アフターバブル: 近代資本主義は延命できるか

著者 :
  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492396537

作品紹介・あらすじ

最後の巨大バブル崩壊後の世界は、
未曾有の恐慌か、資本主義の終わりか? 

『ネット株の心理学』『リフレはヤバい』などのベストセラーを著した、
異能の経済学者による衝撃の未来予測

●すでに膨らみ始めたコロナショックバブル
●ゼロリスク志向が財政破綻を加速させる
●日銀は「新次元の金融政策」に踏み切るべき
●新たなバブルをつくり出せない「本当の危機」
●不要不急の消費による「成長モデル」の限界

東洋経済オンラインの人気著者による書き下ろし、緊急出版!

感想・レビュー・書評

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  • 【遠い未来を】
    この手の本は時が経つと読まれなくなります。
    時が経ち真実が現れるからです。

    誰もわからない未来を予言するのであれば、4、5年で判明する未来ではなく、100年ぐらいの遠い未来がいいです。そこまで当たりかハズレかが断定されないからです。

  • バブルを定義し、解説している。最近では1番よかった。

  • バブルとアフターバブルの繰り返しが経済の本質。
    バブルとは、外部の力で膨らませたもの。
    流動化、外部、フロンティア、の3つが資本主義の発展に必要なもの。
    コロナは、一時的なものだが、財政出動した分はのちのちバブルになる。

    イラクの国家予算は1バレル80ドルで組まれている。ロシアは40ドル以下では財政破綻になる。シェールオイル業者は40ドルを割ると採算割れ、70ドルを超えると参入が増える。
    ダイヤモンドとゴールドは、旧ソ連、南アフリカで産出される。南アフリカのデビアス社が流通の9割を押さえて、価格を維持している。
    世界的には、金の埋蔵量は多く、希少性は少ない。希少なものは持てないのでバブルにならない。金は何かのショックで下がり始めると、とことん下がる可能性がある。

    不要不急は、単に不要なもののある。海外旅行、夜の街などは大方の人にとっては不要。
    コロナ以前は観光バブルだった。需要は元には戻らない。

    日銀は量ではなく金利をターゲットにすべき。
    インフレ期待は起こらなかった。期待に働きかけることはできない。インフレは起こせない。
    金利とリスクプレミアムの低下、を目標にするべき。

    コロナリスクは収まらない。不安自体は消えない。
    リスクはゼロにはならないことを認識するべき。
    微小確率に対しては、非合理的な行動をとる=がん保険や宝くじを買う理由。
    PCR検査を全員やらなくていいのは、日本が千税関旋律が0.5%以下だから。

    県の緊急事態宣言は知事の選挙活動。
    経済と命を比較すると思考停止になる。比べられないものを比べてはいけない。日本は思考停止社会。

    これからはいやおうなく中国が覇権を握ることになる。アメリカ一辺倒ではまずいのでは。

    資産市場でコロナバブルが始まった。
    人々の心理と国際的な移動は元に戻らない=航空需要は減ったまま。短期的には、ペントアップディマンドという自宅待機需要が出てくるが、一回りしたら終わり。
    今や海外出張は一つのステイタス。非効率であることがわかった。
    娯楽は必要だが、海外旅行は不要不急。滞在型の旅行が増える=それに耐えられる観光地だけが残る。
    消費も不要不急はなくなる。

    市場経済でも、急には方向転換できない。急にマスクは作れない。
    人間は、論理的ではなく衝動的、長期よりも短気を優先する。経済理論ではそうなっていない。
    需要がなければ売れない。
    『恋愛と贅沢と資本主義』

    コロナは収束し、財政出動によるバブルになる。しかし長期的には停滞が続く。流動化、外部、フロンティアがないから。
    中国が中心になる、ということは近代資本主義の終焉ではないか。

  • 2020/09/29 小幡績 アフターバブル☆☆☆
    資本主義のダイナミズムの本質は「バブル」
    商品バブル 石油・金・ダイヤモンド・資源開発
    資産バブル 不動産・フロンティア
    金融バブル 債券・株 実物経済に対する資産経済
    株は究極のバブル 未来の夢をお金にする
    イノベーションという名のバブル
    これらバブルのガソリンが「金融緩和」「財政拡張」
    そして究極は「戦争」

    戦後、裏付け資産のない「管理通貨制度」「米ドル覇権体制」が確立したが
    米国経済の衰退とともに、「帝国主義的な搾取体制」が強まっている
    ITとGAFAのフィクションで「ドル覇権体制」を堅持しているが
    ドルのバランスシートが巨大化するにつれドルの信認を低下させる矛盾
    それが世界の行方を不透明にしている

    そこへ「コロナショック」
    世界が金融・財政総出動という「戦時体制」に似た非常時体制は
    むしろ現在の体制の終わりを早めるというのが本書の見立て
    とりわけ日本は財政破綻リスクが高く、今回致命傷となるという
    しかし日本単独の問題ではなく、「世界の米ドル本位制」と共に
    運命を共にするという見立てが正しいのではないか?

  • アフターバブルについて経済的視点での論述が述べられるのかと思っていましたが、途中から筆者のコラムかなと感じる軽い文章が入りました。
    勝手に少し違う論理展開を期待してしまっていたので星3にしましたが、読み物としては面白かったです。

  • 弱い人の気持ちを最優先しないといけない、被害者の心に寄り添う、という名の下に、非合理な弱者、被害者の過大な要求を社会としてすべて受け入れなければならない。合理的な説得も許されず、非合理な被害者の声を、そのまま受け入れることを強要される同調圧力が支配する状況…社会全体の圧力で合理性がすべて抹殺される社会になっている。

  • K図書館
    ・バブルとは常にバブルとアフターバブルである
    ・バブル→バブル→崩壊→救済のためのバブルの繰り返し
    ・バブルとは外部の力で膨らませたもの、私独自のバブルの定義だがバブルの本質だ
    ・バブル経済の特徴は、流動性、外部、フロンティアの3つ
    ・バブルの3つの循環
    長期:ローマ帝国でピーク、中世で安定、近代資本主義がバブル拡大
    中期:20世紀に入ってバブル始まり大恐慌で崩壊
    短期:バブルと呼ばれてるもの、ITやリーマン

    217 経済とは面白い
    短期的、部分的には極めてパワフルな原理で、短期的に的率な方向に人々を動かす、社会を動かす
    一方長期的には、全体的に必ずしも正しい方向に人々や社会を動かさない
    225経済は無駄で成り立っている
    227アダムスミス以来、経済学が300年に渡って効率的だと言われてきた
    市場経済は危機に対して即応できないのだ

  • バブルがはじけ、あとにはバブルなし。日本の財政は破綻するとの警鐘を鳴らす本。理論やファクトや論文の引用が豊富な本を期待していたので、期待外れ。著者のコラムが好きな人にはファンブックとしておすすめ。少し、文章がくどい。

  • 2021/08/27:読了
     財政は破綻する。
     バブル経済から自給自足循環経済になる。

     と筆者は、かなり見通しが暗いことを書いている。
     自給自足循環経済だった江戸時代が暗い時代だったか
     と言えば、そうではなかったと考えている。

     日本が、日本のための政策がとれるようになれば、
     景色は変わると思う。そのための準備はすでに
     始まっていると思う。

     P226~
     コロナのマスク不足

     なぜつくらなかったのか。
     儲からないからである。
     効率的だと言ってきた市場経済は危機に即応できない
     第一に、必需品は儲からない。
         ムダに嗜好的な部分を付加し価値をつける。 
     第二に、資源配分の誤りに気づいても修正できない
         儲からないためマスク生産に舵を切れない
     第三に、社会として適切な意志決定ができない
         医療機関の分担をどうするかをできなかった
     第四に、必要な情報が手に入らない。
         メディア、SNSなどに情報はあふれたが
         必要な情報が判断できなかった

    中国のみマスクの増産ができたのは、市場経済でなかったため。

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著者プロフィール

小幡 績(オバタ セキ)
慶應義塾大学准教授
1967年生まれ。1992年東京大学経済学部卒業後、大蔵省(現財務省)入省、1999年退職。2000年IMFサマーインターン。2001年~03年一橋大学経済研究所専任講師。2001年ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)。2003年より慶應義塾大学大学院経営管理研究科(慶應義塾大学ビジネス・スクール)准教授。専門は行動ファイナンス。2010年~14年まで年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)運用委員。主な著書に『ネット株の心理学』(毎日コミュニケーションズ)、『リフレはヤバい』(ディスカヴァー携書)、『すべての経済はバブルに通じる』(光文社新書)、『成長戦略のまやかし』(PHP新書)、『ハイブリッド・バブル』(ダイヤモンド社)、『GPIF 世界最大の機関投資家』(東洋経済新報社)がある。


「2020年 『アフターバブル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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