キャリア開発と人事戦略

制作 : 奥林 康司  平野 光俊 
  • 中央経済グループパブリッシング
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784502374302

感想・レビュー・書評

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  • 経営環境の変化を受けて、企業は従業員に「雇用の保障」ではなく、「エンプロイヤビリティの保障」を提供するという考え方が広く言われ、それに伴い人事施策も「企業主導の一律的な人事制度」から、従業員の自主性と自律を前提とした「自主選択重視の人事制度」が指向されてきており、キャリアに対する関心が個人・企業ともに高くなってきていると言われている。
    しかし、組織内キャリア開発において、「自律型のキャリア形成とは現実的にどのようなものを意味するのか」についての議論は少なく、抽象的な概念で啓蒙したり、人事制度の導入や改定を行なっているケースが多い。

    上記は、本書中からの引用であるが、強く同意する。「キャリア開発」に関する、色々な会社の制度事例を見ることは多いが、例えば、単発の公募人事制度を「キャリア開発施策」と呼んでいるケースも多く、トータルの仕組みとして感心するものを見た記憶はない。

    本書はキャリアに関する研究論文を集めたものである。学問的な研究は、調査の範囲をクリアに限定するものなので、上記のような「自律的キャリア開発って何?」という疑問に直接答えてくれるものではないが、それでも一つ一つの論文から得る示唆は大きなものがあった。

    もう一つ、私自身がキャリア開発について少し誤解していたことがあったように思う。キャリア開発とは、将来のキャリアの希望を考え、それを実現する、あるいは、実現させてあげる支援をすることが中心課題と考えていたが、それは話の半分以下のことであり、新しいキャリアの中で、あるいは、今のキャリアの中で、更にはキャリアトータルとして、どうやってうまくやっていくのか、活躍するのか、成長するのかが、中心課題であることに気がついた。

  • やや古い本だが様々な業界を事例として様々な人事施策がキャリア発達にどのように影響するかを仮説検証しようとしたもの。
    やや手を広げすぎているせいか、代表的な人事関係理論をほぼそのまま仮説設定しているせいか、一つ一つのテーマの掘り下げ方や結論が浅いが、仮説の立て方や質問紙の作り方、検証の仕方は調査設計の参考になると思われる。(和田)

  • 自主・自律のキャリアを形成している人材は、自らの節目を認識し、それを意味付けたうえで、今後のキャリア形成を主体的に展望する。このような人材は自らのキャリアにコミットし、主体的に開発していく結果、聖かを発揮し組織からも評価されるのではないか。つまり、自主・自律のキャリア形成はキャリア結果の1つである昇格に影響すると考えられる。
    自主・自律のキャリアを形成している人は、会社が用意する自己選択を重視する人事制度を主体的に活用できるため、その校程度が高いと考えられる。
    キャリア目標を持てない個人が、節目をデザインできるであろうか。キャリア目標のない個人は、どちらのキャリアを選んでも、その人にとっては特に大差のないことかもしれない。そんな個人に、節目を認識することはできるはずもなく、仮にできたとしても、節目という四辻で自分がどちらに進むかを判断することは不可能。
    組織がどのようなキャリア支援を行ったとしても、それを活かすのは個人である。自分の人生は自分のものであり、その人生の一部である仕事生活におけるキャリアも自分のものである。自分のキャリアの問題は明日になっても誰も解決してくれないのである。自分のキャリアに責任を持ち、問題があれば徹底的に考え抜くことが重要である。そうして導き出した解決策に積極的に関与すれば、新たな自分が生まれるはずである。

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