- Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
- / ISBN・EAN: 9784492223017
作品紹介・あらすじ
草食系若者が急増する日本は大丈夫か!?「格差社会」「婚活」という言葉を世に出した社会学者が分析・検証する若者の「失われた20年」。
感想・レビュー・書評
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(2010/2/1読了)すげー明快!20世紀には「年功序列の正社員」は当たり前だったからこそ、「会社に縛られない自由な生き方」が憧れだったが、21世紀は逆に不安定雇用が当たり前になってきたので(←24歳以下の非正規雇用率は50%以上)、若者にとっては「安定した正社員」が憧れになり、それは一見”若者が保守化している”という事態を招いている、と。いやもう、そうそうそう、そうですなあ。
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雑誌の連載をまとめたものなので、タイトルの内容をずっと貫いているわけではない。一つ一つのトピックは参考になるし、筆者の主張は強く伝わってきて分かりやすい。
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社会
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図書館
挫折 -
言いたいことはわからなくはないが、現状の社会問題を羅列しただけという印象は否めず、社会的不安がどのように「保守化」というイデオロギーに繋がるかまでは論理的に解説できていない感を覚える。不安の揺り戻しから来る安定の追求という一般的な説だけでは、現状の国内状況を説明するには弱い。
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20年前の若者→活気があった←特段の努力なしでも正規社員になり結婚するという従来のルートをたどれていた(努力保証社会)
*今では従来のルートがたどれなくなる。
*現在の状況、一部の人間しかたどれない→個人が一人一人で対応しないといけない。
=従来のルート…新卒一括採用の弊害
少子化の要因=パラサイトと低収入
*非正規雇用・小規模自営業の問題点=努力しても報われる事がない、従来の既得権構造からはみ出し将来に希望が持てない(131頁)
* 熱心な先生に報いがあまりにない社会→インセンティブが欠如している。 -
題名は若者論のように見えながら社会構造が硬直的であることを指摘・警鐘を鳴らす家族社会学に止まらない政治学の本である。日本社会に限らず、少子化が世界的に進行しているが、その原因である若者のニート・フリーター化、独身パラサイト族の増加。それはかつてマスコミが持て囃していたものだという。結婚のための活動が必要になった「婚活」についての説明は提唱者であるだけに迫力がある。小泉改革の直後に書かれた本であるが、今でも新鮮である。小泉氏の既得権をぶっ壊すとの主張に熱狂した若者たち。決して格差拡大をしたわけではなく、それ以前からの傾向だったが、熱狂が冷めると、ますますその傾向が強まっていたというのはその通りだと思う。怒りのぶつけようのない2008年の一斉休漁デモとしてフランス・日本他世界の漁民たちの燃料高騰への抗議行動のことが出てくる!これは誰を訴えるものでもなく、悲劇でしかない。このようなやるせなさがいたるところで増えてきているように思う。
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雑誌連載のまとめなので同じことを何回も言っているのが少しくどく感じられた。しかし、若者の問題は若者の態度の問題ではなく制度の機能不全という考え方には賛成する。オランダの失業した若者が「政府を信頼していますから」と言ったというのは、日本で育った私にとっては驚くことである。読むほどに希望が持てる社会を作るのは難しそうだと思ってしまう(という感じ方も希望が持てない若者を体現しているかもしれない)
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草食系若者が急増する日本は大丈夫か?
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「パラサイト」や「婚活」という言葉を作り出した社会学者、山田昌弘さんの本。東洋経済のコラムをまとめたもので、最近よく「若者が保守化してる」と聞くけど、その背景と問題点を解説している。コラムだっただけに各トピックが独立していて読みやすかった。
社会学の先生たちがよく言う「批判的に読め」という言葉に従って読もうとしたけど、なるほどーとばっかり思ってしまう…強いていうとしたら、山田さんが別の著書でも繰り返し言っている「独身女性の理想の男性像は上がっている。それが未婚、晩婚、さらに少子化につながる。なのに政府はそれを隠しているし、そこを無視して少子化対策は成功しない」という内容。もちろん、自分の給与に自己実現を求めない結婚願望独身女性は、夫の収入に頼りながら、自分の趣味や子育てで自己実現したいんだし、社会が不安定だからこそ経済的な安定を求めるんだから、理想は上がるのは仕方ない。それに対して政府がどう対処すべきというのだろう?
海外の成功事例などを紹介しているものの、日本政府は増税ひとつでもてんやわんやなのに、ヨーロッパ並みの大幅な改革は望めないだろう。だからこそ、社会学者としてもう一押し社会への具体的提言がほしかった。 -
人口減社会を甘く見てはいけない。政府はもっと危機感を持って、有効な対策を打ち出すべきだと感じた。今の軟弱で信頼の欠けた政府には正直何も期待できないが…
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新卒主義、年功序列、転職市場の低流動性など若者の保守化はイカンとは言っても社会構造上日本の若者は保守化せざるをえないだろう、という思いは普段から思っていたのでこの本を読んでスッキリした。
結婚に関しても、非正規雇用者やフリーター、パートなどは若年層で顕著であり賃金の世代間格差が広がっている現状、若者の結婚がリスク化している感は否めない。結婚して生活レベルが下がるのならそりゃしないわけで。
けど閉塞感が高まっている社会でも、山田さんが言っているように努力が少しでも報われるような社会システムを目指さなければ希望を持てない若者が量産されてしまう。 -
週刊東洋経済のコラムの記事をまとめたもの、著者は、家族心理学(社会学)が専門で、パラサイトシングルなどの造語でも有名な人。
基本は連載記事なので、保守化するのかというよりも、連載時期(小泉郵政選挙~民主党政権誕生)の時の、施策と実際の状況のギャップを投げていることが多い。結局は、高度経済成長時代のモデルをどこかで維持してしまっているために、若者が夢をなくして生活することでしかできなくなってきている現状が描かれている。
何とかならないものかといろいろと考えますが、答えは出ておりません。 -
課題で出されたので読みました。
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婚活という言葉を産み出した社会学者。結論を出せない社会学の弱点は見えるものの指摘が的確。結局は保守化せざるを得ない社会環境になっているという点に納得。
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連載コラムを集めたので仕方がありませんが、書名が問いかけになっているだけに、全体を通して解答が用意されているのかと思いました。実際は・・・コラムでした。
内容は充実していたのですが、出版社の売らんがため・・・の書名は顰蹙かも・・。