ウェルビーイング

  • 日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532114480

作品紹介・あらすじ

 新型コロナウィルスの大流行によって、人々はこれまで積み上げてきた価値観や消費行動、思考に抜本的な見直しを迫れています。既存の枠組みによる経済成長だけでは推し量ることができないウエルビーイング(well-being)な社会の実現が、日本にとどまらず国際社会全体の喫緊の課題になっています。

 ウェルビーイングとは、ひとが身体的・精神的・社会的に“良好な状態”であることを指す概念。それは昇進や結婚などのイベントによって一時的に得られる幸せや、あるいは日本国憲法でいう「健康で文化的な最低限度の生活」ができていることを指すのではありません。人生の満足度だけでなく、幸せを生み出している複合的な要素を組み合わせ、一時の感情に左右されない「持続的幸福度(Flourish)」を指標にしていこうと考え出されたものなのです。
 そのなかで日本は、客観的なウエルビーイングの指標の一つであるGDPは右肩上がりに上昇し、世界第3位を堅持していますが、国連の発表する世界幸福度ランキングでは156国中62位と、世界各国と比較しても客観的地位と主観的地位の差が目立ちます。
 オランダの資産運用会社ロベコのハッセルCEOは、投資の3要素を「リスク、リターン、そしてウェルビーイング(社会的な幸福)だ」と指摘しています。新しい資本主義では、ウエルビーイングの達成も目的となっているのです。

 本書は、このように取り組みが必要とされているにもかかわらずイメージがつかみにくいウェルビーイングについて、働く人、部下を持つ人、経営者に向けて平易に解説するもの。ウエルビーイング研究の第一人者とコンサルティングのプロによる共著です。

感想・レビュー・書評

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  • 心の健康
    これからの社会は個人(達人)の才能を発揮する社会になる、と感じる。所謂、「専門家」が専門の事を議論し、改善し、改革していく社会のこと。特に「メンタル」を重視した社会構造が最も相応しい人間社会を求めていくのかと感じた。だが、日本の場合、伝統的な慣習、年配・上司への尊敬・尊厳、さらに既得権など頑なに守ろうとする社会で個人の才能を伸ばすのり代があるかどうかである。「幸福度」が伸びないのはそこにもある。

  •  「幸福学」の第一人者・前野隆司教授が、ウェルビーイングの基礎知識について書き下ろした著書。
     ウェルビーイングは、身体的、精神的、社会的に、良好な(well)状態(being)を指し、感情としての幸せを表すhapinessを包含する、広義の健康の幅広い概念という。
     SDGsの17の目標の3番目は「すべての人に健康と福祉を」と訳されているが、原文は「Good Health and Well-Being」となっていることから、ウェルビーイングは今や世界的な潮流と言える。
     ウェルビーイングに関しては様々な研究がされているが、前野氏が提唱する「4つの因子」論は、それらの共通する部分をシンプルに集大成したもの。迷ったとき、落ち込んだときに、「やってみよう」「ありがとう」「なんとかなる」「ありのままに」の4つのマジックワードを唱えて行動すれば道は開ける。本書を読んでそう感じた。

  • GDPの成長で国の発展を測る時代は終わりに近づき、これからは他者を蹴落とす競争の社会から、他者と協調し自分らしい幸せを探すウェルビーイングの社会へと変化していく。
    国や社会のあり方を考える上で、価値観のアップデートの第一歩に。

  • この書籍は、前野隆司氏と前野マドカ氏による著作で、日本のウェルビーイングについて考察した内容が含まれています。この書籍についての感想は、読者によって異なるかと思いますが、一般的には、日本のウェルビーイングについて考える上で、非常に参考になる書籍であると評価されています。

  • 固有名詞や概念、用語など、我ら一般の読者には情報量が多すぎる。消化不良だ。

  • 入門書としての総論が展開された内容で、深く掘り下げた核論に乏しかった。

  • 聞き慣れない言葉を知りたくて手に取りました。
    ウェルビーイングとは心と体と社会のよい状態のこと。そして、「目的の追求」と「強みの明確化」をすると人は幸せになるとのこと。
    確かに、やらされ仕事はつまらないし、強みを明確化すると「やってみよう」「なんとかなる」「ありのままに」という幸せ因子も発揮しやすくなる。これだけは負けないとポジティブになれるし、チャレンジ精神にもつながる。なるほど!と思いました。
    また、エンゲージメントは「社員には会社を気に入って働いてほしい」という企業目線の考え方に対し、ウェルビーイングは「そもそも人間は幸せに生きるべき」という人類目線だと学びました。

  • 幸せの四つの因子
    やってみよう、ありがとう、なんとかなる、ありのままに

  • 薄いが熱い

    近年の人的資本経営ブームからウェルビーイングという言葉もあちこちのIR、経営方針で目にするようになった。新しい言葉では往々にしてあることだが、ウェルビーイングも使用する人や場面によって意味することが随分違っている。特に経営に関しては、仕事へのモチベーション、会社へのエンゲージメント(これも格好良く言っているが大抵の場合は愛社精神の意で使われているようだ)、多様性、心身の健康、心理的安全性など組織風土など、およそ職場環境に関する問題のすべてがこの言葉に置き換えられているようだ。

    本書は、それくらい幅広く便利なウェルビーイングの入門書である。前半は、ウェルビーイングに関する国際的な研究動向、国内のウェルビーイング取組み事例など、ウェルビーイングに少しでも関連することは全部取り上げる。兎に角世の中ウェルビーイングだ、という薄〜い内容。幸せを感じているの社員はパフォーマンスも高い、数値目標をなくして業績が高い企業など、因果関係と相関関係がごちゃごちゃな雑な議論で、兎に角ウェルビーイングの時代だ!という主張…

    終盤までこういうのが続いて、個人的には辛い内容だったが、測定や設計論のあたりから急に面白い。薄い本なので中身は何もないが、少なくともウェルビーイングについてちゃんと考える方法があることは理解できた。著者はもともと工学系の研究者なので、本当はこのあたりもちゃん語れるのだろうが、入門書ということで本書の構成になったのだろう。

    それくらい間口を広げて著者は何がしたかったのか?あとがき「終わりに」の章にその熱い想いが語られている。前半を飛ばしてでも、これは読むべき。

  • ウェルビーイング、幸せに関する現代研究の紹介と言う内容。辞書的に使うのが良いか。

    残念な点は仏教との比較など歴史的な考察が甘いと感じてしまう。

    2600年前に仏陀さんはもう幸せになる方法を説かれている。そこを考察されていないと、日本人としては納得感が足りないのではないかと、、、

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著者プロフィール

慶應義塾大学SDM研究科教授・ウェルビーイングリサーチセンター長、一般社団法人ウェルビーイングデザイン代表理事。1962年山口県生まれ東京工業大学理工学研究科機械工学専攻修士課程修了、キヤノン入社。カリフォルニア大学バークレー校Visiting Industrial Fellow、慶應義塾大学理工学部専任講師、同助教授、同教授を経て2008年より現職。『幸せのメカニズム―実践・幸福学入門』(講談社現代新書)、『幸せな職場の経営学』(小学館)、『ウェルビーイング』(前野マドカ氏との共著・日経文庫)など書著多数。

「2023年 『実践!ウェルビーイング診断』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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