天使の牙から (創元推理文庫 F キ 1-11)

  • 東京創元社
3.48
  • (6)
  • (11)
  • (23)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 117
感想 : 14
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488547110

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 実はこの作品、なかなか入り込む事ができなかった(笑)
    何故だろう、キャロルは短編の方がしっくりくる気がする。

    生と死をテーマに書かれた作品で、
    読み方によっては宗教色が感じられるかもしれません。

    病により死を目前に控えた元子供向けTV番組の司会者。
    人気絶頂の時に引退を決めたハリウッド女優。
    くるくると視点が入れ替わりながら、やがて大きな一つのお話になります。

    今までの経験上、キャロルは「毒がある」と分かっているので、
    いつくるかと身構えてはいるんだけれど、
    予想を上回るひっくり返され方に、やっぱり驚いてしまう。
    ここまで落とすかという。完全に作者の思うツボです(笑)

    一人称の語り口が若干冗長に感じられるのですが、
    何だか分からないけれど、キャロルはクセになる。
    時々無性に読みたくなってしまうのです。

  • ☆4.0

    読み終わった直後は「あ……あ…あ……」とカオナシみたいな声しか出んかった。
    すごく無垢でちいさな存在になった気持ち。
    全部全部全部はぎ取られて、核しか残らず剥き出しになってしまったかのような。
    あまりに劇薬。

    ワイアットのこともアーレンのことも大好きになってしまって。
    こんなに大好きにさせておいて。
    なんて作家なんだジョナサン・キャロル。

    最後に射した光に、いつか私も銀のフォークを揺らす時がくる。

  • 恋に幸せな女性の姿に頬を緩めたい? 小粋な言い回しに感心したい? 輝く希望に心躍らせたい? 冷たい絶望にぞっとしたい? 生について、愛について、死について、神について考えたい?―――それならこれを読むといい。『死』を前にした幾人かの人々の話。いや、もう、すっげえジョナサン・キャロルだわ、これ。登場人物たちに光を見せといて闇に突き落として、その上で光を探させる、見出させる。個人的な好みの上でベストかと言われれば首肯しかねるけど、それでも素敵この上ない。浅羽さんの訳も自然でとんがっててやっぱりいいなあ。

  • 【新歓企画】ブックリスト:「大学1年生のときに読んでおきたい本たち」
    アメリカの村上春樹(笑)ことジョナサン・キャロルさんの長編です。ライトな語り口で死神とか死者をよみがえらせる力とか言っちゃう「死にかけてるのってどんなものかって? もう生きてないんだ。バランス取ってるだけ」とか言っちゃう。正直べつにぜったいに読んでおいたほうがいいですよ!というような作品ではないのですけど、現代アメリカ小説の入り口として、こんなのもあってもいいんじゃないかな、と。【S.S.】

  •  ダークファンタジーの巨匠、ジョナサン・キャロルが贈る「愛と死の錬金術」

     主人公の一人は、元テレビの人気者で、ガンのために余命を告げられている。もう一人は、元女優で引退し隠遁生活を送っている。
     男は不思議な夢に、女は魅力的な報道カメラマンによって、引き寄せられ邂逅する。

     も、何をいってもネタばれになりそうなので、いわないよ。
     でも、すごい、これはすごすぎる。
     最後の方で、驚愕のあまり本を落としそうになった。心臓がばくばくいってるの聞こえた。
     キャロルには大抵やられちゃいますが、ここまでやられちゃったのは「死者の書」以来かも。
     長く絶版になってて、やっと復刊したそうなんだけど、今この時代に生きて、これが読めてよかったとつくづく思います。

     キャロルにしては、終わり方が明るいので、キャロル初心者にもOKだと思います。だから、どんどん周りにすすめて、キャロルファンを増やしましょうよww

     と、毎度思うんだけど、キャロルは女性の描き方が上手い。
     女性視点で書いてるんだけど、しなやかで可愛くて、健康で、……マリリン・モンローとかに通じるものがあるかな。でも、それを他の人の視点から描いて表現するのではなくて、女性自身の視点で他のものを表現しながら彼女自身を描くってことをやってるんだから、やっぱりすごいな。

     面白かったよぉ!!

  • 2009/09/28

    「生と死のカタルシス」

    ジョナサン・キャロルは病気や死、貧困や孤独など
    さまざまな不安や恐怖と、その対極にある愛を紡ぎだす職人。
    キャロルの作品は読者にある種の恍惚をもたらす。

  • 月の骨シリーズ(?)最後の本…かな。真ん中辺りの、一番タルいところで放置したままだったのが、再開したら一気に読了。ウワサどおり、最後がすごい!救いのある終わり方でよかったが、それでも読後いろいろと考えてしまったよ。シリーズといってもあまり話の関連性はないのだが、登場人物の背景がわかっていないと、微妙な感覚がわからなかったりするので、やっぱり順番どおり読んでよかったと思った

  • 大好きなキャロルですが、ストーリーにはもひとつ入り込めず。語り口(訳も)はさすがです。

  • ジャンルはダークファンタジー。というのが良く分からない。まぁ、現実にはあり得ない体験が描かれ、それはどちらかといえば暗いので抱くファンタジーといえばそうかもしれないけども。ダークを書くには逆の幸せを書けないと駄目っぽいですよ。その落差が面白いんだもの。解説の人も書いてるけど、初めてジョナサン・キャロルを読んで、キャロルが自分の日常の目線に入ってしまったことを感じています。これはしばらく抜けないでしょう。そういう意味では宗教であるかも知れない。世界は変わらないけれど、それを知ることによって世界の感じ方が変わってしまったから。

  • 「神を見せてくれ」「食べ終わるまで待てよ」祝・文庫化。

全14件中 1 - 10件を表示

ジョナサン・キャロルの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×