フラット化する世界 下 普及版: 経済の大転換と人間の未来

  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532316358

作品紹介・あらすじ

「世界のフラット化」によって仕事を奪われないために、先進国の人々は何をすべきなのか?子供たちの世代がインドや中国との競争に勝ち抜くには、どんな教育や社会システムを作る必要があるのか?誰もが簡単に知り合い、SNSやブログ、YouTubeで瞬時に有名人になる世の中で、私たちはどう生きていけばいいのか?本書後半では、フラット化という重大な試練を乗り越えるための具体的な方法を論じる。そして、フラット化がもつ真の可能性が明らかになる-知識やアイデアが瞬時にして共有化され、あらゆる場所でイノベーションが起こり、サプライチェーンが国家間の戦争を封じ込め、企業だけでなく個人がグローバルに競争するようになれば、世界経済は繁栄の新しい段階を迎えることになるだろう。

感想・レビュー・書評

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  • 「この人のためなら死ねると思うアラファトと、この人のために生きたいと思う恋人の写真、どちらをとる?」というパレスチナの青年のエピソードが印象に残りました。

    上、中、下の中で、読んでいて一番辛い、でも一番大切なことを言っていたように思います。

    イスラム原理主義や歪んだ政治によって苦しい思いをしている人がたくさん居るけれど、その人たちに幸せになる権利がないなど言えるはずありません。

    「DELLの戦争回避理論」というのがあって、コンピューター会社のDELLの工場がある国同士、戦争が起こらないそうです。何故なら、戦争が始まってしまったら製品の流通がストップし、お互いの経済に打撃を与えるからだそうです。

    この本で言いたかったことは、フラット化を「善い」方向に使えば、みんな幸せになれるぞ!というメッセージだと私は受け取りました。これだけ聞くと薄っぺらい話に聞こえるけれど、たくさんの生々しいエピソード(希望を持てるもの、絶望を感じるもの、両方)がそのメッセージをしっかり肉付けしていて、すごく感動しました。

  • 上〜中刊ではフラット化のメリットを押す空気感が強かったが、下巻では、メリットは誰もが享受するわけではなく、よい面だけではないことなど、一歩下がって冷静に考えさせる。

  • 上中下読ませていただきました。読むべき内容だ。しかしながら、私はどうしたらいいものなのか、なにもできませ~ん。

  • キーワードはイマジネーション。

  • 世界のフラット化がどういうものであり、自分たち個人にどう影響するかが丁寧に書かれていた。書かれて10年近く経ってる今、WIRED読み慣れてたら特に、そんな時代なことに驚きは特にないけど。

  • アメリカ的にはこの現象のことをフラットという風に言うのか。。自分には「フラット」という表現がしっくり来ない。先進国の仕事が発展途上国に流れていったら、先進国で働き口がなくなるだろう、だから、先進国は他国で代替できない仕事をするようになるからそれを模索していかなければならない。だから先進国で働く人と途上国で働く人は結局同じ土俵の上で仕事を取り合ってるわけではないように思う。途上国で代替可能な仕事をしている人も結局先進国と同じ様になり、結局行き詰まるだけではないだろうか。この状態をフラットというのはどうもおかしいけど、このような状態のことを上手く言い表したことわざがあるように思うのだが出てこない。。
    アメリカ人のアメリカのために書かれた本という性質があるので、たまに例として取り上げられる日本はむしろそういうフラット化の波にうまく乗れている国のように紹介されている。だからアメリカもこのようにしなければいけないと。でも実情はやっぱり違うように思う。これからの働き方について参考にしたいと思って読んだが、あまり参考にならなかった。

  • 経済の大転換と人間の未来 ―
    http://www.nikkeibook.com/book_detail/31635/

  • P29 「いま成功しているのは、自分で決める消費者という概念を理解している企業だ」
    P245「インドの最高裁判所にはイスラム教徒の女性裁判官がいる。サウジアラビアでは女性が車を運転することすら許されないのに。」

    11章 企業はどう対処しているか
    優良企業=優良共同作業者
    フラットな世界では生まれつきグローバルな企業が増えている
    P35 「いまでは、複数の知識労働チームの専門分野を融合させるのが、ビジネススクールを出て最初に任される管理業務かもしれない」e.g. 1/3がインド、1/3中国、パロ・アルトと本国が1/6ずつ
    この管理業務には、フラットな世界で需要が高まる、きわめて特殊なスキル(無敵の民の要件の一つか)が必要
    ・フラットな世界ではニッチ・ビジネスが速くコモディティ化するから、自社のニッチをたえず見極めて強化し、あまり差別化につながらないものをアウトソーシングするために、定期的な胸部X線検査を受けなければならない←個人も同じではないか?
    ・コストを減らして縮小するためではなく、知的能力の高い人間を獲得して迅速に事業を拡大するために
    ・ビジネスのやり方が重要な理由…①他者と差別化するには、ビジネスのやり方を変えるしかないから。フラットな世界では競合他社と差別化するのに、値段やサービスはおろか、ベストプラクティスにも頼ることができない
    ②企業の透明性が高まり、顧客が強力になっているから。消費者(企業外部の人間)が、(企業が)世間がよしとするような振る舞いをしているかどうかを判断する時代に
    ・市場の競争とテクノロジーのせいで、物事が楽になるかと思いきや、従来専念してきたことや得手の良いこと以外のありとあらゆることまで上手にできるようにならないといけない。でないとすぐ別の人間が「全部やりましょう」と仕事をさらっていく(コモディティ化の加速)→デジタル化できないもの(独創的なひらめきや個性etc)を中核となる競争力(コア・コンピテンシー)にしないと生き残れない
    ・フラットな世界のプラットフォームが、多様化をいまだかつてなかった段階にまで育てる、より大きな潜在的な力も働いている…アップローディングが1番の理由。ローカルのグローバル化を可能にする
    移民しなくてもイノベーションできるようになり、地域文化は守られる。+故郷を離れて西側諸国へ移住する個人も楽に。
    ディアスポラ…移住者の国の言語のメディアにとって市場。競争相手のことや、他言語の視聴者つかまえる必要もない
    フラットな世界は光の勢力とともに闇の勢力にも権能を授ける
    ・マイクロクレジットもだが、それを必要とするよりも上の段階の起業家への支援が不足している

  • 下巻はフラット化する社会に対してどう社会が対応するかについて記載されているが、アメリカ中心主義が見え隠れして閉口する場面も。ただ、全編通して、とても考えさせられる良書だと思った。

  • フラット化する世界下巻では、フラット化に対する企業、個人、政治の反応、そして「イマジネーション」の重要性を説いている。

    ほとんどの仕事がコモディティ化されてしまい、どこへでもアウトソーシングできるようになった今、企業のバリュー創出の難しさとそれへの対処法が大変納得のいくものであった。

    個人の章では、個人の情報が氾濫していく中、一度の悪行がサイバースペースに永遠に残ってしまう危険性の記述があった。
    「チャンスは一度きり」
    私たちは常に正しい行いをし続けなければいけない事がよくわかった。

    下巻の特に政治の話の中では安価なコミュニケーション、共同作業を可能にしたツールがビジネスマンだけでなくテロリストに対しても力を与えている事についての記述が目立る。9/11が日本人にとってもはや遠い昔の事になってしまった今もアメリカ人の心の深い所にとどまり続けているのがよくわかる。アルカイダの脅威に無頓着な自分にとってはあまり興味がもてるものではなかった。

    本書を読むとフラット化した世界で生きて行くためには、自由な「イマジネーション」が必要なのがよくわかる。
    豊かな「イマジネーション」の為には過去ではなく夢の話ができるような環境作りが大切だという。
    日本の場合でも昨今漂う閉塞感打破の為には必要なことではないかと感じた。


    フラット化する世界は現代の解説書のみならず、最高の自己啓発本であった。
    下手な精神論ばかりを語る自己啓発本を読むのなら、本書を読むことをお勧めする。
    グローバル化が壁を打ち破ったおかげで、我々はインド人、中国人、世界中の人々と同じ競技場で戦わなくてはいけなくなった、。
    「大変な世界になっちゃったな。」というのが正直なところだ。
    しかし、本書を読むとフラット化後の世界において個人の可能性は無限大である事に希望が持てる。
    明日の世界が楽しみになる本である。

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著者プロフィール

ニューヨーク・タイムズ コラムニスト
1953年ミネソタ州生まれ。ブランダイス大学を首席で卒業後、オックスフォード大学で修士号を取得(現代中東研究)。UPI通信に入社し、79年から81年までベイルート特派員。その後ニューヨーク・タイムズ社に移り、ベイルートとエルサレムの両支局長を歴任。その間、ピュリツァー賞を2度受賞。89年に帰国。95年からニューヨーク・タイムズ紙の外交問題コラムニスト。02年にテロ問題に関する執筆活動により3度目のピュリツァー賞。

「2021年 『遅刻してくれて、ありがとう(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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