コンピュータが仕事を奪う

著者 :
  • 日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532316709

作品紹介・あらすじ

人間の仕事を楽にするはずのコンピュータは、爆発的な処理能力の向上により人よりはるかに速く、安く仕事をこなし、私たちの職を脅かしつつある。絶対に人にしかできない仕事とは何か、そしていま私たちは何を学ぶべきか。

感想・レビュー・書評

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  • すでに10年以上前の本ですが、今読んでも、まったく古さ感じませんでした。
    この本が出たころは、「東ロボくん」のプロジェクトが始まる前ですし、今ほどAIの技術が進んでいないころだと思いますが、現在の状況を見越したような内容でした。

    本の内容は、タイトルの通り、といってよいと思います。
    コンピュータができることがどんどん増えていて、その結果、人間の代替(人間を超越する場面もしばしば)として仕事をするケースも増えています。

    とはいえ、コンピュータは万能ではなく、創造的な仕事や、仕事の設定を行うことなどは、コンピュータが苦手とするところ。
    今後、人間が行う仕事は、コンピュータが苦手な部分にどんどんシフトしていき、コンピュータが苦手で、希少性の高い創造的な仕事は、給与が高く、コンピュータは苦手でも、人間は得意なケースが多い仕事については、給与が抑えられる、という状況になる、と書かれていますが、まさに社会はそのように動いていると思います。

    この本には、「コンピュータは、意味を理解することができないので、コンピュータに勝つ、あるいは、コンピュータとよい形で共存していくには、様々な事象を見て、意味を理解できる能力を身に付けることが大切」といったことが書かれていますが、おそらくその通りだと思います。
    学校教育では、これまでもそういった能力の育成には力を入れてきたと思いますが、ますます重要になるものと思われます。

  • 「AIに負けない子どもを育てる」の著者の新井紀子氏の2010年に書かれた本 コンピュータに負けない力は、論理力だとこの頃から主張している。AIが出てくる前だからか今でもそう考えるのか分からないが、データにより教育方法をコンピュータが示すと言うことは難しいと言っている。ビックデータからAIが個別最適化された教育を示すことはできないという。最後に、「耳を澄ませて」聞き考えることが大事だとしめられていた。

  •  労働人口構成が第一次労働、第二次労働を経て、第三次労働へて移行しているのは、本質的に人口の増加と機械化と計算機化が原因。既に私たちは、機械や計算機に仕事を奪われていることは経験済み、その結果として、数十年前ならば想像もできないような、快適で生活を楽しくしてくれるサービスを提供し、享受している。コンピュータを憎む必要はないし、悲観して「自分は未来で生きていけない」と思う必要はない。
    人間が行うほどではない、計算機でこなせるようなつまらない作業は計算機に任せて、私たちはより楽しく、面白い作業や遊びにいそしむことができるわけなので。

    目次
    はじめに—消えていく人間の仕事
    第1章 コンピュータに仕事をさせるには
    第2章 人間に追いつくコンピュータ
    第3章 数学が文明を築いた
    第4章 数学で読み解く未来
    第5章 私たちは何を学ぶべきか
    おわりに—計算とともに生きる

  • ふむ

  • 経済学部 上野勝男先生 推薦コメント
    『あなたが今日している仕事は、明日になればコンピューターに取って代わられるかもしれません。人の仕事を楽にするはずのコンピュータが、私たちの職を脅かしつつあります。どうすればよいのでしょう。著者は、数学と情報学の視点から、この問題に迫っています。』

    桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPAC↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/book/522924

  • 良書。
    的確に、解りやすく工夫しておられる。
    コンピューターに出来ること、出来ないこと。不得意なこと。
    人間がこれからすべき事。
    数学が大事な事。
    にしても、先が読めない。これから何をすべきか。
    どうなってもいいように、勉強を続ける事が大事だと思う。
    勉強出来る気力・体力は整えておきたい。
    コミュニケーション。一対一の。人間にしか出来ないことを考える。

  • 表題通り。

    コンピュータが進歩してきて、
    人間が取って代わられる、という危機について、
    具体的な近況を紹介している。
    さらに、
    コンピュータに代わられる仕事とそうでないものの違いを分析するために、
    コンピュータの特徴とは何か、という展開から、
    省みて「人間らしさとは何か」の追求に帰着するところが、
    アンドロイド研究と共通していて興味深い。

    やや数学寄りだけど、
    物事を厳密に記述する数学ならではの、
    論旨をぼやけさせない文体がよい。

    帰納と演繹、という両アプローチについても、
    面白い議論が沸き出している。

    さらに、数学や科学技術全般について、
    「暗記と計算で追いついた日本」を取り上げている。
    「なぜ」その論理や学問が生まれたのか、という、
    必然性を伴わない学問の弊害と、
    今後望まれるイノベーションにも言及している。

    「まだ言語化されていない『何か』を言語化する」
    これが、コンピュータにはできない、
    人間の目指すべきイノベーションだ。

  • Aiやコンピュータが不得意で人間しかできないものは、仕事として残る。
    その内、誰でもできる仕事は、最低の賃金しか貰えないものになる。
    ホワイトカラーの仕事の真ん中が、aiに取られ、上と下に分断される。

  • コンピュータが仕事を奪う

  •  本当に人間はコンピュータに仕事を奪われるのだろうか、いや奪われなけばいけないのか。

     世の中AIともてはやされているがそれらの内容がそう素晴らしいものではない気がする。AI本当に人が判断できないことを判断しているか。いまはまだそこまで進歩してないという言葉は聞きたくない。

     結局、何においても人間が楽をしたいと思って生まれてくる技術、その技術において人を追い抜くことはできないだろう。
     
     そして、本当に怖いのはAIをもてあそんでいる人の裏に隠れた何かが現れる事、そう思えないのか。

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著者プロフィール

国立情報学研究所情報社会相関研究系・教授

「2021年 『増補新版 生き抜くための数学入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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