- Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488618063
感想・レビュー・書評
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はるかな未来、人類は外宇宙探査のために亜光速宇宙船を送り出そうとしていた。莫大な距離をへだてた宇宙船と地球を結ぶ通信手段としては、テレパシーが理想的だ。そこで白羽の矢が立ったのが、ぼくとパットの双子の兄弟だった。夢見ていた恒星間旅行ができる。危険をかえりみず、ぼくたちふたりは喜んで訓練に参加した……。
SFが好きじゃないので読んでみようと、古典アシモフに続き、今回のハイライン作品の読書。1956年出版85年にこの翻訳版初版が出版されたようです。この本が出版された時点でニューウェーブSFというジャンルが確立されていて、翻訳者後書きによるとハイライン曰くニューウェーブは「stink」と。それならば次はそのニューウェーブSFとやらを読んでみようと思いました。 肝心の物語はというとアシモフの『われはロボット』よりも読みやすく好み。無線通信の代わりにテレパシーを使って交信するという設定はユニーク。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ジュブナイル
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とても古典的な筋書きの宇宙冒険もの
だがやっぱりハインラインは最高だぜ
JUSTICEがある
これがアメリカである
結末なぞハインラインでなければ許されないがハインラインだから許される
そういう大正義な思想のお話でありながら
娯楽小説として隅々まで神経通っていて多くの後続に範たる出来ばえ
偉い -
筋もさることながら、訳がいい
宇宙の戦士とはまったく違う。オチがタイムパラドックスという意味で夏への扉風の冒険小説だ。
双子の一方が光速船に、他方が地球に残り、テレパシーで双方向の通信を行いながら遙か銀河の植民星を探す。
光速船に乗った方は年をとらない。地球に残った方はどんどん年をとる。浦島効果だ。
エンディングはあっけない。瞬間移動が開発されたことにより、光速船による植民星探査が終了し、メンバーが地球に瞬間的に帰還するというもの。
そこで対面する、年が大きく違った双子の兄弟の会話が、冒険を終えた少年の成長を端的に表現しておりスッキリした読後感を与える。
(ラストでひ孫と結婚するというのは夏の扉風だがイマイチ?)
また、個人的には本作の良さはその訳にあると思う。酒匂真理子さんの日本語訳はリズミカルでファンキーな雰囲気にあふれている。
邦題は「宇宙(そら)に旅立つ時」となっている。原題は TIME FOR THE STARS だ。なかなかの意訳だね。
原題のイメージからすると「星の時間から見れば人の一生なんて・・・」ってな感じかなぁ。私が訳者なら「星の時間、人の時間」なんて邦題をつけそうだ。
すばらしい訳文をメモしておこう。もちろん原文がすばらしいから訳もすばらしいのだと思う。
どちらになるかは、パンがバターをぬった側を下にして落ちるのと同じように目に見えていた
女の子は結婚したいと思ったらこんなので手を打つのかという見本
連中はどこに死体を埋めたんだ? こいつは口止め料か?
自分が正しくて将軍が間違っているとき、相手に考えを変えさせる方法はひとつしかない。口をつぐんで、議論しないことだ。
渡り終えたあとに自分で焼いた橋は、どれもみな渡るまいと決心した。
未確認飛行物体UFOを「ウーフォー」と読ませるあたりは時代を感じるが、それでも1956年発表作品なんだから許せる範囲だ。いい作品にいい訳だった。 -
2009/11/7購入