伸びる子どもは○○がすごい (日経プレミアシリーズ)

著者 :
  • 日本経済新聞出版
3.46
  • (26)
  • (91)
  • (79)
  • (25)
  • (7)
本棚登録 : 996
感想 : 108
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532264123

作品紹介・あらすじ

●仕事に不適応な新人社員
 注意されるとすぐに落ち込んでしまう新人。場合によっては翌日から仕事に来られなくなるケースも。一方で、注意に反発し、仕事の改善が見られないケースなども発生。どうやって接すればいいのか、悩む上司なども大量に発生している。

 新入社員になる以前に、小学校の現場では、暴力事件が急増中。子ども同士のコミュニケーションも変調を来しているのだ。中学受験を目指すなどの早期教育は効果はあるが、その効果は一時的なもので、長期的には意味がないことが多い。さらには、親といる時間が長く、友達と遊んだり、自然と触れ合ったり、いろいろ冒険したりして、主体性や多様性を身に付ける機会が減っている。ひとりになるとゲームに集中することもたびたび。
 本書では、本来身に付けるべき子どもの教育について、親の立場、会社で指導する立場から見る。

●自己コントロールなどの「非認知能力」が求められる

 2000年にノーベル経済学賞を受賞したヘックマンも、40年にわたる研究で、早期教育が知的能力を高める効果については認めている。しかし、それだけが学歴や収入という成功に結びついたわけではないと結論づける。現に認知能力(知的能力)に関しては、8歳の時点で効果は失われている。だが、成人後のデータを見ると、早期教育を受けたものの方が、学歴も年収も高くなっていた。協調性、忍耐力、やる気などの非認知能力がその後の成功のカギを握る。
 そのためには子どもへの結論を急がない。ひたすら待つ、一緒に考えるという姿勢も必要になるのだ。
 子育てについては多くの本が出ているが、本書は心理学や教育学の最新の知見から語るので説得力がある。本書は、『ほめると子どもはダメになる』(新潮新書)の第2弾ともいえる内容で、子どもの忍耐力や協調性、自立性の必要性を強く説く。子育て(特に小学生)に悩む親世代にとっては、必読の一冊です。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 自分の子供二人は高校生
    子育ても一段落…とは言えない
    自分の子どもはいつまでも自分の子供
    自分もオジサンだけど【元子供】なだけだから成長は必要
    ですね

    自分の子育ての、マイナス面だと思ってた事もガッツリ書いてあるし
    現代の子育ての問題面、俺たちオジサンとしては【ゆとり世代社員】の受け止め方も書いてある

    かといって自分の職場や親族にいる
    困った人の事も書いてあり

    とにかく自分や子供のEQ【心な知能指数】を育てるのが大事なのは凄く理解できた

    なかなか面白い本でした

  • 非認知能力・生きる力のはぐくみ方

    〇ここで改めて認識しなければならないのは、失敗することの意味や価値だと思う。(p27)
    ☆必要なのは、失敗への対処能力。そして、失敗から学ぶこと。失敗はだれにでもあるから、それをどう生かすか。

    〇学問で大切なのは「遊び」の心です。
    教科書通りに覚えることではない。自分で問題をつくり、自分で解いてみて、ここまでわかるんだと感動する。(p69)
    ☆益川敏英さんも情熱を燃やす、と言われる。

    〇このような文化施設に子どもを連れていく行動を親が
    取っている場合ほど、子どもの学力が高いことが示されたのだ。(p87)
    ☆親の知的好奇心。

    〇このようなレジリエンスに関係する好ましい性質を身につけるためには、次のような要因が重要であると私は考える。(p113)
    ①自己肯定につながる認知スタイルを身につけること。
    ②プロセスを生きる姿勢をもつこと
    ③頑張った経験があること
    ☆レジリエンスの本、参照したほうがいい。
    ①は周囲との関わりも大きいだろう。

    〇親が日常的に用いている言葉が子どもの思考スタイルを方向づける。(p146)
    ☆その時に、失敗から何を学ぶかが大事だよ、と根気よく教えていくことが大事だよね。時間がかかるのだ。
    効率的にしようと思ってはいけない。
    ・だれだって失敗はあるよ
    ・挫折を経験することで、人は強くなっていくんだよ
    ・結果が全てじゃない。がんばることで力がつくことが大事。

    〇友だちと思い切り遊ばせることの大切さ(p164)
    ☆思い通りにならない、という経験が大事だそうな。
    ①相手の視点
    ②我慢すること
    を学ぶ。うーん、そうだなあ。
    私にはこの経験が少ないのかもしれない。
    相手の気持ちに共感する力や、自分の感情をコントロールする力を身につけていく。

    〇ほんとうに大事なのは、表面的なテクニックよりも、叱るという行為の背後にある親の思いだろう。(p216)
    ☆自分のことを愛情をもって見守ってくれていると思うような叱り方をしているか。
    子どもの将来を考えて叱る。

  • 最近は早期教育が盛んで、中でも「ほめて育てる」「叱らない子育て」が主流です。しかし、そうした親の熱意とは裏腹に、多くがキレやすく傷つきやすい若者に育ってしまっています。そうした現状を踏まえ、本書は、心理学者の筆者が、AI時代を生き抜くために、12歳までに身につけたい「社会で成功するための能力」について説明しています。
    2000年にノーベル経済学賞を受賞したジェームス・ヘックマン氏が幼児教育の重要性を説いたことから、その重要性がますますクローズアップされています。しかし、特に重要なのは認知能力(IQ:知的な能力)ではなく、非認知能力(EQ:
    忍耐力、感情コントロール力、共感性、やる気)を高めることであることが見落とされがちになっています。
    AI等の発展により、これから先はますます先の読めない時代になっていきます。予想不可能なのだから、失敗は不可避です。求められるのは、失敗への対処能力を高めることと、失敗から学ぶ姿勢です。子ども時代から、高いレジリエンス(心の復元力)を鍛え、自己コントロール力を身につけることが大切になります。自己肯定感が高く、楽観的で未来を信頼し、忍耐強く、感情をうまくコントロールできる人が、逆境にあっても、困難にめげずに前向きに人生を切り開いていけるという研究成果も報告されているそうです。
    アメリカの教育家ノルトの『子どもが育つ魔法の言葉』がベストセラーになり、日本でも紹介されたことから、日本でもそうした考え方が一般的になってきました。しかし、国際比較調査を見ると、「親の言うことを素直にきく」子どもを強く期待する親は、フランスで80.1%、アメリカ75.2%、日本29.8%となっています。欧米では、ほめるけれども、言うことを聞かないのは許さないという親の厳しさ、学校や社会の厳しさがあり、そもそも文化的風土が異なります。一部分だけ真似ることで、教育的配慮に欠けた甘い子育てが横行し、子どもたちのレジリエンスが鍛えられす、自己コントロール力が身につかなくなってきたのだと、筆者は警鐘を鳴らしています。大人は、子どもとじっくりかかわり合い、子どもの力を信じて温かく見守ること(待つこと)、頑張った経験を蓄積させること等が大切になると述べています。
    同僚に勧められて読んでみましたが、とても興味深い内容でした。社会人として、親として、考えさせられる本でした。

  • 褒めて育てる、叱らない育児 が主流の昨今の日本に大切な一冊。よくぞ言ってくれた!と思う。

    当たり前のことなのだが、知らなかった、という人がいるならとても理論立てて説明していて良書かと。育児中で時間がなくても読みやすい。

    頑張れない、我慢できない、レジリエンスの低さ
    その原因を詳しく語る


    いつもポジティブでいられらように気をつかってもらえる子育てや教育のお陰で、厳しい境遇を経験していないため、厳しい状況に弱く、挫折を乗り越えることができず、すぐに心が折れてしまうのだ p.36

    小1プロブレムの発生理由として、
    家族におけるしつけが十分でない
    児童に自分をコントロールする力が身についていない
    児童の自己中が強い  p.45


    欧米のように個の社会…義務を果たさない者や実力を発揮できないものは切り捨てられる厳しい社会で褒めるのと、日本…相手を丸ごと受容する社会で褒めるのとでは、意味が違ってくる  p.48

    厳しく育てられることで、世の中は自分中心に動いているのではないことを体得し、欲求不満にも耐えられるようになり、思い通りにならない現実をしぶとく生きることができるようになると考えられる。 p.51

    大事なのは…挫折状況を耐え抜く精神力、苦手な人ことでもできるかぎり頑張ってみる意欲、できないことをくよくよ気にするより気分転換してできることに全力を傾けられる楽観性、好きなことや興味のあることに我を忘れて没頭する集中緑茶などを身につけておくことである。 p.62

    AIの時代に重要になる想像力

    自然体験は思い通りにならない人生を生き抜くための忍耐強さや知恵を与えてくれる。自然とのふれあいは、感動するこころや待つ心を育ててくれる上に、あらゆる発想の源にもなる。 p.86

    幼児期において重要なのは、非認知能力を身につけること。
    自分を動機づける能力
    長期的な視野で行動する能力
    自分を信じる能力
    他社を信頼する能力
    自分の感情をコントロールする能力 など p.96

    プロセスを重視する認知→ 結果ダメでも頑張ったことのすがすがしさや、充実感に目を向ける→ 諦めない心を強化  p.110

    物事に対するタフな受け止め方
    小さな失敗や思い通りにならない苦しい状況を繰り返し経験することで、失敗による感情的な落ち込みに慣れる
    ダメな時に自分を責めたりせずに前向きな気持ちになれるように適切な声がけをすることが大切 p.154

    レジリエンスを高める! p.169
    自尊感情を育てる! p.170

    傷つけない子育てより傷つきにくい心に鍛える子育て
    p.197

    最後は信じて見守ること p.219


  • 今、我慢できない、叱られるとすぐに辞めてしまう新入社員が多い!傷ついた時に自分自身で立て直す事ができない。
    レジリエンスを高める。立て直す力。
    自尊感情、自己効力感を育てる。
    過保護にならず、どっしり構えて叱る!褒めるだけじゃダメ。非認知能力。

    失敗や挫折は必ずある。その時にどうするか?
    筋トレと一緒。心にも負荷をかけて、傷つきにくい心を育てる。自分がわからないから相手を平気で傷つけてしまう。それを親が教えなければ、将来、その子が不幸。

  • 子どもを褒めて育てることに警鐘を鳴らす本。
    親や周りの大人が子どもを褒めるばかりで叱らずに育てるものだから、現代の若者が打たれ弱くなっているということを繰り返し述べている。
    大切なのは子どもの心を傷つけないように先回りして策を練ることではなく、失敗や挫折の後にどう励ましたり言葉をかけたりするか、いかに立ち直る力をつけていくかである。
    また、褒める際には子どもの能力を褒めるのではなく結果に至るまでの努力や頑張りを褒めることでチャレンジ精神が育つということだった。
    また、早期教育と謳って早くから習い事や塾で決められたことをさせるよりも、自由な遊びや体験の中で自主性を育むことが大切。
    ページ数の割に同じことが繰り返し書かれていて内容は薄く感じた。

  • 途中から同じことの繰り返しで同じ文章読んでる気分になった。
    今流行の非認知能力の必要性や褒めるだけでなく折れない心の育て方が大切等、主張については共感できる部分も多かった。
    わかっていてもなかなかできないが、読むことで日々顧みながら子育てしていきたい。

  • 昨今(と言ってももう少し古い感もあるが)流行りの育児スタイルのうち、「早期教育(英才教育)」と「褒める子育て」の2つを主に疑問視し、非認知能力を高める子育てを推奨する一冊。

    幼少期から習い事や通塾ばかりする子は、頭が良くても指示待ち人間を生み出しかねない。そのうえ社会で成功できるか否かはIQよりもEQが大事である。
    褒める子育ては、挫折を乗り越える力が育まれずストレス耐性の低い、頑張り切れない人間を育てかねない。。。
    というのが著者の見る昨今の育児が生み出す弊害。
    あまりその因果関係を示すデータは示されないが、まあ論理的に理解できる主張だからそこは気にならない。
    ただ、同じ主張が本書全編を通して、あまりにもしつこい印象はある。

    さて、代わりに大事と説くのが「非認知能力」や「レジリエンス」。
    そのために、しつけの重要性や幼少期に友達と自由に遊びまくることなどを説いている。親の子に対する接し方についても助言はある。
    ただ、著者は教育心理学者であるものの、育児の専門家ではない。ゆえに、具体的な育児シーンを想定したノウハウの記述は非常に少ない。

    「非認知能力」という言葉を聞いたこともない、という人は手にとってもいいかもしれない。

  • 優しく育てる風潮の高まっている中、「信じて叱ろう」とちゃんと言っている。

    優しさか厳しさか、どちらかに全振りじゃなくて、両方の意見が世の中にあるのが良い。
    小手先のスキルだけでなく、その背景にある考え方も一緒に知って、どんな方法を選ぶか。
    その選択肢があるのが良い。

  • 非認知能力に関して知識を得るのであればより最適な本が別にあると思う

    個人的にはそれらの本と比較して中身が薄っぺらく、価値がなかった。

    筆者の個人的主観(一部偏見では?)もかなり入っていると感じた。

全108件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

榎本 博明(えのもと・ひろあき):1955年東京生まれ。東京大学教育心理学科卒業。東京都立大学大学院心理学専攻博士課程中退。心理学博士。川村短期大学講師、 カリフォルニア大学客員研究員、大阪大学大学院助教授等を経て、現在MP人間科学研究所代表。産業能率大学兼任講師。著書に『〈自分らしさ〉って何だろう?』『「対人不安」って何だろう?』『「さみしさ」の力』(ちくまプリマ―新書)など。

「2023年 『勉強ができる子は何が違うのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

榎本博明の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×