ヤバい社会学

  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492222959

作品紹介・あらすじ

シカゴの麻薬売人ギャングの懐に飛び込んだ社会学者ヴェンカテッシュの話は、ベストセラー『ヤバい経済学』で取り上げられて世界中の注目を集めた。本書は、彼がギャングとつるんだ冒険と災難の日々の全貌を明らかにした地下経済ノンフィクションだ。アメリカ最悪のゲットーの一つ、シカゴのロバート・テイラー・ホームズで、ヴェンカテッシュはギャング・リーダー、ヤクの売人、ヤク中、ホームレス、売春婦、ポン引き、活動家、警官、自治会長、役人たちと知り合う。そこには、ギャングと住民のあやしく複雑な関係と貧しいなかで必死に生きる人々の姿があった。ゲットーに生まれ、大学を出て就職しながらギャング・リーダーとしてゲットーに戻って来たJTと、中流家庭出身で、怖いもの知らずの社会学者ヴェンカテッシュの間の不思議な友情を描いた話題の書。

感想・レビュー・書評

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  • 貧困地区には行政が入らず、独自ルールを作らざるを得ない。

  • これはヤバイ!!!!!!

    僕も大学では社会学を専攻していたのですが、こんなフィールドワークはありえない!

    ギャングの巣窟、麻薬と銃弾と売春が飛び交うコミュニティで生活を共にして調査するなんて!面白すぎる!

    学生諸君にはフィールドワークをやるならこれくらいのことをしなくちゃあかんよと言いたい!
    (僕には無理です。怖すぎる。がくぶる。)

    そして、本書は最高に面白い激ヤバな「社会学」であると同時に、貧困と差別という不遇の世界の中で、必死に生きようともがいていた一人のギャングスタJTの物語でもある。

  • シカゴ大学に通っていた社会学者の卵である著者は、シカゴのスラムでギャングのリーダーや売春婦、ホームレスなど知り合い、数年にわたり彼らのコミュニティに深く関わっていく。ある時は「ギャングリーダーの仕事」も経験する。(本書の原題は『Gang Leader for a Day(一日ギャングリーダー)』)

    著者の特殊な立場だからこそ見えるスラムの姿は、日本に住む僕の生活からすると、まるで空想の創作小説を読んでいるような感じだった。

    またスラムのコミュニティに深く関わっていく著者だが、根本の部分で、著者にとってスラムは「社会学者としての研究対象」だ。そこに生まれる著者の複雑な思いも本書の魅力だ。

  • 日本のフィールドワークやエスノグラフィの書籍としては紹介されることがなかったので、知らないままであった。米国の集合住宅を中心としたギャングのボスについていって観察したフィールドワークである。原題が一日ギャングリーダーで、一日署長ならず一日だけのギャングリーダーといって、この本の一日だけの話をタイトルにしたものである。アジア系のアメリカ人による博士論文のための参与観察であり、これと同様に黒人ギャングへの白人女性による参与観察の本もある。日本では、ヤクザへの参与観察をして博士論文にした本はなかなか見つけることができない。
     参与観察の参考にはなるであろう。

  • アメリカの特に治安が悪い地域のギャングを内側から見た社会学者の本。

    この本の描写を信じると、作者はあんまりよく分かっていない状態でギャングの縄張りに行って、地雷踏みまくってるけどよく無事でいたなと思う。
    現代ではどうなのかわからないけど、荒れたコミュニティの維持には暴力装置が必要だからギャングが機能している世界だった。

    いろんな国や時代で貧困が蔓延していると法ではなくコミュニティのルールが強くなるのだと思った

  • 『ヤバい社会学―― 一日だけのギャング・リーダー』
    原題:Gang Leader for a Day: A Rogue Sociologist Takes to the Streets(2008)
    著者:Sudhir Alladi Venkatesh(1966-) 社会学、アフリカ系アメリカ人研究。
    訳者:望月 衛(1964-)
    出版社:東洋経済新報社
    発売日:2009年1月16日
    ISBN:9784492222959
    版型:四六判 ソフトカバー
    頁数:416
    NDC:368.2 貧困

    ギャングの懐に飛び込んだ若き社会学者は何を見たのか? ヤクの売人、売春婦、警官、自治会長、役人たちとの付き合いを通じて、ギャングと住民たちとの複雑関係と生活を大胆に描く。
    https://str.toyokeizai.net/books/9784492222959/

    【簡易目次】
    第1章 貧しい黒人なのってどんな感じ?
    第2章 フェデラル・ストリート、はじめの一歩
    第3章 誰かがぼくを見守ってる
    第4章 一日だけのギャング・リーダー
    第5章 ベイリーさんのご近所
    第6章 シノギする人される人
    第7章 ブラック&ブルー
    第8章 いっしょにいようよギャング

  • 興味深く読んだ。

    ただJTが、そもそもどうして表の仕事を辞めたのか。
    差別、搾取構造を意識して終わらせなければ、続く。

  • シカゴのゲットー巨大公営住宅ロバート・テイラー・ホームズ栄枯盛衰の話。

    読み始めると止まらなくなるというのが、誇張じゃないなと思えるくらい、読み易いし、お話として面白かった。

  • マクロで見るのとミクロで見るのとは大違い。

    薬や売春の元締めをやっているJTというギャング
    とつるむ事になって知る事になる裏社会。だけどそこには優しさや緩さや思いやりもある何処にでもある世界のひとつなんだと知る。

    本当にnewsや情報はミクロの世界を教えてくれない。

    ロバートテイラーの住宅街にたむろする事で得られた複雑な事情、人間関係。社会全体を見渡した時、全体最適でしか物事を人は考えない。だが人間が人間として生きるならば部分最適でしかないのだ。

    ギャングのような悪徳警官がいて、悪い自分達を襲ってくる危険性があって救急車も来てくれない。上前を跳ねられようが取締りをしてくれる「悪い奴」に頼るしかない。それは他者にとって部分最適にうつるかもしれないが仕方のないことでもあるのかもしれない。

    そしてそんな暮らしをどんな暮らしをしていてもギャングであっても自分の事を知って欲しいそういう承認欲求もあるのだと感じた。

  • ギャングとつるむようになった社会学を学ぶ大学院生の話なんですけど、めちゃくちゃ面白かった…JTと筆者の、友人ではないけど繋がってはいる(こいつは俺の連れ)関係性はなんなのだろうな…人間だな…

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著者プロフィール

スディール・ヴェンカテッシュ
コロンビア大学社会学教授
コロンビア大学ウィリアム・B・ランスフォード寄付講座社会学教授。グローバル思考委員会のメンバーを務める。前著『ヤバい社会学』は『ニューヨーク・タイムズ』紙のベストセラーリスト入りし、『エコノミスト』紙のベスト・ブック・オブ・ザ・イヤーに選ばれている。『ニューヨーク・タイムズ』紙、『シカゴ・トリビューン』紙、『ワシントン・ポスト』紙などに寄稿多数。ニューヨーク市在住。

「2017年 『社会学者がニューヨークの地下経済に潜入してみた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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