福澤諭吉に学ぶ 思考の技術

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  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492556863

作品紹介・あらすじ

なぜ、むだに長い会議が続くのか。なぜ、いつも議論が空回りするのか。その答えは、『文明論之概略』『学問のすゝめ』にあった。

感想・レビュー・書評

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  • 『学問のすすめ』『文明論之概略』のなかで、
    議論を行ううえでに重要になるキーワード、教えを取り上げて、それを解説する。
    たとえば、議論の本位、惑溺、臆断などがある。
    そして、今の世の中で行われた討論や論争にあてはめてみて、おかしいところやこうあるべき、というようなものを提示する。
    非常に分かりやすく書かれていて、読んでて楽しい。

  • ものの見方を学ぶことができた。

    特になるほどね〜と思ったこと。

    「一層高尚な視点から軽重を判断する。」
    「利害が絡むと議論は混乱しがちである。」

    確かに、議題から話がそれる場合、自分や他人の利害を絡めて話していることが多いと思う。しかもその利害を曖昧にして。ちゃんと利害関係をはっきりさせて話さないと先には進まないよね。

    他にもなるほどと思うことがあったから、また読もう。

  • 福澤諭吉の「学問のすすめ」「文明論之概略」から学んだ思考の技術(議論進め方)を解説。会議は往々にして時間ばかり浪費するが、それを避けるためには、①議論の本位を定めること②一層高尚な視点から判断すること③惑溺、臆断を禁止すること④欠点主義、限界主義、極端主義を戒めること⑤多事争論、スピーチの進めが大切な点ということです。

  • (思いのほかっていうと失礼かもしれませんが)よかったです!!!

    そして議論を上手く進めるコツ、ノウハウをあの当時見抜いていた福澤諭吉は改めてすごいなと痛感しました。

    ■よかった点
    □例がよい。
    出版当時に問題になった相撲選手の賭博問題、夫婦のけんかのきっかけ、夫婦別姓…
    □章立て構成がわかりやすい
    □各章にまとめが書かれている(次の章では~と次の展開も記載されている)ので負担が少ない

    ■なるほど、明日から取り入れたいこと
    第1章.議論の本位を定める
    生活や会議では本位を定めずに銀論している人がお互いの議論の本位が違うことに気づかずに議論するから発散や誤解で終わる
    →天声人語は良文とは本当?序文は程々にして、「以心伝心」と思わずに自分の本位を明らかにすることが大事。

    第2章.一層高尚な視点から軽重を判断する
    第3章.我が心を持って他人の身を制するべからず
    →利害や思惑(お節介で他人の自由を奪うものではないかどうか?)に偏ると、議論が収拾しずらい。高尚な視点から見るべき。
    (会社内の部署間で揉めたら社訓に立ち返る…など)

  • 福沢諭吉はクリティカルシンキングを実践していこうという主張があったことが勉強となった。
    このような日本人の日本語で書かれた著書を読まず、やたらと流行のビジネス翻訳本を読んできた自分を反省。
    明治時代のベストセラーであるが、現代でも十分通用すると思われる。ベストセラーにした明治時代の民衆の向学心にも驚く。
    古典として学ぶ必要あり。今後福沢諭吉を読もうと思う。


    ①議論の本位は比較から始まる。
    ②利害得失が関わる議論はどの立場の議論か明確にする。
    ③有益な結論を導くため、利害得失を超えた「一層高尚な視点」を導入して判断する。
    ④溺惑をしない
    ⑤憶断をしない
    ⑥学問とは何を疑い、信ずるかの取捨選択の目を持つために存在する。
    ⑦多事総論の重視
    ⑧学問の要は活用にある。活用のない学問は無学に等しい。

  • 「学問のすゝめ」「文明論之概略」から、思考や議論の手法を解説し学ぼうとするもの。「議論の本位を定める」「高尚な視点から軽重を判断する」「惑溺するなかれ」「憶断するなかれ」「多事争論のすすめ」などを大相撲野球賭博問題における責任のとりかたや夫婦別姓、規制緩和など、現代の事例を引っ張りだして説明されているので理解納得しやすい。特に「人間万事試験の世の中」という福澤の言葉があるが、これは、世の中分からないことだらけなので、旧習を有り難がって墨守するのではなく、新たな試みをせよ、ということでまさに起業家精神だと思う。著者の岩田先生は大学時代に必修科目を教えていただいていた。おなつかしゅうございます。

  • 本書を読む前に、文明論之概略と学問のすすめ、を読もう。

  • 臆断は今の世の中だと思料。

  • 利害得失に関わるときにはどう議論すべてきか。

    そしてそれを越える『一層高尚な視点』からの議論とは。

    議論においての思考の技術を、著者が最近起こったニュースを用いて解りやすく教えています。

    本文より一部抜粋
    『学問とは取捨選択の目を持つために存在する。』

  • 近代日本における最高の啓蒙思想家である福澤諭吉の『学問のすゝめ』『文明論之概略』および丸山真男による福沢解釈を援用しつつ、議論はこうなされねばならないという「思考の技術」のエッセンスを論じたもの。

    福澤諭吉の著作を読んだことのない読者も、本書を通じて140年前の福澤の議論が現代においても十分通用する新鮮さをもっていることに驚くことであろう(逆に140年も前に指摘されていることが、いまだ克服されていないことにがっかりするかもしれない)。丸山の『「文明論之概略」を読む 上・中・下』を、読み通すのにしんどいという人は、この岩田本から入るのが良いかもしれない。こちらも大学生には是非読んで欲しい一書である。

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著者プロフィール

学習院大学経済学部教授。金融論、経済政策専攻。主な著書に『金融入門』『経済学を学ぶ』『金融危機の経済学』など。

「2010年 『初歩から学ぶ金融の仕組み』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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