リスク 下: 神々への反逆

  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532190804

作品紹介・あらすじ

古代ギリシャから筆を起こし、パチョーリ、パスカルらのパズル解明、確率論の発見、ルネッサンス・宗教改革による思想の自由化、保険の仕組みの考案など、数千年におよぶリスク探求の営みがここに蘇る!全米の知識人・書評子に絶賛された現代人必読の名著。

感想・レビュー・書評

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  • いやー、読みにくかった。プロスペクト理論もデリバティブについてもある程度知識はあるのはずなのだが、それでも非常に読みにくて、これって翻訳のせいがあるんじゃないの? mental accountingを精神的会計って、それだけでいみが通るか? 普遍性の失敗って何? 訳者の後書きを見るとあのLTCM 破綻から2ヶ月前。この当時のやたら高尚ぶりの難解訳? それと果たして当時の日本の金融政策やら金融メディアみてもはたしてブッラク=ショールズ公式やオプションや行動経済学についてどれだけ理解があったか疑問。
    もう半世紀以上前の本で多くが更新されているものの、興味つきないテーマで、できれば全面改訂の翻訳があれば読みたい。ということで翻訳の拙さ読みにくさで☆はマイナス2。

  • この原理に関する有益な例は刑事裁判に見られる。今日の法制度の下では刑事被告側は無罪を証明する必要はない。無罪判決などというものは存在しない。そうではなく、確定されるべきは被告が有罪であるという仮説であり、検察当局側の仕事は、有罪仮説を棄却しないように陪審員を説得することである。被告側の目標は単に仮説の棄却を正当化するに十分な疑惑が訴追案件を取り巻いていると陪審員を納得させるだけである。陪審員より出される判決は「有罪(ギルティ)」もしくは「非有罪(ノット・ギルティ)」となっているのはこのためである 。(p.63)

    算術平均に関してはこれを非常に不適切な公理であるとし、さらに散々に莫迦にしている。一連の観察結果を足し合わせたものを観察総数で割るのではなく、同等の様々な過程が同等の評価を受けるためには、推定値が加算ではなく掛け合わされねばならない」。算術平均は簡単に使えることを認めてはいるものの、ケインズは、「自然が分析対象としてどんなどんなに厄介な代物であっても、人間は労を惜しむべきではない」と指摘したフランス人数学者の言を引用している。(p.93)

    どれほどの情報があれば十分で、どこまで行くと過多であるかを認識するのは困難である。そして、非常に劇的な要素を持つ確率の低い事象に過度に注目し、日常茶飯に起きる事象を見逃してしまう。コストと埋め合わせられない損失が、富に及ぼす影響は同一であるにもかかわらず、それらを別々に扱う。我々はリスク管理の方法に関する純粋に合理的な意思決定から始めるには始めるが、やがては単なる幸運の成り行きかもしれないことを手がかりに推測を行ってしまう。その結果として我々は「平均への回帰」を忘れ去り現場に留まったまま、結局は厄介な事態に陥ってしまう。(p.167)

  • 上巻のレビューを参照してください。

  • 『ブラック・スワン』も凄い本だったが、こちらも凄い本だった。

    上巻では、人類がどう確率やリスクという考え方を発見してきたか、ということが中心であったが、下巻では、それを金融にどう活かしてきたか、という歴史が語られる。

    未来は過去の延長ではない、という考えは、両方の本に共通していると感じた。

    改めて読み返したい本である。
    再読の際は、章ー人名−その人の発見、で整理しようと思う。

    分冊は不便なので、ハードカバーを探すかもしれない。

    [more]
    (目次)
    【上巻】
    1200年以前 始まり

    第1章 ギリシャの風とサイコロの役割
    第2章 ?、?、?と同じくらい簡単

    1200〜1700年 数々の注目すべき事実

    第3章 ルネッサンスの賭博師
    第4章 フレンチ・コネクション
    第5章 驚くべき人物の驚くべき考え

    1700〜1900年 限りなき計測

    第6章 人間の本質についての考察
    第7章 事実上の確実性を求めて
    第8章 非合理の超法則
    第9章 壊れた脳を持つ男

    【下巻】
    第10章 サヤエンドウと危険
    第11章 至福の構造

    1900〜1960年 曖昧性の塊りと正確性の追求

    第12章 無知についての尺度
    第13章 根本的に異なる概念
    第14章 カロリー以外はすべて計測した男
    第15章 とある株式仲買人の不思議なケース

    未来へ 不確実性の探求

    第16章 不変性の失敗
    第17章 理論自警団
    第18章 別の賭けの素晴らしい仕組み
    第19章 野生の待ち伏せ

  • 「リスク」について過不足なく語ったというよりは、確率の理論構築とその運用をめぐる歴史を豊富なエピソードを交えて語った本。読み物としては確かに面白いが、題名のつけ方には疑問を感じる。

  • 面白かった

  • 下巻は18世紀以降の取り組みを紹介。18〜19世紀のリスク管理はとにかく全数計測。計測数が多ければ正確性が増すということでそのための努力が続けられた。PCがない時代に大変なことだっただろう。ここから次の段階として正確性が追求された。もし、世の中の全てが計測できたなら、未来を正確に予測できるという考えが生まれたのも納得。その後20世紀に入ってからは、全てを把握することはできないことから不確実生をどくれくらい見込むかという考え方にシフトしていく。人間が知り得ないことが少なからずあるということを認識し、前提とすることは、科学の発展段階と同じ。

  • 上巻にまとめてレビュー記載
    http://booklog.jp/users/ttskch/archives/1/4532190797

  • 近代経済を知りたい、今投資などを行っている人はこの下巻を読めば新たな発見があると思う。

  • 下巻では主に経済学、行動ファイナンス観点から、意思決定的な意味でのリスクに対する考え方、エピソードが述べられている。個人的に興味深いと思ったのは、第16章における、利潤に対する意思決定と、損失に関する意思決定が非対称的に行われるという発見である。人間は、ある状況においてはリスク回避的に考え、またある状況においてはリスク愛好家となる。これは人間の損失回避的な考えに由来しており、この考え方が意思決定に非対称性を及ぼすという実証結果が示されている。こういった人間の脳の思考の癖を探ることによって、ある場面で理性的でない投資家の行動を考察した事例を紹介しており、行動ファイナンスの知識を養うことができた点で有意義だった。

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