ずっとお城で暮らしてる (創元推理文庫) (創元推理文庫 F シ 5-2)
- 東京創元社 (2007年8月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488583026
感想・レビュー・書評
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一家毒殺事件のあった屋敷で静かに暮らす生き残りの姉妹。従兄の来訪が閉鎖的な世界に害をなす。美しい狂気の世界。シャーリー・ジャクソンは「くじ」もおすすめ。
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面白かったです。
善良な、というかいたって普通の人も、悪意にとらわれるとこんなに激しい事をしでかしてしまうのだと思うとかなり怖かったです。
その後には「ごめんなさい」のしなじなを運んでくるというのに…集団心理やその場の雰囲気にのまれるのだろうか。
コンスタンスとメリキャットの暮らしがずっと害われず幸せなままだといいと思いました。
みんな少しずつ狂っている、幸せなお城の暮らしです。 -
ずっと読みたくてようやく巡り会えた本。
期待を裏切らない、恐ろしくて美しいお話でした。 -
世界観がとても好き
コンスタンスが作ってくれる食事が
美味しそうだし
キッチンもお庭もきっと素敵なんだろうなあと
想像しながら読んだ
メリキャット目線の空想のような日常のなかに
村人たちの悪意、過去の惨劇がひそむのが不気味で、人間の狂気を感じた
特にジュリアン伯父さんの存在はパンチが効いててとても印象的だったな
外から見れば姉妹は狂った生活をしているのだろうけど2人はとても幸せそうなので
このままお城で暮らしてほしいと思ってしまう
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最初から最後までずっとマザーグースで文章を練っているのかというくらい不気味で可愛らしい文章で、ワケが分からない。ゴシックホラーの小説の原点であり、この小説に憧れて筆を執っている人は多いのだろうなと。似た作品は沢山あれどやはり別格。
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「虫唾が走るような不快感」が癖になってしまうという桜庭一樹さんお勧めの一冊。確かに嫌な気持ちになりながらも読むのをやめられない。自分の胸に問えば邪悪な部分がないとは言い切れない。人間の意地悪な妬み心が高じると、自制が効かなくなる哀しさ、お屋敷の火事に乗じて村人が略奪・暴行に至る過程が怖い。
そんな人間心理を個性的な美姉妹をヒロインにして綴るシャーリィ・ジャクスンという作家の心理力に興味惹かれる。ゴシックロマンという作風は、20世紀はじめのイギリスアメリカ女流作家に多い、ダフネ・デュ・モーリアもそうだった。もっと言えばシャーロット・ブロンテからも始まっているのね。