帝国の興亡 上

  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (397ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532164324

作品紹介・あらすじ

グローバル化の進展とともに注目を集める「帝国」。帝国とは、どう理解すべきものなのか。帝国の本質、パワー、ジレンマを、壮大な時間・空間のスケールと細密な叙述で描き出した比較歴史学の金字塔。上巻では、帝国の概念を問い直し、ローマ帝国、中華帝国を比較。さらに、大英帝国、オスマン帝国、ハプスブルク帝国の興亡を描く。

感想・レビュー・書評

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  • 正直読みにくい。翻訳のせいだろうか。まったく内容が頭に入ってこない。仕様がないので、流し読みした。内容としては世界史に登場したいくつかの帝国をロシア帝国と比較していくというもの。いろいろ書いてあるが、焦点がどこで決め手がどこにあるのかいまいちわからなかった。

  •  帝国史に関する概説、通史書。ちなみに著者のドミニク・リーベンは親日家、日本人妻を持ち、日本に家もある。東大で教鞭に立った事もあるが、彼の兄は『チェチェン戦争』など有名な著作を持つ現代ロシア研究家。兄がロシア、欧州、米国など現代国際関係を基軸に論じているのに対し、弟の彼はロシア史を専門とする。
     本書では、帝国を明確に定義付ける事よりも帝国と言われる国家の変遷を通して帝国を考えるというもの。彼の帝国の定義は、他の論者と大体同じだが(広大な領土、侵略による領土獲得:拡張性、多民族国家、非民主的政体:中央集権的政体・・・)。だが、彼は帝国の中心概念に宗教や文化、価値などを置く。文化、価値は主観的判断によってそれが高度であるか魅力的であるが判断されるという現代的な考え方からすれば、違和感を感じるが、歴史的には高度な文化や価値はより明瞭なものである(例えば、帝国が侵略し、当該地域を獲得する事は同地の反映と安定、発展を意味したという)歴史的事実とあげたりしているように思う。なお、こうした価値判断は必ずしも現代では意味を持たないのではなく、彼の母国イギリスにおける「リベラルな帝国主義」議論などはそうだろう。アメリカの「デモクラシーの帝国」もそうかもしれない。
     さて、本書は帝国の通史書なので大部分がつまらない。無味乾燥な内容である事は否定できない。国際関係の歴史をある程度治めたものには、「だから?」と著者に疑問を投げかけたくなる。しかし、例えば大英帝国の帝国主義の構成要素を領土、金融、イデオロギーとし、領土はその重要性を時期に応じて変化させたというのは、当たり前の主張かもしれないが示唆的だ。つまり、領土は「従物は主物に従う」という原則に基づき、資源、人口、戦略的意義など、領土そのものの物質的意義よりも付随的意義に着目し、獲得されていたという事実を再確認させる。つまり、帝国の領土的拡張性とは、広大な領土を常に拡張する意味で境界線が不確かであるという意味だけではなく、その領土の意義が変化を遂げれば領土の廃棄や支配形態の変化(ドイル)がなされるという意味でも境界線が不確かなのである。翻って見れば、帝国は領土の拡張性のみ、持つわけではなく、場合によっては縮小もあり得る。この場合、多くの分析では帝国の衰退と議論が直結するが、そうではなく、その戦略的意義など領土の従属物の価値が低下する事でそれが破棄されることも十分に考えられるのである。

  • 政治・経済情勢からだけではなく、地政学にも重心を置いて帝国と近代勢力を考察。

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