- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488725013
作品紹介・あらすじ
銀河系に一大王朝を築きあげた帝国と、民主主義を掲げる自由惑星同盟が繰り広げる飽くなき闘争のなか、若き帝国の将"常勝の天才"ラインハルト・フォン・ローエングラムと、同盟が誇る不世出の軍略家"不敗の魔術師"ヤン・ウェンリーは相まみえた。この二人の智将の邂逅が、のちに銀河系の命運を大きく揺るがすことになる。日本SF史に名を刻む壮大な宇宙叙事詩、星雲賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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(注:このレビューは読み始める前に書いています。プロローグ的な、斬新!)
先日図書館に行って館内を一周りしたとき、気が付いたらいつの間にか『真田太平記』の一巻を手にしていました
危なっ!
ナルニア国とか守り人シリーズとか北方水滸伝とかの大長編が読みたいリストに入って順番待ちしてる中何を考えてんねん!と思って慌てて棚に戻しました
ふ〜危なかった〜
って銀英伝借りてるやん!
外伝も含めたらそんなに変わらないくらいの大長編借りてきてるやん!
びっくりした〜
(3冊同時に借りてる時点で確信犯)
ということで『銀河英雄伝説』です
実はワタクシ田中芳樹さんの大々々ファンで、銀英伝以外の著作はほとんど読んでるんですよね
ではなぜこの日本SF史そして日本アニメ史に燦然と輝く名作を読んでいなかったか?
答えは簡単
乗り遅れて意地になってたんです
流行りモノに後から乗っかるのはなんかプライドが…みたいな若気の至りはみなさんも一度や二度は経験があるんじゃないでしょうか
でもね、もうそんなくだらない意地を張ってる場合じゃないんですよ
もういい歳なんですからね
読まずに死ねないですよ
だいたい意地なんてもんは女4男1の家族構成になった時点で粉々ですよ
ということで、どうせ出てくる人みんな死ぬんでしょという田中芳樹さんファンならきっと共感してもらえるという想いを抱きながら、壮大なスペースオペラ開幕であります -
中学生の頃、好きな場面は暗唱できるほど繰り返し読んでいた。それまで漫画しか読まなかった私に小説の魅力を教えてくれるとともに、その後の価値観の形成に多大な影響を与えてくれた作品。
当時、同級生の間ではライトノベルが流行していたが、その多くは内容が貧困で興味が持てず、さりとて純文学を味わうには人生経験が足りず、私は「小説なんてつまらない」と思い込んで、漫画ばかり読んでいた。そんな私が、某アニメ情報誌に特集されていたことがきっかけで興味を持ち、軽い気持ちで手に取ったのがこの作品だった。
そしてまず、序章で大きな衝撃を受けた。自分の知らない世界がそこにあった。漫画では到底不可能な、空間的時間的に壮大なスケール。さらに読み進めていくうちに、完全にその世界観の虜になっていた。宇宙艦隊の戦術戦略、国家規模の権謀術数、主要登場人物はもとより、脇役たちにまで及ぶ生き生きとした愛すべき人物造形。そして、あの独特の文体…。「華麗な文章」というものが存在するのだと、読書子として未熟な私はそのとき初めて知った。
当時の私には難解な表現が多く、当初は単語の解読にかなりの時間を要した。国語辞書を片手に、ぶっとおしで8時間かけて第1巻を読破したのは、今では良い思い出だ。巻を重ねるにつれ辞書は必要なくなり、いくらか短時間で読めるようになった。こうして全く副次的な効果として語彙が増え、その後は読書が容易になり、結果的に読書が好きになった。ある意味で人生を変えてくれた、思い入れの深い作品なのである。
それから、歴史の面白さを教えてくれた点も忘れられない。架空の物語とはいえ、作者の歴史に対する造詣の深さゆえに、歴史のダイナミズムが圧倒的なリアリティをもって迫ってくるのが、この作品の大きな魅力だ。歴史の流れの中で、大局的な視野で物事を把握するのが如何に重要であるか、「後世の歴史家による記述」という独特のスタイルを採ることで、言外に教えてくれるのだ。
さらに、「賢明な君主による専制君主制と、衆愚と化した大衆による民主共和制では、どちらが好ましいか?」という思考実験も試みられている。歴史の中で人々がどのようにして「自由」を勝ち取ってきたのか、そして、どのような場合にそれを自ら放棄するのか。自由には常に責任が伴う。「煩わしい責任と共に自由を放棄する権利」は、認められるべきか否か。作者の答えは限りなく「否」に近いが、自分ならどう思うか、読みながら考えてみるのも一興だろう。
全巻あわせると相当なボリュームなので、忙しい社会人には薦めにくいのだが、時間にゆとりのある学生さんには、頭の柔らかいうちに是非とも読んでもらいたいと思う作品である。 -
超有名小説なので今更語る部分はないのだけれども、やっぱり私がこの小説に中学生のころに出会えたのは幸運だったかな~と思う。今読むと、また違った感想があるかもしれないけれども、思い出補正をつけてレビューをしたい。
私は帝国と同盟のどっちが好きかというと、断然同盟のほうで、正直言えばラインハルトの魅力があんまり分からない人間だった。なんというか、絵に描いた天才キャラなので、発展性がないというか、自己完結しているというか。で、帝国はラインハルトという太陽が中心にあって、周囲を凡人(と言っても超優秀だけれど)な将軍たちが固めるという要素は、今であれば、もっと洗練されたかたちで表現できたのではないかと思う。
で、その「洗練されたかたち」になっているのは、実はヤン・ウェンリーを中心としている同盟側で、こちらはヤンという全能感のあるキャラと、周囲の人々との対比が帝国側よりも上手くいっている。たぶん、ユリアンという存在が大きかったのだろうし、君臣の関係で語られる帝国よりも、仲間の関係で語られる同盟のほうが、チームとしての魅力があるのだと思う。
ラインハルトは天才ではあるけれど、全能感はないんだよね~。あれだけのことをやっておきながら、「上手くいってる」感があまりない。キルヒアイスも2巻で突発的に死んじゃうし、ことあるごとにヤンが立ち塞がるし、ロイエンタールに裏切られるし、オーベルシュタインはいけ好かない。
最終巻の後書きに、キルヒアイスの死が早すぎたということを作者自身が問題点として書いている。でも、あそこでキルヒアイスが死ぬのは妥当だったと思う。そこから物語は、ラインハルトが「余のことを理解してくれるのは、もうお前だけやねん!」とヤンににじり寄っていく構造になるけれど、それが果たされないままヤンが死に、ヒルダとやっちゃうという流れは、欠落を抱えた人間が満たされたときに死ぬという話の完成形のように思うのだ。
逆に、キルヒアイスが5巻辺りまで生きていたら、それ以降の展開があまり上手くいかなかったのではないかと思ったりもする。誰がキルヒアイスを殺すの? とか、ヤンとラインハルトの関係が薄まるのでは? とか。
まあ、歴史にifがないように、完結した小説もifはないよね、と後世の歴史家が言ったとか言わなかったとか……そんなオチをつけたいと思う。 -
一巻だけ読んで、アニメをすべて見た(新旧)。キャラクターのイメージが視覚的についてしまうのがいいのか悪いのかという問題があるにせよ、ものすごい人数の登場人物、しかも世界史並みにみんなカタカナ長い人ばっかりなので、アニメを見てから是非読んでみていただきたい。
『三国志』、『坂の上の雲』が好きな方はドはまりすると思う。
ドはまりしすぎて読み続けてしまうのでご注意を。 -
上司に勧められて読み始めた『銀河英雄伝説』、全10巻をようやく読み終えた…
チープなタイトルに似合わず内容は凄まじく濃ゆいので、読み始めると止まらなくなる徹夜本でござい。
遙か未来、銀河系では帝国軍と同盟軍が勢力を二分し、惰性的な戦いを繰り返していた。永遠に続くと思われた争いは、両陣営に2人の天才が現れたことにより急激に展開する。
「宇宙を手に入れる」という野望を持つ帝国軍の英雄ラインハルトと、歴史学者を志すも不本意ながら軍人となった同盟軍の軍略家ヤン・ウェンリー。この2人の智将の対決を軸に、数多くの英雄達が人類の歴史を動かしていく…
登場人物がこれでもかというほど出てくるけど、どのキャラクターもキャラが際立っていてとても魅力的。その魅力的なキャラクター達が宇宙を背景に繰り出す壮大な群像劇は、まさにスペースオペラやで…!
(何言ってんだと思った奴、読めば分かる。笑)
そして登場人物のセリフがこれまた一々格好良い!!
「ことばでは伝わらないものが、確かにある。でもそれは、ことばを使いつくした人だけが言えることだ」
「かかっているものは、たかだか国家の存亡だ。個人の自由と権利に比べたら大した価値のあるものじゃない」
「人間の社会には、二つの思想の潮流があるんだ。生命以上の価値が存在する、という説と生命に勝るものはない、という説とだ。人は戦いを始めるとき前者を口実にし、戦いをやめるとき後者を理由にする。それを何百年、何千年と続けて来た…」
面白いだけでなく、中々示唆に富んでる小説です。全部で10巻とかなり長いけど、最後までたっぷり面白さが詰まってますお(^^) -
思わず読んでしまった。
アニメを放映していると思わず見てしまうこのシリーズ。まぁ登場人物の多いこと多いこと、名前のややこしいこと、加えてドイツ名の面倒なこと、これは小説だと大変だな。
原作を読むことはまぁないだろう、と考えていたがたまたま手に入ったので思わず読んでしまった。
スペースオペラと分類がされている本作だが、読んでみてこんなにも文章が綺麗だとは思わなかった。いや想像していたものと現実の文章を比較してみると、目から鱗とも言える程に文章表現が綺麗で読みやすい上に粋だ。とても20年以上も前の作品とは思えない。
さらっと読めそうなので、シリーズ制覇したいなんて思ってしまうが、漫画的な魔力があるのでちょっとペンデングにしておこう。
やっぱりヤンはかっこいいな。
幼き頃の私にとって『三銃士』のアトスとヤンは憧れの人物であったのだが、やはり今も変わらないと見える。 -
壮大な銀河の物語、これはその序章。
大河が好きだ。歴史モノが好きだ。外国モノが好きだ。これまでSF文庫というだけで、敬遠していたことを強烈に後悔した。どこまでも私の好みの小説だ。帝国と陰謀、腐敗した貴族と美形の天才、素敵な女性、陽気で個性的な仲間たち。30年前に書かれたなんて! ライトノベルなんてことば、まだなかった頃。本気で構築された世界にくらくらしながら読みました。建国から腐敗した今へと、そして革命を経て未来へと続く熱気が、淡々とした文章でつづられているのが、本当にいい。手にとってよかったです。
歴史を愛するヤンが好きだ。歴史を研究する意味を、このようにしっかりと語られているのが嬉しい。過去を検証することで、今を考えるために、歴史学があるのだ。 -
序章である「銀河系史概略」から、大きな戦いの後の束の間の休息の中で、意外な黒幕が正体を垣間見せる最終章の「新たなる序章」まで、時間も忘れて読み耽りました。
純粋にフィクションであり、読み応え充分面白さ抜群のエンタテインメントでありながら、重厚な歴史書に綴られた史実を読んでいるような気分になりました。
かわぐちかいじさんの「沈黙の艦隊」や北方謙三さんの「水滸伝」、それぞれの第1巻を読み終えた時の気分も、こんなんやったように思います。
500年近くに渡って銀河に栄華を築く帝国と、民主主義を標榜して帝国への反旗を翻す自由惑星同盟の対立の歴史が描かれるときけば、パッと自由惑星同盟に正義を置きたくなるもんです。
ただ、実際に読んでみるとなかなかどうして両陣営とも清濁入り乱れた様々複雑な社会、人間模様が描かれており、それがまた読み応えを増してくれますね。
各陣営の主人公的な二人のキャラに冠せられた二つ名もシビれます。
"常勝の天才"と"不敗の魔術師"、今は共に二十代の若き二人が、これからどんな人生、生き様を見せてくれるのか、とても楽しみです。 -
銀河系の一大帝国の若き“常勝の天才”ラインハルト・フォン・ローエングラム。
民主主義を掲げる自由惑星同盟が誇る不世出の軍略家“不敗の魔術師”ヤン・ウェリー。
二人の智将の邂逅と銀河系の命運を描く壮大な宇宙叙情詩。
読み終えてまず思ったのは、これが20年以上も前の作品なのか、ということ。
そして文章の緩急がとても上手であること。
ヤン・ウェリーの皮肉すぎる運命には、争うことの虚しさを覚える。
ミステリ :☆
ストーリー :☆☆☆☆☆
人物 :☆☆☆☆☆
読みやすさ:☆☆☆☆☆
その幼なじみは今でも付...
その幼なじみは今でも付き合いがあるのでバレないように発言に気をつけておりますw
で、実際に読んでみてやはりめちゃくちゃ面白いので、今新鮮な気持ちで楽しめているのは良かったといば良かったんですが
あの頃意地を張らずに読んで幼なじみと銀英伝を語り合ってれば良かったな〜っていう後悔の方が強いかもです
この世界観、完全に漢(おとこ)の世界です。
この世界観、完全に漢(おとこ)の世界です。
自分も漢として上級大将目指します
自分も漢として上級大将目指します