ハーバード流ボス養成講座: 優れたリーダーの3要素

  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (403ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532317584

作品紹介・あらすじ

「結果を出すマネジャー」と「グズ上司」は何が違うのか。MBAだけではダメ。できる上司になるには人生の転換が必要だ。「できる上司」になるために必要な、新しい価値観、深い自己認識、感情面での成熟、賢明な判断を下す力を習得する方法。ハーバード・ビジネススクール人気教授の30年以上にわたる研究の集大成。

感想・レビュー・書評

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  • 『感想』
    〇この本は対象者がどのレベルの人なのか。一つ一つ丁寧に書いてある分、初心者には量が多すぎるし、かなりの経験者には初歩的な部分が多いので疲れる。

    〇新しく見識を得たのは、文書プランと文書にならないプランについて論じている部分だ。文書にならないプランでは人に理解させるのは難しいから文書化を目指すべきだと考えていたが、最終的にはそうであっても、そこに至るまでに情報を集め手法を試しているあいまいな期間も大切なのだとわかった。文書になるということは完成することで、そこまでの発展途上中に可能性を議論することや中身の幅広さからくる変化があるから人は成長するわけだ。

    〇共感は自分が相手の立場に立つことではなく、相手の考え方をする目で自分を見ることでできること。

    『フレーズ』
    ・できるマネージャーの3つの課題(p.58)
     1 自分をマネジメントする
     2 人脈をマネジメントする
     3 チームをマネジメントする

    ・上司だからといって自惚れてはいけないのだ。(p.78)

    ・敏腕マネジャーは、権限を優越感の源泉とは見なさず、主として自分のニーズを満たす手段と捉えるわけでもない。むしろ、価値ある仕事を成し遂げられるよう、他人を後押しするための道具と考えているのだ。(p.81)

    ・あれこれ命令するのが得意かどうかではなく、いかに命令せずにすませているかが、マネジャーの試金石である。(p.87)

    ・日ごろから忠誠を示している人は、時には反対意見を述べたり疑問を呈したりしても、受け入れられるものだ。反論する時にしか声を上げない人は、相手を支持してきた人たちと比べて、たいていは小さな影響力しか持てない。だから、上司に心から賛成できる時は、その気持ちが相手に伝わるようにはっきり言葉で表そう。(p.191)

    ・あなたは上司に課題を説明して解決してもらおうとするだろうか?上司の多くはこのやり方を嫌う。むしろ、上司が対応しやすいように、課題、分析、選択肢、対策案をそろえてから相談に行こう。(p.194)

    ・あなたは上司の強みを活かさなくてはならず、そのためには強みとその価値に気づかない事には始まらないからだ。(p.194)

    ・表情、態度、身振り手振り、声の調子など、言葉以外のコミュニケーションは往々にして、あなたが上司に抱いている本音を表し、この重要な人間関係を次第に傷つけかねない。(p.195)

    ・共通の目的とそれに関係したやりがいのあるゴールを掲げ、その実現に向けて互いに約束を交わして共同で仕事をする人々の集まり、それがチームである。(p.210)

    ・文書にならないプランは、文書プランよりも遥かに中身が幅広い。前者はあなたの心の中にある。何をするか、どこへ向かっているのか、なぜそこを目指すのか、どうやってたどり着くつもりかについての理解であり、その中身は生きて進化している。(p.228)

    ・文書プランには具体的な目的、里程標、行動の手順、明快な前提などが盛り込まれるだろう。文書にならないプランのほうは、直観、あいまいな目標、一般的な方向性、おおまかな優先順位などを含む可能性がずっと高い。時が過ぎゆくなか、粘り強く情報を集め、アイデアや手法を試すうちに、以上の要素の多くはあいまいさが消えて明快になり、漠然としたものが具体的になり、文書化に適したものになるだろう。(p.229)

    ・文書にならないプランは生気、活力、可能性に満ちていて、あなたが経験からより多くを学び、部下や人脈内の人々と議論するのに合わせて、たゆみなく変化していく。(p.231)

    ・大多数の人はチームの一員であることを望んでいる。これは強い思いだ。しかし同時に、誰もがおのおの自分の貢献を認めてほしいと考えている。(p.288)

    ・マネジメントとは人との接触なのだ。(p.289)

    ・真の共感とは何かを知ろう。自分が誰かの立場になったらどう感じるかではなく、相手の人格をもとにその人がどう感じるかを理解するのが共感である。(略)共感とは突き詰めていくと、他者の目で世の中と自分自身を見る力を指す。(p.299)

    ・権限移譲は仕事の放棄とは異なる。細かい指導か任せきりか、という二者択一ではないのだ。(p.300)

    ・できるマネージャーは、日常業務とマネジャーとしての業務をそれぞれこなすのではない。(略)予定外の出来事、問題、義務を活かして、マネジャーとしての仕事を片付けるのである。(p.322)

    ・進歩はあなた自身の仕事上の経験からしかもたらされない。挑戦と学び、観察と他者との交流、思考と奮起からしかもたらされないのだ。(p.350)

  • ◯人徳のある人とは、一揃いの理念を信じてそれに従いながら生きる人を指す。(106p)

    ◯権限や友情を人間関係の軸に据えてはいけない。自分の手腕と人柄への信頼をよりどころに関係性を築くのだ。(120p)

    ◯集団思考が働くと(中略)気づかないうちにみんなが同じ発想に染まって付和雷同するため、新しいものはいっさい生まれてこない。(284p)

    ★マネジャーがやるべきことが具体的に網羅されている良書

  • 何度身につまされる思いをしたかわからない本。タイトルとハードカバーのデザインが微妙で半信半疑で買ったものの、買ってよかったと思えた本。
    要するところ、更に要するところ、マネジメントは全人格が問われているということ。一切の甘え、妥協も許されないということ。それゆえ、自分が放置しやすいことや苦手なことに関する記述を読むと目もあてられなかった。

  • マネージャーとは、難しい仕事であり、常に自己学習と自己変革を欠かすことなく実行している必要がある。本書は、マネージャーとなった人に向けた指南書。タイトルどおり養成講座だ。

    「自分は何者か」「何が自分の望みだろうか?」「どんな付加価値を生んでいるのか」を常に意識しておくことがマネージャーとして必要な心得となる。

    本書のエッセンスをメモしておく。
    マネジメントとは、チームの成果に責任を負うこと。
    責任を果たすため、他人に行動してもらったり、行動のきっかけとなる発想や感情を変えていく必要がある。
    マネジメンが抱える逆説
    ・他人の行いに責任を負う
    ・仕事に焦点をあわせるには、その仕事に取り組む人に注意を向けないといけない
    ・人材育成と評価、両方をしなくてはならない
    ・各人に目を配りながら、結束の強いチームを築かなくてはならない
    ・チームを采配するには、幅広い環境をマネジメントしなくてはならない
    ・現在と将来の両方に焦点を合わせなくてはならない
    ・業務遂行とイノベーション両方を担わなくてはならない
    ・大きな目的のためには犠牲を強いなくてはならない場合もある

    できるマネージャーの3つの課題
    1.自分をマネジメントする
     ・正規の権限をうまく使う
     ・部下との間で人間味や心遣いに溢れながらも、プライベートに踏み込みすぎない関係を築く
     ・他の人々、特に部下たちからマネージャーとして信頼されている
     ・権限や影響力を倫理に沿って行使している
    2.人脈をマネジメントする
     ・社内外の誰を自分の人脈に取り込むべきか、体系的に目星をつける
     ・業務面の人脈を積極的に築いて維持する
     ・戦略面の人脈を積極的に築いて維持する
     ・チームに必要な保護やリソースを提供するために人脈をいかす
     ・チームの目標を達成するために自分の人脈を熱心に活用する
    3.チームをマネジメントする
     ・自分とチームが目指す将来像を描き、絶えず手直しする
     ・人材の集まりを真のチームへと脱皮させるために、役割、仕事のルール、チーム文化、業績フィードバックを明確にする
     ・部下をチームの一員としてだけでなく個人としても理解し、管理している
    上記3つの課題を追求するために、日々の活動、出来事、問題を活かす

    どんな職場のマネージャーでも、本書に記載されている物語のようなシーンを日常的に対応しているのでしょう。このように体系的に整理されることで、自分のチームでは何が課題なのかを、冷静に点検する機会を持ち、実務を振り返ることができる。
    本書には答えは書いていない。答えは、自分たちで探して見つけていくべきなのでしょう。

  • 色々書いてあることは悪くはないけど、何となく読みづらかった。

  • 優れたリーダーになる為の意識すべき「3要素」を詳細に解り易く述べた本です。

    各章毎に3要素「①自分の/②人脈の/③チームのマネジメント」の自身のレベルを意識出来る質問があり解りやすい!

    特に「できるマネージャー(リーダー)は、日常業務とマネージャーとしての業務をそれぞれこなすのではない。予定外の出来事、問題、業務を活かして、マネージャーとしての仕事を片付けるのである。」という文から発想の転換をもらい、受身で細切れの仕事の連続で、日々の予定を守るのに必死になり、予定調整力のなさに失望していた自身に勇気を貰いました。

    現在、同様の立場で同じ考えに陥っている部下に対して、その考え方を伝えて、職場改善を実施しております。
    部下もきついとは思ってますが・・・

  •  

  • *なぜ優れたマネージャーになるのは難しいのか?
    ①マネージャーの仕事は独特である。
    第一に、マネージャーの仕事はそれ以前のどの経験とも異なる。できる上司になるのが難しいのは、個人プレー型の仕事とマネージャーとしての仕事のあいだには大きな隔たりがあるからだ。マネージャーの多くは当初、部下の管理は自分の管理の延長だろうと考える。従来と仕事の基本は変わらず、自分や部下の仕事にコントロールを利かせやすくなる点だけが違いだろうと。ところが現実には、これまでに遭遇したのとまったく異なる、不可思議な未知の領域へと大きく飛躍しなくてはならない。この難しさが顕著に表れるのは、個人として成果をあげながら、同時にマネージャーの役割も果たさなくてはならない場合である。そういう人は最初、当然のように、自己管理の幅を広げたものがマネージャーの役割だろうと考えがちだ。やがて苦い経験をしてはじめて、まったく見当違いだったと思い知るのである。
    ②マネージャーになるには自己学習と自己変革が欠かせない。
    第二に、できるマネージャーになるには、新しい技能や知識を培うだけでなく、困難な自己変革を遂げなくてはならない。マネージャーになる人は、自分とその仕事を従来とは別の視点から眺める術を学ばなくてはならない。新しい価値観、より深い自己認識、感情面での成熟、賢明な判断を下す力などを身につける必要があるのだ。たとえば、権限を抱え込むせいで、❝管理魔❞と非難されるマネージャーが少なくない。しかし、多くの場合、問題は管理欲の強さそのものではない。むしろ、アイデンティティにこそ問題の核心はある。自分や自分の貢献、つまり、マネージャーとしてどう付加価値を生むかについての考え方を転換できていないのだ。みずから仕事をこなすという役割を捨てられないのである。なぜなら、無意識にせよ、それこそが自分の存在意義だと思い込んでいるからだ。こくした人々は、自分を上司として眺めることができずにいる。実際、マネージャーになるには人間として非常に多くのものを吸収して変わらなくてはならないため、文字通りの自己変革が求められる。できるマネージャーになるには、行動、発想、感じ方を変えるよう求められる。これまでと違った満足の源を見つけて、慣れ親しんではいるが今となってはふさわしくなくなった役割や自己認識から抜け出すのだ。そのためには、「自分は何者か」「何が自分の望みだろう」「どんな付加価値を生んでいるか」といったと問いを改めて考える必要がある。
    *マネジメントとは何か、なぜ難しいのか?
    マネジメントとはチームの成果に責任を負うことである。この責任を果たすには、他人に影響力をおよぼさなくてはならない。つまり、相手の行動だけでなく、行動のきっかけとなる発想や感情を変えていく必要があるのだ。「責任」という言葉で定義されるのがマネジメントだが、それを実行するにあたっては影響力を行使することになる。簡単に述べるなら、この影響力の行使こそが上司としてのあなたの仕事である。個人、そして何よりグループ全体の成果が高まるように人材に影響をおよぼすのだ。
    *(逆説)他人の行いに責任を負う。
    どうすれば、他人の行いに本当の意味での責任を負えるのか?これはとても奥深い質問である。わたしたちは、「他人の行いに責任を負う」と気楽に口にするが、これがいかに困難であるかを十分に理解していない。この言葉が十分に意味をなすのは、「どんな状況のもとでも何をすべきか判断でき、みんなが指示どおりに動く」と仮定した場合にかぎる。他人の仕事に責任を負うのがいかに難しいかが理解できるのだ。他人の仕事にきちんと責任を負うには、彼らを介して仕事をする必要がある。ただ指示を出してそれに従わせるのではなく、相手を包容してともに仕事をするのだ。これは、自分で動いて個人として成果を出したい人にとっては難しい。
    *(逆説)仕事に焦点を合わせるには、その仕事に取り組む人々に注意を向けなくてはいけない。
    部下を持つ人の多くは、自分がマネジメントするのは仕事だと考えているが、それは違う。彼らは仕事に責任を負うが、仕事をどうやって成し遂げるかというと、担当者に影響をおよぼすことによってである。これを複雑にしているのが、ピーター・ドラッカーが指摘した、「仕事の手を雇うと、頭と心も一緒についてくる」という事実である。あなたは頭と心、つまり全人格に大いに注意を払わなくてはならないのだ。人材からは時間と配慮だけでなくそれ以上のものを引き出す必要があるからだ。こんにちではたいていの仕事に知識、判断力、思考力、判断力が求められるため、働き手が自分の仕事を大事に思うかどうかが肝心である。指示を出したり、批判したりするだけではダメなのだ。それでは、仕事に十分な思い入れを持ってもらえる可能性はまずないだろう。仕事に心から献身してもらうには、後押し、育成、励ましといった、間接的ながらも効果の高いかたちで影響力をおよぼす必要がある。
    *(逆説)各人に目を配りながら、結束の強いチームを築かなくてはならない。
    真のチームとは、共通の目標に向けて献身し、一体となって邁進する人々の集まりである。強い仲間意識を持ち、「成功するにせよ失敗するにせよ自分たちは運命共同体だ」という信念で結ばれている。
    *できるマネージャーの三つの課題
    1、自分をマネジメントする
    2、人脈をマネジメントする
    3、チームをマネジメントする

  • コーチみたいな本だった。悩んだり迷ったりしたときは、何度でも読み返す。

  • ハーバード流ボス養成講座―優れたリーダーの3要素2012/1/6 著:リンダ・A・ヒル、 ケント・ラインバック

    本書は「マネジメントの旅はどういうもので途中では何が起きるか」を理解できるよう、手助けをしている。進歩するためには、マネジメントの本質は何か、なぜ難しいのかを理解しておく必要がある。先がみえないままでは孤独になり、悩みは自分ひとりのものだと感じるから、挫折するおそれが大きい。

    構成は以下の3章から成る。
    ①自分をマネジメントする
    ②人脈をマネジメントする
    ③チームをマネジメントする

    苦い薬が良く効くと感じるうように洋書独特の訳本であり、読みやすいというものではない。しかし、マネジメント能力を渇望する人には良薬なのかもしれない。

    アカデミック的な要素もちらほらありながらも具体例から読み手の理解への努力も垣間見られる一冊。読み応えと時間が必要。モノに出来ればこれでもかというほどマネジメント能力を高めることへの貢献は期待できる。

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