- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488757014
感想・レビュー・書評
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ひとつの物語、一行の文章に情報がぎっちり詰め込まれていて、それを想像しきれないほど、補う挿画があってもまだ足りない想像力で物語世界を思い描いているうちに読み終えました。
時間をかけ、また読み返したいグロテスクだけど情の移る“人間”のSFです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
とてもとても面白かったのだけれど、自分の想像力の浅さでは3割くらいしか理解できなかった。しかし面白かった。なんだこれ。でろっでろでずるっずるでぐっちゃぐちゃのスプラッタっぽい謎生物たちの跋扈する圧倒的な世界観。確かに円城さんが帯でいう“人類にはまだ早い系作家”だった。
収録4編中では「洞の街」が一番好み。最後の「百々似隊商」はナウシカの蟲使いをイメージしていた。 -
さっぱり意味が分からなかった。
分からないなりにも読み続ければどこかでブレイクスルーが訪れるはずだ、そう期待してページを捲るも、その瞬間は訪れず。しかしそれでもページを捲ってしまうというこの不思議。
主人公(がそもそも誰なのかさえよく分からない)に感情移入して物語に没入してしまう、というよりも、
この世界は何なのか? 何が起きているのか? 何が描かれているのか? という、いわば「知的好奇心」によってページを捲っていたように思う。
分かんなさすぎて面白い、というか。
それだけ世界観が緻密で、盤石で、何よりも魅力的だったということだろう。
円城塔氏が激賞なのだそうだけれど、氏の近著『エピローグ』を読んだときに思ったのと同じで、
「次の文明を担う知性体がこれを読んだとして、どう思うのだろう?」と感じた。
ただの「おとぎ話だった」で終わるのか。それとも「予言の書であった」、とされるのか。 -
サイバーパンクの直系でかつ極北。異質過ぎてどんな世界か脳内にうまく立ち上げられなかったけど手探りで面白かった。言葉や単語のずらし感がとても楽しい。
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開幕でラスボスに殺されるRPGみたいな構成になっているけど、最初の一篇をなんとか読み切った後はグロテスクで切ない物語の世界にひたすら身を委ねることができた。ただ一本筋の通った本格SFというよりは、たまたま筋の通っちゃった幻想小説と言われた方がしっくりくるような、それくらい作者の想像力の果てのなさを叩き付けられた感じ。あと「遮断胞人」の字面が最高。
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(話題の本:佳奈子さん)
粘液にドーンときた~。(笑) -
●円城塔氏推薦――「地球ではあまり見かけない、人類にはまだ早い系作家」
【第34回日本SF大賞受賞】
巨大な鉄柱が支える甲板の上に、その“会社”は建っていた。語り手はそこで日々、異様な有機生命体を素材に商品を作る。社長は“人間”と呼ばれる不定形の大型生物だ。甲板上と、その周りの泥土の海だけが語り手の世界であり、日々の勤めは平穏ではない──第2回創元SF短編賞受賞の表題作に始まる全4編。文庫化に際し、著者によるイラストを5点追加。本文イラスト=酉島伝法/解説=大森望
*第1位『SFが読みたい!2014年版』ベストSF2013国内篇
*第1位「闘うベストテン場外乱闘篇 ROUND2」国内篇(2014年1月13日、於・新宿ロフトプラスワン) -
これ、すげーみんな褒めてて、おもしろい文章とか雰囲気はあるんだけれども、みんなストーリー追えてるのかな?ごめん、オイラ読み方が雑なせいなんだろうけど、追いきれんかった。2回読んで2回目に腑に落ちるところも多かったから次読んだらまた何かあるんかも知れんけど、たぶん5割もわかってなさそうだ。
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日本SF大賞受賞作。文庫化により再読。
矢張り語彙のセンスとバランス感覚が目を惹く。2度目のせいか、単行本版では強かったグロテスクさは余り感じなかった。逆に異形の登場人物(人物?)のふとした言動や心理描写に惹かれた。
解説は単行本版に加筆、また、文庫版では挿絵が追加されているのも嬉しい。基本的に小説に挿絵は要らないと思うが、これに関してはあった方が良いと思う。