月の骨 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488547028

作品紹介・あらすじ

あたしはとっても幸せ。この世でいちばんすてきな旦那さまがいるし、おなかには赤ちゃんだって。でも最近、変な連続夢を見始めた。ロンデュア、これが夢の世界の名前。あたしとあたしの息子のペプシ(!?)は、5本の月の骨を探すためにその世界に帰ってきたのだ。やがて夢が現実に、そして現実が夢に少しずつ忍びこみはじめたとき……! 訳者あとがき=浅羽莢子

感想・レビュー・書評

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  • 正夢まではいかないけれど、(この景色、夢で見たことがある)と感じた経験はあることを思い出しました。最近はさっぱりですが。年を取ったのかな?

  • ダーク・ファンタジーというらしいですこういうの。娘を出産した直後から妙な連続夢を見るようになった主人公。そこには8歳の少年、黒い帽子をかぶった犬、らくだ、熱々拇指などがいて、月の骨というものを5本集めることがいつしかその夢での目標になる。ほんのり現実の生活に侵入してくる夢。


    これ、最後ちょっとほんわかした終わり?と一瞬思ったけど、私は中絶された子供の呪い的な受け止め方をしたよ。
    だってラストの一文で彼女の中からしっかりと世界を奪ってから夢を終わらせたことがわかったから。

  • 再読。「死者の書」のインパクトが強かった私の中のキャロル作品の印象を、「これがキャロルのダーク・ファンタジー」とある意味刷新した作品。カレンが夢に見る“息子”ペプシとの冒険譚の部分だけでも壮大なファンタジーとして独立した作品になりそうなのに、あくまでその物語は「月の骨」という物語を水面下で支える世界でしかないところがいい。自己中心的な人物が多いキャロル作品の中にあって、カレンと彼女の周りの人々の背伸びしないあたたかさには読んでいて愛着を持たずにはいられない。それだけに、「死者の書」とは質の違う、けれど根の深い衝撃が残る作品。

  • 一番最初に読んだキャロルだったりする。何てことない描写から始まって、いつの間にか世界が反転する。だらだら続いてるだけのようで、引き込まれるのが別世界だからすごい。

  • ダークファンタジー。あらマイナーなのかしら画像がない…。ぎょっとする恐怖と美しさと癒しが堪能できる。

  • 最初からぐいぐい引っ張るこの筆致を見よ!何が起こりつつあるのか見えぬまま、それでもこの魅力的な世界に引き込まれて行く嬉しさよ。
    物語は終始ある女性によって語られる。美しくはあるがごく平凡な彼女が、傷付きつつも今の幸福な生活を送るようになったいきさつが物語の導入部だ。素晴らしい男性と結婚し、娘も生まれる。
    ある日、彼女は奇妙な夢を見る。ペプシという名の彼女の息子と、飛行機でロンデュアという地に降り立とうとしている。眼下には美しい海が広がり、彼女はそこにいる奇妙な名前の魚を懐かしく思い出して息子に語る……見たこともない記憶を、いるはずのない息子に。空港には帽子を被った犬と、狼とらくだが彼らを出迎え、歓迎している。その世界では獣が言葉を操り、機械が砂漠で独り言を続け、死者の住む町を無音が支配している。彼女達の目的は、ロンデュアに散らばる5本の月の骨を見付けることにある。
    夢は新聞の連載小説のように、連続して進んでいく。現実に見たものが現れたり、心配事が形になって出てきたりしながら。周囲は言う。話が進行していくのは奇妙だけど、他はごく普通の夢だよ。しかし、夢の物語が進むにつれ、現実の生活にも変化が現れる。二つの世界に影を落とす、死と暴力……そして愛する者との別離。幸福に見える日常の不安な影の原因はロンデュアにあり、ロンデュアの事象は現実世界からやって来るのだ。
    多感な時期に読んでいたら、影響を受けすぎて持て余す一冊になっていたと思う。大人になってから出会えて良かった。

  • カレン・ジェイムズは夫のダニーと暮らしている。そのアパートの階下で母親と姉をまさかりで殺した少年がいた。カレンは、その少年と廊下で出会うと挨拶を交わしていた。彼女はダニーと結婚する前に、ペーターというドイツ人写真家と付き合っていて妊娠してしまった。妊娠したことを知ったペーターは彼女を捨てた。そして彼女は堕胎したのだ。その辛い日々のことを便箋十枚に書いてイタリアにいるダニーに送ったら、一週間後に電報が届き、顔を見に行くという…。こうして恋愛小説のように始まったのだが、キャロルの小説だ。どこかで不気味な夢の出来事がちょっと顔を出す。そしてそれが現実の生活に忍び込み。現実と夢とが混ざり合っていく。ダーク・ファンタジー。「死者の書」ほどには、ページが進まなかったな。

  • ジョナサン・キャロル三作目。
    「死者の書」や「我らが影の声」よりもファンタジー色が強く、
    実際、どんでん返しによる驚きよりも、良質なファンタジーが行き着くところに結末は向かう。
    ロンデュアのペプシの正体は、序盤で容易に想像がつくし、「まさかり少年」の果たす役目も、また。
    そして現実と夢が交互に描かれているのだから、いずれ交差しないということはありえない。
    「ユージュアル・サスペクツ」式の結末の驚きを得るには至らなかった。

    しかしそのぶん、作者の持つ「優しさ」が素直に現れた作品ということもできる。
    前二作にあった、「理不尽な裏切り」という要素がなく、ある程度「前向き」な姿勢を感じられる。

  • 4/2 読了。
    夜中に読み終えて夢見が悪かった…。

  • パーツそれぞれは決して悪くない。だけど、一つの作品全体としては、いまひとつピンとこない。
    登場人物、情景描写、心理描写、謎解き、どれもキラリと光るものがあって、それなのに、ページをめくる手がすすまずどんよりとした気持ちにさせられる。
    この作品あるいは作者のキャロルの熱烈なファンはいったいどこにひかれるのだろう、と「月の骨 ネタバレ」などのキーワードで検索してみるのだが、やはりわからない。「いい作品だとは思うが面白くはなかった」というレビューもそこかしこにみつかり、そっちには共感できる内容が多かった。
    ということは、私が何か致命的に読み落としているに違いない……

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