いたずらの問題 (創元SF文庫 テ 1-11)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488696115

作品紹介・あらすじ

高度に道徳的な思想に支配され、近隣同士の相互監視体制までもがゆきとどいた近未来社会。とある調査代理店の青年社長アレンは、ある夜、自分自身にも理解できない衝動にかられ、この世界の偉人ストレイター大佐の銅像を密かに破壊するという"いたずら"に及ぶ。この事件は世界に波紋を広げるが、一方彼の周囲にも…。独特の筆でディストピアを描く、ディック本邦初訳長編。

感想・レビュー・書評

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  • サスペンス・ミステリーらしいが、結局どういう話なのか最後までよくわからなかった

  • 56年。第三長編。’72年、全面核戦争により荒廃した北米大陸(共産圏は壊滅らしい)に(英国が内戦で混乱した時期に信仰復興した軍で救国の英雄となったクロムウェルのように)(あるいはアフガニスタンのタリバンのように)道徳的規律をもってストレイター大佐は社会を再建した。その維持に、階層化されたコミュニティーの相互監視があるのだが。主人公は政府広報ビデオメッセージを作成する職で社会的地位が最上だが危険も大きい。緊張ばかりでは劣化するが‥そこはメンタルヘルスリゾートという精神科があり、加えて妻も優しく彼の非行を‥
     自分の意識がないうちにとんでもないいたずら(悪)をしでかしてしまう主人公が、よりによってモラルを世間に普及する組織の最上部に任命される。「ぼくらはやり遂げた、いたずらを完遂したんだ」。


    はじめの3長編のうちでは主人公が独身の『太陽クイズ(偶然世界)』が一番良い。夫婦間の葛藤の描写は作家の個人生活を垣間見る面白さはあるが、ただでさえ説明なしで投げ込まれる危機的シチュエーションにおける複雑なプロットをわかりにくくする。とは言え初期長編ではまだメタ化せず、“幻想は幻想(少なくとも作者にはそれが意識されている)”“フェイクはいつかバレる(騙された者が死なない限り)”との原則は守られている。

  • これも、買ってから長いこと放っておいた本。今から60年も前の作品だが、あまり古びた感じがしない。読み終わって明るい気分になるなんて、本当にディックの小説だろうか。大森望訳。1992年10月16日初版。定価530円(本体515円)。
    収録作品:「いたずらの問題」、「訳者あとがき」、「おまえは誰だ サスペンス・ミステリーの側から見たP・K・ディックの世界」(宮部みゆきによる解説)、「フィリップ・K・ディック著作リスト」

  • 強制的な道徳的思想で支配して安定を保つという発想が悪夢的ということでしょうが、罪とか罰とかで縛らないとモラルは守られないという発想自体が日本人にはなじまないのではないでしょうか。いや、もはや欧米並みに崩れてきているのかも・・・

    今作品はユーモア前回と解説されているのだけれど、ディックのユーモアはまったく理解できないぞ。それこそが悪夢的ということか。なんじゃこれは的ディック全開。

  • ちょっと長かったな。

  • 2008/12/08 購入
    2008/12/17 読了 ★★★
    2013/04/11 読了

  • すべての人々が住民の相互監視体制の中に置かれた近未来。
    ひとりの男が国家に対してあるいたずらをしかけます。
    私が鬼才ディックにはじめて出会ったのはこの作品でした。

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