誓いのとき: タルマ&ケスリー短編集 (創元推理文庫 F ラ 3-3)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (407ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488577032

感想・レビュー・書評

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  • タルマ&ケスリーの短編集

  • 短編はいいなぁ、と改めて思いました。
    いや、もちろん長編も大好きなのですけれども。
    そうではなくて、短編というstyleが、好きなのです。
    こう、があっと一気に読み切れてしまえる感覚、というか。
    美味しいお菓子をつまみ食いしているような感じというか。

    表題にもあるように、タルマとケスリーが主役の短編集です。<blockquote><ul><li>護符</Li>
    <li>英雄の話</li>
    <li>伝説はこうして生まれる</li>
    <li>同士討ち</li>
    <li>毒薬</li>
    <li>炎の翼</li>
    <li>フォルスト・リーチの春</li>
    <li>誓いのとき</li>
    <li>竜の嘆き</li></ul></blockquote>というLineupになっています。

    時間軸としては、「女神の誓い」と「裁きの門」の間、そして「裁きの門」のあとになります。
    それぞれの作品で少しだけ触れられていた事件の詳細が、ここで明らかになるわけです。

    個人的なお気に入りは、「フォルスト・リーチの春」。
    ここでは、タルマによるシン=エイ=インならではの、馬の調教術が語られます。
    暴れ馬たちが、いかにして大人しくなり、協力者になっていくのか。
    それは、まるで映像を見ているかのような錯覚さえ覚えるほどの生々しさ。
    Lackeyの描写力の冴えもあって、目の前で繰り広げられているかのようです。
    シン=エイ=インって言うのはすごいなぁ、としみじみ思います。
    もっと凄いのは、これが実際に行われている方法だという事。
    Lackeyが、その方法を参考にして描いたsceneなのです。

    そして、締めを飾るのが表題作、「誓いのとき」。
    ちなみに、「竜の嘆き」はbonustrackです。
    ここでは、主人公の実質的な交代が行われます。
    お馴染みの二人ではなく、まだ幼さの残る少女たちが主役となるのです。
    ここの切り替え方がとても巧く、自然に世代が変わった事を納得出来ます。
    だからこそ、この後に続く数々の作品へも、移行が滑らかに出来るのかな、と思います。
    あと、ここで触れられる、彼女たちの「学校」。
    これがまた、とても素晴らしい場所なのです。
    通ってみたいなぁ、と思うこと請け合いです。
    少なくとも、ぼくは通ってみたい。

    そのほかの作品たちも、varietyに富んだ作品ばかりです。
    Humorたっぷりで、思わず頬が緩んでしまうような短編もあり。
    ちょっとした推理小説のような短編もあり。
    もちろんその根っこにあるのは、がっちりとした世界観と変わる事のない「剣と魔法」。
    本当に楽しい短編集に仕上がっているな、と思います。
    何度再読しても、毎回楽しめるというのが凄いよなぁ、と。

  • 表紙はケスリー、タルマ、ワール。この表紙のケスリーはすごく好き。ケスリーっぽい。ケスリーを上手く捉えている。ワールってああいう感じなのか。
    タルマとケスリーは2人で流れの傭兵をしていた時代。ケスリーが子供を産んで、自分たちの学校を運営している時代。納められている年代の幅は広い。
    ケロウィンの物語、の前にこれを読んでおいた方が良かったのかなぁと思う。

  • 「女神の誓い」「裁きの門」のファンタジー2部作の間を埋め、また、後日談について書かれた短編集。前2作で世界観が完全にわかっているので、すんなりと、かつ、たっぷりと楽しめた。
    後日談について書かれた、中編の「誓いのとき」が、一番力が入っていた感じで、やはりこれが一番おもしろかった。

  • 確かにあっという間に読んでしまいました。これでこの二人組の活躍ともお別れかと思うと寂しいですがようやく手に入れた平和な暮らしを営む様子を見るとまた過酷な冒険に出すのも辛いので仕方ないかなあと思ったり。

    ここまでくるとタルマにはワールが居て良かったなあとしみじみ思うのです。ケスには旦那と子供が居ますからね。今後の子どもたちの活躍が楽しみです。最後の短編も面白かったですね。苦労は本当で金もうけは幻、かあ…。お姫様もが白馬の王子様を待っている時代ではなくなったんだなあ。王子様も考え方を変えないと生き残れないかもしれないですね(笑)

  • タルマとケスリーにまつわる短編集。それこそ、吟遊詩人から有名なふたりの傭兵についての物語を聞いているような気持ちで読めた。
    そんな風に思うのは、昔話を聞いたときのような、普遍的な人生の教訓めいたものを所々に感じるからだろうか。
    表題作を読むと、ケスリーの娘とふたりの教え子たちにも彼女たちの強さや賢さがきちんと次の世代へと受け継がれてゆくのだなぁと思えて嬉しくなった。

    そして「フォルスト・リーチの春」を読んで作者の馬に対する愛の深さを思い知る。

  • 再読ー。

  • ケスリーの娘が好きだなあ。
    幸せそうで嬉しい…。

  • 女性の強さを思うシリーズ。でもフェミニストは剣。

  • ヴァルデマール年代記。「女王の矢」より100年くらい前、おばあちゃんたちの時代。姉妹の絆を結んだタルマとケスリーをめぐる短編集。ヴァルデマールの世界が少し見えてきたかな?

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