移民の経済学

制作 : ベンジャミン・パウエル 
  • 東洋経済新報社
3.18
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本棚登録 : 193
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492314883

作品紹介・あらすじ

「移民が来ると国が貧しくなる?」「移民で治安が悪くなる?」

論争に決着!
データに基づいた決定版、ついに刊行!

アメリカや欧州などで繰り広げられている移民排斥論は根拠あるものなのか。
今いる不法移民には何をなすべきか。
国境開放化をどう考えるべきか。
移民にまつわる各分野の専門家が徹底分析。
日本にも多くの示唆を与える研究成果!

【本書「解説」より】
本書は、現在アメリカで論争の的になっている移民政策に対する警告の書である。これまで、移民のもたらす経済的効果さらに文化的、政治的効果については、膨大な研究成果が蓄積されてきた。それにもかかわらず、現在、メディア、議会および一般社会で行われている議論の多くは感情的なものであり、移民問題に関する学術的研究に基づいていない。こうした懸念から、これまでの膨大な研究成果をまとめて提示し、移民政策論議をより客観的かつ建設的なものに深めることを意図している。

感想・レビュー・書評

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  • 改正入管法が成立し、外国人労働者が増えることが予想されるが、移民の国と言われるアメリカでその影響について経済学的な視点から分析した書。結論から言えば、意外にも影響はあまりないというもの。日本についてそのまま当てはまるとは限らないが、予断を排して、冷静に判断するための予備知識には最適な書でないかと思う。

  • 今日は何の日?:12月18日 国際移民デー

  • 12月18日 国際移民デ―

  • この本は、一人の人が書いているのかと思ったら、結構いろいろな論者が各章を書いていて、賛否いろいろ混ざっている感じ。でも、基本的に皆移民の受け入れにはポジティブで、その論拠として、主に経済効果の大きさ、財政への影響が小さいと思われること(+でも-でも。)を挙げる。一部、同化のあり方も分析しており、最近は同化度が下がっているため、財政への影響はもしかしたらもう少し上がる(負の方に)かも、という示唆はある。
    基本原則は、高技能移民の受け入れ大推奨!というよく聞く論調なのだけれど、理論の話なので、その受け入れの拡大の仕方が、市場メカニズムに基づいたビザの発給(オークション的な)とか、全世界的な国境レス化でどうか、という話になっておりなかなか面白い。
    研究の基本はすべてアメリカなので、日本のような特殊世界ではもう少し注意も必要だけれど。

    ただし、政策のあるべき論と経済性を求める理論とはまた違う。

    最後に代表的な研究者の名前・所属と立場概要を書いてくれてたのは良かったな。

  • 現在移民は世界の総人口の3%にすぎない。移民の開放で50~150兆ドルの利益がある。
    生産要素の自由移動で比較優位の原理が活かされる。
    移民で、流出国も人的投資の促進がある。所得の還流がある。
    移民による賃金と雇用の減少効果は一時的。
    移民の労働は補完的。部分均衡モデルでは、移民によって賃金と雇用が減少。一般均衡的効果を考えるとそうともいえない。

    教育は混雑性供給財。
    不法移民は失業で国に帰るので生活保護を受ける機会は少ない。
    帰国すれば、公的年金に対しては純貢献になる。

    移民の子孫は大きなプラスの財政純貢献をする。第一世代は教育などの費用のために貢献が少ない。

    第二世代以降は同化し、文化的にも見分けがつかない。

    不況によって、メキシコからの流入は減っている。

    H2A=農業労働者で人数の制約がない、H2Bはその他の労働者で割当がある。

    移民の選抜は市場アプローチで=ビザを乳殺で売る。技能水準が高い人が入国する。
    ビザの価格で世界の評価がわかる。
    貧しい移民がっ差別されるという批判。

    不法移民対策。1000万人以上の不法移民の存在。
    既に人的資本の重要な一翼を担う。
    子供がいる場合、その扱いにこまる。
    不法移民を追放した場合、経済活動が需要側としても停滞する可能性がある。

    入国税アプローチ=いくらと決めるのか。
    カナダのポイント制度と同じ。行政が決めるのは効率が悪い。

    高技能移民は一般に歓迎されるが、大学卒も就職難になっている。

    同化は選択肢ではなく必要なことがら。生活の規範は同化すること。同化が進まないと社会が文化によって分断される。

    日本にいる移民は日本人より法律を尊守している。

    実証データが少ないため移民のプラスマイナスを図ることはできない。

    完全な自由ができないとしても、上限は大きく引き上げて、人選は市場に任せるべき。
    社会厚生関数のなかの何を重視するかによって、移民の賛否が決まる。
    所得の総額をどのように分配するか。社会制度を壊さないか。

  • 東2法経図・開架 334.4A/P87i//K

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著者プロフィール

早稲田大学教授

「2013年 『入門・経済学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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