大泥棒 ―「忍びの弥三郎日記」に賊たちの技と人生を読む

著者 :
  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (444ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492044261

作品紹介・あらすじ

誰を狙い、何を下見し、いつ、どう侵入するか?闇夜を駆け、密かに忍び込み、大金をせしめて逃げる。実在した伝説の大泥棒が、獄中で遺した6冊の日記があった。もう一人の大泥棒と犯罪学の権威で読み解く犯罪のメカニズム。「犯罪行動生態学」研究の第一人者が精魂を込めて書きあげた真摯な学術の書。犯罪者の心理と論理の側面から犯罪予防のあり方を提示する。

感想・レビュー・書評

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  • この本には、二人の「賊」が登場する。
    6年間の刑務所時代に、一般市民が被害者とならないための防犯上の忠告を書き連ねた「獄中日記」を記した「忍びの弥三郎」。
    忍びの弥三郎が死亡しているため、この「獄中日記」を解説してくれた「猿の義ちゃん」。
    「獄中日記」と猿の義ちゃんの解説を中心に、プロの賊の盗みの技について、犯罪行動生態学の観点から書かれている。
    「獄中日記」は表向きは防犯上の忠告という形をとっているけれど、これは刑務官の検閲をパスするためで、本当の目的は獄中で他の窃盗犯から仕入れた盗みの技を、刑期満了後シャバに出てから実践するための記録なのだろう。
    猿の義ちゃん曰く、「このまま出したら世の窃盗犯に技を教えるようなもので危険」ということもあり、肝心な部分は伏字になっていて意味不明な所も多い。賊の見事な盗みっぷりを垣間見ることはできるのだけれど、やはり欲求不満が残る。

    ただ、間違いなく言えることは、「戸締りをしっかりしましょう!!!」

  • 優秀な泥棒の日記を基に泥棒の心理や行動を明らかにしたもの。犯罪防止のため日記の一部のみしか記載されていないこと、何人かの泥棒の意見のみで全体を構成していること、自分の犯罪行動学の分野にも範囲を広げていることなどから、記載事項が説得力に欠け深みがなく、内容が発散している。著者の多用する「犯罪者261名へのインタビューを1992年にまとめたもの」もデータとして活用するには母数が少ないような気がする。
    学術的にまとめられれば、よい研究結果になると思うのだが。
    「刑務所という学校には、誰もが入学することは許されない。体を張った厳しい審査(裁判)がある。しかし、犯罪者からすると、看守以外の誰にも邪魔されず、最新の犯罪技術を無料で習得、再履修することができる高度職業専門学校でもあるわけだ」p31
    「警報装置以上に威力を発揮し、効果があるのが、お座敷犬(スピッツなど)をその家の中に放し飼いすること」p297
    「(効果ある張り紙)「この前、みんなで泥棒を追いかけましたが、残念なことに取り逃がしました。今度は逃がさないぞ」「みなさんのご協力で、泥棒を捕まえることができました。またのご協力を」。(ダメな例)「気をつけよう 鍵掛け戸締り しっかりと」」p413

  • 忍びの弥三郎獄中日記をモチーフに、猿(ましら)の義っちゃんが主として解説する盗人の実態。
    改心しているようで、本当かな?という義っちゃんの語りと技が怖い。

  • 故人となった「賊」が書き残したノート数冊に及ぶ獄中日記。そこに記された盗みのノウハウやテクニックを元・泥棒が解読する。
    鮮やかな盗みの手口・驚くような侵入の手段・侵入してからの振る舞い・下見の方法・逃走方法…ノートに記されていた内容は感心するほどの知恵ばかり。
    元・泥棒も実践していたことや、逆に知らなかったことなどが赤裸々に語られている。
    この本を読んでから街を歩くと、どこでも侵入経路になりうるところばかりで驚くばかり。よほど気を付けないと本当に「やられる」と思った。
    しかし、本書。ちょっと内容が冗長なのが残念。インタビュー形式なのはわかるのだけれどエンタメ性にかけるのが難点。無い物ねだりか…

  • 盗む側からの、どういうところを見ているかという観点は非常に怖さを覚える。

    これを読んでから、街を歩くとどれもこれも、全部入れそうな、そんな気がしてきて、悪さをする人間のためにこそある本になりそうで、大変危険。

  • 読み手の防犯意識を向上させるには充分な役割を果たすと思うが、文章や構成をもう少し工夫して欲しかった。

  • 犯罪者は特別な存在ではなく、あなたの隣にいる普通の人かもしれない
    誰でも犯罪者の被害者になりうると同じに、誰でも犯罪者になりうる。

    読んでいて怖かった

  • 007

  • 丸善津田沼でチラ見。どこの書棚と思えば3階の事件ものの分類。かなりのマニアック内容だったので、未読本(007、B級グルメ、カノッサ、猫鳴り、関西絵コトバ、内田樹先生、石井好子さん、フレッシュネス、・・・)がたまっている現在は見送り。

  • 津市津図書館----安濃図書館。

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