦労するはずだ。
ところが主人公たちがさも当然のように上記の如く語ってしまうので、せっかくの重いテーマが軽く浅く感じられる。
ひいては魔導が卑しいとする世界観の説得力のなさにも繋がってくる気がする。
もったいない。
だがデビュー作でそこまで求める方が酷かな?
というわけで今後に期待。 -
6:読了ツイートを見かけて購入……したのだけど、面白いのか面白くないのかちょっと判断を保留したい一冊です。登場人物の関係性とかはすごくよく練られててぐっと引き込まれるんだけど、世界設定というか、舞台装置が薄っぺらく感じたんです。叙事詩についてあまり明かされていないからかもしれないけど、単巻読み切り前提でそれは反則かな、とも思うし、魔導士の地位があまりにも……何というか、都合が良すぎる。いくら被差別集団であっても、お母さんが自分のお腹を痛めて産んだ子に対してそう思うか?とか、もっと体系だった魔導の研究はされていないのか?とか、<鉄の砦>って結局何よとか。魔導はどう考えても白兵戦力より使えるわけで、「間合いに入られれば弱い」のであれば間合いに入られないような戦略を練って戦術を用いるべきで、復讐心に燃える魔導士たちが唯々諾々と従っているのはなあ……とか、国を滅ぼしたいわけじゃないとか、何かこう……今ひとつのめり込めなくて。
期待が大きすぎたのかも知れないけど、一番残念なのはゼクスの一番の特性であるディスレクが全然活かされてなかったこと。こんなに強い個性を持たせるなら、もっと書きようがあったのじゃないかな……と、同じようなジャンルに生息しているからこその辛口なのですけど。 -
内容は差別や内乱と成長を主軸にしていて重厚感がある感じなのだけど、一番大事な魔術に関する描写が余りに薄くて入り込めなかった。
『小屋一軒吹っ飛ばす』など登場人物たちが事態を教えてくれるんだけど、どう吹っ飛んだのか、吹っ飛んだ後どうなったか、などの説明がないから重大性や異常性がイマイチ伝わってこない。
ゼクスは凄い才能の持ち主だから、凄い才能だから、って押し付けられている感じでした。 -
旅行の暇な時に読もう、ぐらいの軽い気持ちで読み始めたのに睡眠時間削って旅行中に読み終わってしまった。とても良かったです。思わず帰り道に続編も買ってきてしまった。
師弟のお互いを大切に思いつつすれ違っている関係性がつらかったけれど、最後はちゃんと理解しあえるようになり嬉しい。登場人物たちの苦悩や信念など、読んでいて思わず涙がこぼれてしまうシーンもあったり。
以下、ちょっとネタバレ気味です。
個人的にアスター主役の外伝とか読みたいなあと思う。だって主役級の出自設定だと思うんだ、彼は。あとは魔導師が蔑まれる発端になった過去編とかも読みたいです。 -
三流魔導師のレオンと強大な力を持ちつつもその力を持て余す少年ゼクスの成長物。
辿った道は真逆にも見えるけど、人間らしい気持ちを持って、悶え苦しみながら成長していく二人の、どちらの気持ちも分かって切ない。
レオンとゼクスが共にいた期間はあまり長く描かれていないけれど、ゼクスがレオンを慕う気持ちが強くて良い師弟だなと思います。